文化祭準備開始
その後星乃零はとある人物と別れた後メールで連絡し他の皆がいる場所へと合流したのであった。そしてお昼の時間に丁度いい事なので近くにあるフードコーナーにて昼食を摂ろうとしたのだが、お客が営業再開という事で通常よりも多く空いている席がなかったのであった。ということで1度外に出ることにした。
外には【ドリハピ】の営業再開を祝って多くのキャンピングカーがありクレープやハンバーガー、サンドイッチなど食べ歩きにもってこいの食べ物がたくさん売っていたため各自食べたい物を購入したのであった。緑はジュダルから支給されたであろうお金を使用し食べたい物を購入したのであった。この日までにジュダルからある程度の人間社会について教えてもらったいたため問題なく購入できたのであった。そして購入したのは野菜マシマシのサンドイッチである。黄菜子はというと成宮千尋と同じクレープであるが盛り付けてある果物やソースが異なるため後程食べ合いっこをするつもりかもしれない。良きかな‥‥。その後立花豪志は肉マシマシのハンバーガー、四季有紗は肉無しサラダのみクレープ、そして星乃零はというと‥‥
「‥‥星乃君、そんなに食べきれるの?」
「ん? あぁ、まぁ、多分大丈夫でしょう‥‥それに俺はまだ完全に調子が戻っていませんからね、早く調子を戻すためにはこうやって大量摂取が欠かせないんですよ」
そう言いながら大きな袋に山ほど入っている大量のハンバーガーを1つ取り出しそのまま食べ始めるのであった。ちなみに中身はハンバーガーを始め、チーズバーガー、ダブルチーズバーガー、照り焼きバーガー、エビフィレオ‥‥‥等々様々な種類のバーガーが入っていたのであった。
そうして食べ歩き、時々空いている椅子やベンチに座りながら休憩し外で行われているアクセサリーの展示・販売、植物園を見回ったり、小さな動物園で触れ合いを行ったり、ヒーローショーを見に行ったり‥‥等々穏やかな時間が過ぎていくのであった。
そして気付けばすでに日が暮れ始めていき1日が終わろうとし始めるのであった。
「あぁー、明日から大学かぁー、しんどーい」
「そんなこと言わないの。私だって明日から大学に行かないといけないんだから」
「うぅー、そうなんだけどさぁー、なんか、こう、1週間また頑張れるぞ! っていう気持ちになる癒しがあればいいなぁーって」
「そうねぇ‥‥・例えば可愛い物に抱きついたり、とか?」
「そうそう、それでその可愛い物の匂いをめいいっぱい嗅いだらまた1週間頑張るぞ! っていう気持ちになれるんだけどなぁ‥‥どこかに落ちたりでもしてないかなぁ…」
ムムム・‥‥と目を凝らして辺りを探し回る有紗であった。まぁそんなことしてもすでに薄暗くなっている道端を探しても見つかることはないのである。
「そういえば同志の通う学校ではもうすぐ文化祭が始まるのですぞ」
「へぇ。じゃあ星乃君が良ければ皆で行かない? 確か一般人も文化祭に行けるはずだよね?」
「あぁ、まぁそうですね。文化祭などの特別な行事の時だけは一般の方でも入場できますし‥‥」
「そうなんだ。ねぇ、零のクラスはどんなことをするの?」
「あぁ、メイド喫茶ですよ」
「…‥‥えっと、もしかして星乃君たち男子も着て接客するの?」
「……何で男子がメイド服着るんですか。イヤですよ。男がメイド服着て接客するのは」
「いや、だって、大学では男性もメイド服を着て接客した所を見たことあるから」
「どんな大学ですか。俺たちがするのは普通のメイド喫茶ですよ。それにこのメイド喫茶を提案したのは朝比奈さんですよ」
「あぁー、そうだったんだぁ。いや、てっきり男女全員がメイド服を着て『お帰りなさいませ、ご主人様♡』とか『美味しくな~れ、萌え萌えキュン!』とかいうかと思ったよ」
「アニメとかじゃあるまいし、そんなことはしませんよ」
等と他愛もないことを言いながらそれぞれ帰路に着くのであった。
だがこの時、まさか先ほどの言葉を言うとははなから思っていなかったのにまさか本当に言う機会があるとはその時零は1ミリも思っていなかったのであった‥‥‥
そして翌日、文化祭の準備が始まるのであった。とは言いつつも今日から1週間は午前中は普通に授業を受けて午後から文化祭の準備を行い、翌週から当日までは丸1日文化祭の準備を行うため勿論どのクラスも授業はない。その分生徒たちは他のクラスに負けないような出店や展示物の制作を行うのであった。何故各クラスとも他のクラスに負けないような物を作り上げるのか。それは毎年文化祭では来場した一般の方にどのクラスや部活動で出されたコーナーの中で1番良かった物が選ばれるとその年のMVPとなり賞品としてなかなか予約が取れない超高級ホテルに2泊3日で行くことが出来るチケットがもらえるからである。なんでも予約が取れないと言われるのが納得いくほどの場所で最新の娯楽施設に、最新の温泉や食事、そして世にほとんど出ていない超人気ブランドの洋服やコスメが沢山あると言われている場所‥‥らしい。そのため各クラスの生徒、特に女子たちはいつも見せないほどの気合で場を仕切るのであった。
一方、零達はというと‥‥
「んー‥‥‥別にそう言うのは良いかな」
「私もあまり出かけるのは好きじゃないし、それに遠出なんて疲れるだけでしょ」
朝比奈莉羅と水河瑠璃は商品に関してはあまり興味を持っていなかった。
「それに大事なことは来てくれる人たちに笑顔になって欲しいことだから、血眼になってでもその賞品を取りに行ったら優勝の事ばかりを考えて上手くいくことも上手くいかなくなると思うし…」
莉羅は裁縫道具を使いカチューシャの制作をしているのであった。瑠璃は莉羅の隣で当日必要な物をまとめて、零と陽彩、里見は生徒会室の模様替えを行い、香蓮と寧々、理沙は現在買い出しに行っていた。
「私は優勝とか競い合う事はあまり好きじゃないの。まぁ…私は莉羅と一緒に何かが出来ればそれで十分だと思っているわ。たとえこのようなメイド喫茶でも、ね」
「うっ‥‥瑠璃ちゃん、怒ってる?」
「いいえ、莉羅のやる事にはだいぶ慣れたから今更メイド喫茶やりたいって言っても私は何も変わらずサポートするだけよ。えぇ、だって、副会長ですからね」
「や、やっぱり怒ってる…」
丁寧語で話す時の水河瑠璃は怒っているあかしである。
そんなことを言っている内に買出しに行ってきた3人が帰って来て、室内の模様替えも着々と進むのであった。




