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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
中間試験

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それぞれの場所で Ⅵ

 その男はこの戦いにすでに勝ったつもりでいた。何せ相手はたったの3人対してこちらは凶器を持った猫族と兎族が数十人、そして男はかつて優秀な実力者しか入れないと言われている第1術科学園の卒業生である。本来ならばこんな闇社会にいるべきではないが、そこは事情があり自暴自棄になっている所をスカウトされて今に至るのである。そして男はこの世界に入ってから生き生きとしていた。気に入らない奴を殺しても何の罪に問われない、弱者を徹底的に痛めつけてもこの弱肉強食の世界ではそれが当たり前の日々である。そしてその男は見事強者の一員となり、大量の金に、大量のサンドバックを手に入れていた。

 そんな生活を送っていたある日の事男の前に1人の人物が現われた。その人物は一見パッとしないが今までこの世界で生きてきた男には確かに感じた。この人物はただ者ではない‥‥と、そうして1つの仕事を与えた。それは獣人族の捕縛と監禁という内容であった。

 そして数日後、獣人族の中で最弱と言われている猫族を、またある日には兎族を仕掛けた罠にかけそのまま捕縛したのだった。そうして管理を任された場所で毎日殺さない程度に痛めつけ、毎日適当な女子供を見繕っては体の隅々まで徹底的に可愛がるのだった。そして人体実験を見る機会が偶々あった。その様子はなんともグロテスクで、何とも非人道的であった。研究者たちは被検体の猫族と兎族を最早人として見ていなかった。その体に何の躊躇いもなく刃物を入れた。麻酔など一切せずに‥‥そしてその光景は人間から見ても地獄以上の光景だった。被検体全身隅々隙間なく凶器で何十回、何百回刺されたような痛みの叫びを発しても一切お構いなしに身動きが取れない体にメスを入れ続け、泥の様な液体が入った注射器を何十回も躊躇なく刺していきそしてその実験が終わった時にはすでにその被検体となったものは確実に死に絶えるのだった。ではその死んだ奴はどうするか? 埋葬や遺体も燃やすなどすると思っていたがそんなことは一切しなかった。答えは至極簡単なことで‥‥


 四季有紗は何の迷いもなく走り出した。正面には数十人の凶器を持った少女たちがいた。そしてその先にはその少女の命の手綱を握っている男がいた。両手には強力な電気を流すボタンに痛めつけるための丈夫な縄を持っていた。男を一刻にでも無力化にしなければ最悪の場合数十人の少女の中から死者が出てくる可能性の方がよほど高い。ではどうするか? それは、有紗は向かって来る少女たちをギリギリまで引き寄せてそして‥‥飛んだ。だがそれは人間が通常飛べるような距離ではなかった。その光景のあっけらかんとなっている男に有紗のとび膝蹴りが男の胸部に直撃した。その衝撃でボタンだけが落ちたのだが有紗にとってはそれだけで十分だった。男は持っていた鞭で有紗を叩きつけようとしたがこれまで痛めつけるためにしか使ってこなかったのか動きが単純で読みやすかった。有紗はその鞭の攻撃を難なく躱しそして男の顎をアッパーカットで吹き飛ばしたのだった。だが流石はこの世界の強者の1人なのかそれだけでは意識を奪うことが出来なかった。

 「く、くそがぁぁぁぁ!! 雑魚のくせによくもこの俺を殴ったな! ぜってぇ許さねぇぞ!」

 怒りを露わにしながら持っていた拳銃を有紗に向けた…と同時に

 「【式神符:ウインド・カッター】!」

 瑠璃が放った式神から風の刃が放たれ、拳銃に吸い込まれそのまま真っ二つになり、だがそれでも男の闘志は消えていなかった。今度は小型ナイフを出して有紗に向かって行ったが

 「【式神符;ナチュラル・バインド】」

 式神から出てきたいくつものの太い枝が有紗に向かっている男に拘束されたのだった。そして最後の仕上げに

 「安らかに眠れ【スリープ・ソング】」

 莉羅が放ったその奏音術は声を特定の波長に切り替えて発動することで相手の肉体ではなく精神に影響を与えるためどんなに肉体を鍛えていようが防ぐ手段はない。よって男は徐々に意識が遠のいていき、そしてその場で寝始めたのだった‥‥


 「‥‥よし、これで最後っと」

 カチャカチャ…ガチャンと音を立てて最後の黒い首輪が外れたのだった。その首輪は猫族と兎族がしていた首輪でこれがある限り自由が利かなくなるが、たった今外されたことでこれで少女たちは晴れて自由の身となった。だが実際は何も変わらない。首輪が外れた程度でも少女たちがこの人間の世界にいる限り何時また襲われるか分からない。かといってこの大所帯をどこで保護すればいいのかも分からない。それに保護が出来ても今の社会や人々は獣人族や亜人族を受け入れる可能性は絶望的である。ムムム‥‥と唸る有紗たちとそこへ

 「あ、あの…その、えっと‥‥助けてくれてありがとうございます」

 「えっ、あぁ、ううん、気にしないでいいよ。私たちは貴方たちがあんなひどい目に遭っているのを黙って見るのが嫌だっただけで、思わず体が勝手に動いただけだから」

 「そ、それでも…ありがとうございます。これまで私たちは人間を残酷で、醜い化け物として見ていました。ですが貴方たちは違いました。とても勇敢で、とても優しい‥‥そんな人に見えました」

 1人の猫族がそう言うのだった。その言葉に「えへへへ‥‥」とにやける有紗であった‥‥

 これで万事解決‥‥かと思いきや今まで3人の後ろにいたアサヒ、マヒル、ヨヅキが動き始めた。3人はこのフロアの1番奥にある所で立ち止まった。「ここだな」「うん、間違いない」とアサヒとマヒルが言い合いそしてアサヒの手が黒く染まり…その手を目の前の壁に置くと

 「喰らえ」

 それだけで目の前の壁が爆発した。そして煙が晴れて現われたのは何と通路で、いわゆる隠し通路だった。そしてその2人は先に進み始めた。3人はその後を追おうと付いていこうとしたがその前をヨヅキが止めたのだった。

 「えっと、この先は皆さん行かない方がいいと思います。()()()()()()()()()()…」

 そう告げたのだった。

 「えっ、それってどういう‥‥」

  どういう意味なのか聞こうとしたところで

 「ヨヅキ」

 「終わったぞ」

 1分もかからずに2人が戻ってきたのだった。

 「おかえり‥‥ご主人様から頼まれた物回収できたの?」

 「あぁ、問題はなかったよ」

 「ここの人間達ってバカだよなぁ。こんなことすればご主人の怒りを買うだけなのに」

 そう呟いていたのであった。回収? ご主人? 怒り? 何のことか分かっていない3人であった。

 「それじゃあ、ご主人様の所に戻ろうか」

 そして6人と数十人の猫族と兎族の少女、そして拘束され深い眠りに就いている男はそのご主人がいる場所まで【座標転移】で向かうのであった。そしてその場所に着いて彼女たちが見たのは‥‥

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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