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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
無能少年の春休み
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最悪の春休み初日Ⅱ

 デパート店【DREAM・HAPPINESS】の店内はとても広いという言葉だけでは収まり切れないほど広い。つまりそれほどのお店コーナーや商品類が多く、全部を回り切れるのに最低半日~1日はかかる。もしもここに1人で来るならば、施設全部を短時間で見回るためにはあらゆる店から滲み出てくる誘惑に決して負けない志で臨まないといけない。何故なら‥‥‥

 「…で、結局全員進展なし。と」

 零たちは今2階のフードコーナーエリアにいるのであった。そこでは様々な名物料理や、人気店から出店している料理が多く提供されており多くの家族や友人、恋人で賑わっている。

 そんな中、零たち五人は空いていた席に座り少し遅めの昼食を取っていた。本来ならば黄菜子の親らしい人物か、それらしい情報を見つけて1日でも早く黄菜子の親と再会させるため、このデパートだけでなく近くの商業エリアも探す必要がある。それなのに何故ここまで遅くなったかというと‥‥‥まぁ、単に先ほど述べた誘惑に5人全員が負けてしまったからであった。

「だ、だって仕方がないじゃない。まさかこのデパートに欲しかった新作の探偵グッズや新作の化粧品が入荷していたなんて思っていなかったから…」

 まず有紗がそう言ってきたのであった。有紗の手元にはいくつもの探偵グッズらしき物や化粧品でいっぱいだった。まぁ、探偵グッズの方は変なものが多く、ほとんど役に立ちそうのない物が中心である。

 「私もつい見惚れたグッズがあったから、ついつい大人買いしちゃった」

 「うむ。拙者も千尋殿と同じようなものである」

2人は自他ともに認める根っからのアニメオタクであるため、ゲームセンターやアニメグッズコーナー店で事前に家から持って来ていた大きな袋に、そのグッズを溢れる寸前になるまで買ったり、ゲームセンターにあるUFOキャッチャーにしかないアニメグッズを取りまくったりして両手にはパンパンになった袋が二人の傍に置かれていたのだった。ちなみに、二人ともUFOキャッチャーの腕前はプロ級でかつてグッズを取り過ぎてその店に出禁になったことがあるとか、ないとか…

 そして黄菜子の方に顔を向けると、大事そうに1匹のぬいぐるみを持っていた。そのぬいぐるみは、以前放送されていた動物アニメのキャラクターであった。それについて聞こうとしたら、

「あぁ、それは、黄菜子ちゃんが欲しそうに見ていたから、私が取ったぬいぐるみだよ」

と、千尋が言うと、黄菜子は「(コクコク)」と首を縦に振ったのであった。その様子は恥ずかしながらもで嬉しそうであった。

「それに同志だって、新刊の漫画やラノベを我らと同じくらい買っているではありませんか」

「うぐっ!?」

 返す言葉がない。

 零も、他のみんなと同じく黄菜子の親と情報を探している最中、近くの本屋を通り過ぎようとしたら、偶然にも今欲しかった新刊の漫画とラノベが同時に発売されており、親と情報を探すのと、ここで新刊を買っていくかどうするか迷い、しばらく悩んだ結果買う事にした。しかもその本屋には以前から探していた漫画とラノベがシリーズ事にたくさん並んでいたため、ついつい見入ってしまい、それらも買ってしまった。そしてついでとばかりに近くにあったアニメショップに赴き、そこで欲しかったアニメグッズを数十個購入。最終的に本屋とアニメショップ、合わせて20ほども買ってしまったのだった…。

 その時にはもう間もなくお昼の時間が過ぎており、結局一度全員2階のフードコーナーに集まり現状報告兼お昼ご飯にすることとなった。そこで合流した際、まさか他の四人も零と同じようなことをしているとは考えてもいなかったが…。そこに

 「おーい、星乃~」

 どこから声が聞こえたためその方向に振り返るとそこには一条裕也と三条絵里奈がいたのだった。ちなみに裕也が学校から呼び出された理由は言わずもがな。

 「はぁ~、参ったぜぇ。まさか春休み初日に学校から呼び出されてしまうことになるなんてなぁ」

 「ふん。自業自得でしょ」

 「仕方ないだろ。学校何て毎日毎日退屈で面白くないしさぁ」

 「だからって学校にあんないかがわしい本を持って来ていいわけないでしょ!」

 「いいだろそれくらい。全国の年頃男子はああいうものに興味があるものさ」

 ドヤ顔をするが全員無視したのであった。

 「あっ、初めまして三条絵里奈と言います。で、こっちは…」

 「いっ、一条裕也です! 初めまして!」

 2人は4人に簡単な自己紹介をしたのだった…だが和也だけは何やら様子がいつもとおかしかった。

 

 「…で、何であんな美人2人とお前が一緒にいるんだ。俺たち仲間じゃないのかよ」

 「? 何の?」

 「決まっているだろ! 俺たちは互いに彼女、もとい女友達がいない。その仲間だ」

 「…ちょっと何言っているのか分からない」

 昼食後、情報収集を再開したのだが、女性たちが賑やかな会話をしている後ろで和也が零に彼女たちとどういう仲なのかを聞いてきたのだった。よく考えてみたら2人が有紗たちと会うのは初めてで、零の事を知らない人から見ればそう問い詰めるのも無理もない。

 何せ、零は学校内ではスクールカースト最下位で、誰とも関わらない孤独者、そして術科学校に通っている術者なのに()()()()使()()()()()()と言われているのだから。

 「嘘言うなよ。一体どんな人生送ったらあんな美人2人と一緒に買い物ができるんだよ」

 近い、顔が近い。

 「…はぁ~、別にどこにでもいるただの一般市民で、お前と同じただの術者だよ」

 「はぁ? 答えになってないぞ」

 「良いだろ別に」と適当なことを言い、前にいる5人と合流。そしてその後も情報収集は続くのだった…。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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