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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
魔族の国へ

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救出作戦 ~無能と竜族~

 竜族。それはあらゆる種族の中で頂点に君臨する最強の種族である。巨大な体にあらゆる術を跳ね返す強固な鱗、口からは強力な炎を吐き、両手と両足に生えているのはあらゆる敵を切り裂く鋭利な爪が備わっていた。さらに知能が高く高度な術をも使うことが出来るため、竜の姿から人の姿に変化することもお手の物である。だが、竜族は魔族が姿を消したと同時に行方不明となっていた。そんな今まで行方不明だった竜族の1人が星乃零の前に現れ、剣の鍔迫り合いをしていたのだった。

 「ほう、我の剣を受け止めたか。並みの魔族でも受け止めることは不可能だというのに…」

 「それは、どうも!」

 そして互いに距離を取るのだった。

 竜族の剣士が持っている剣は大剣でその表面には何かの魔術陣が描かれていた。その文字は滲んでいるため恐らく長く愛用していた武器なのだろう。だがそれでもその剣は傷んでいる所はなくむしろ綺麗な状態で剣への愛着が感じ取れるのだった。

 「1つ質問良いか? どうして誇り高いと言われている竜族が魔族領にいるんだ。お前たちは知能が人間よりも優れているから魔族がこれからやろうという事なんてすぐに分かるはず‥‥」

 「…お主には関係のないことだ。だが、お主が我と同じ土俵に立てるというならば少しだけ話してやってもいい」

 「そうか、じゃあ…しばらくの間俺と付き合ってもらおかな」

 「笑止、我は今お主の後ろにいる者たち、特にお主が助けた人間を連れ帰れという任を受けている。よって貴様と話すことは不可能である」

 「それじゃあ、ついでにどうして連れ帰るのかも問いただしてみるかな」

 互いに話すことが終えたのか、再び両者の剣が激突したのだった‥‥


 その戦いは最早並の人間が入ることは不可能だった。両者の1つ1つの動作に隙がなく、少しでも気を抜けばすぐに致命的な攻撃を受けてしまう。更に竜族は合間合間に口から炎のブレスを吐いて零に僅かでもダメージを与えようとするが彼はそのブレスを持っている剣で切り裂きながら間合いに入ろうとしているため効果は皆無に近かった。

 零の持っている武器は刀1本である。竜族の様な口からブレスを吐くことが出来ず、鋭利な爪で相手を切り裂くことは出来ないはずである。だが彼は竜族に対して1歩も引かずにむしろ防御の事を考えずに攻め続けていたのだった。零の刀の表面にも魔術陣が描かれていた。その魔術陣には【威力上昇】【耐久性上昇】【複数属性付与】の効果がありこれのおかげで竜族と何とか互角に戦えることが出来ていた。零に肉体は竜族のように強固な鱗で覆われていない。彼だって斬られれば激痛のような痛みが走ったり、大量な血が溢れ出すなどの人間の肉体をしている。だからそうならないように目の前にいる竜族だけに集中していたのだった。だから、

 「無能があんな化け物と戦っているだと…」

 「いやあり得ないでしょ、だって無能だよ。きっとすぐに負けるに違いないよ」

 「そうそう、そうなれば俺たちはきっとここから生きて帰ることなんて出来ないんだ」

 「あぁ~、もしそうなればここで殺されるのかぁ~。折角帰れると思ったのに…」

 という身も蓋もない言葉にすら聞く耳を持っていない。

 彼らは単に認めたくなかった。今まで彼らは星乃零の事を無能と言い続けていた。だが彼がここまで以上に戦えること自体誰1人も知らないでいた。だから目の前の状況を理解せず只々これは違う、これは夢に決まっている、こんなことはあり得ない…と自分に言い聞かせて目の前の状況から逃げていた。

 これらをきっと人々は彼らを臆病者と呼ぶのだろう‥‥

 「皆様、もう間もなく【空間転移】の門が完成いたします。脱出の準備をお願いします」

 クランがそう聞こえるように呼び掛けるのだった。だが、反対する者がいた。

 「待って! 星乃さんはどうするの! まさかこのまま置いていくの! それってあんまりじゃ…」

 「星乃君を入れて皆で帰るんじゃなかったの!?」

 水河瑠璃と朝比奈莉羅はクランにそう問いつけようとしたが、途中でローズが間に入り

 「いいえ、これは前もって星乃様が決めていた事です。その方が全員が帰れる確率が高いとおっしゃられていました」

 「それじゃあ、私は残るよ。このまま星乃君をここに置いていくことなんて出来るわけないよ」

 「莉羅‥‥」

 朝比奈瑠璃はここに残ると言うのだった。人は強い意志を持つと誰かに何を言われようがちょっとやそっとでは揺らぐことはない。だから、

 「【眠りへの誘い(スリープ・ソング)】」

 こうして眠らせるなどをして意識を失わせないといけなくなる。そうして、莉羅は前のめりになりながら倒れていくのだった。

 「申し訳ありません。敵の狙いである貴方様がここに残るなどと言ってしまえば星乃様は困られることでしょう。ですからあの人を大切に思うならばここに残るなどと言わないで下さい」

 眠りに就いた莉羅をローズが受け止めてそう囁くように伝えるのだった。

 「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その言葉を放ったローズに「それってどういう…」と疑問を持つ瑠璃であった。

 そしてようやく【空間転移】の門が完成し、それに合わせ多くの生徒たちが一斉に走り出した。「俺が先だ!」「おい押すな!」「急げ急げ!」と我先にその門の中に入っていくのだった。そして後は1-Gと水河瑠璃、そして眠っている朝比奈莉羅を抱えたローズとクランだけが残るのだった。

 そして彼らも門をくぐろうとした瞬間…‥

 グサッ! と何かに貫かれられる悍ましい音がしたのだった。そして彼らは音のした方を見たのだった‥‥

 そこには、竜族の剣士が持つ大剣で星乃零の心臓がある体ごと貫かれ大量の血を噴き出しているのだった‥‥‥

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