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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
魔族の国へ

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救出作戦 ~強襲~

 魔族の国から数キロ離れた所に辺り一面何もないただの荒れ地にローズ、クラン、零を除いた1-G、水河瑠璃、そして捕らわれていた生徒たちがいたのだった。彼らは先ほどまで魔王城にいたのだが、魔王城から出てもまだ兵士たちがいる可能性が考えられるためクランは正門の出入り口に【座標転移】を発動させてその先に飛び込むように全員が入ると今いる荒れ地に一瞬で移動したため初めて転移系の術式を見たほとんどの生徒はそれはもう驚いていたのだった。

 現在の時刻は午前6時50分になろうとしていた。これで後は星乃零と朝比奈莉羅だけだが、残り5分で救出作戦終了の時間になるのだがまだ戻っておらず1-G達は不安でいっぱいだった。もしかしたら失敗したのか、もうすでに生徒会長の身に何か起きていたのか…等と思うばかりだった。他の生徒たちも「やっぱり駄目じゃん」「無能が生徒会長を助け出すなんて不可能だったんだ」「プロに任せるべきだったんだ」とブツブツ唱えるように言うのだった。

 「副会長、もしあの無能が生徒会長を助けることが出来ず、のこのこ帰ってきたらどう責任を取って頂けるでしょうか。このままだとわが校は最大の汚名を塗られるのですよ」

 書記がそう言いながら副会長である水河瑠璃に問い詰めていくのだった。

 「そ、それは‥‥」

 やっぱり私が見間違っていたのか、星乃君ではなく私が行けば助けることが出来たのか、魔族には今の私じゃとても敵わないと理解してもそれでも助けに行けば良かったのか‥‥と後悔の念が今となって表れるのだった。だがそれを一蹴するように、

 「ご安心ください。もう間もなく星乃様がそのお方を連れて帰ってきます」

 ローズの言葉に瑠璃は「どういう事?」と言い返すとどこからか悲鳴のような声が聞こえてきた。その声が聞こえる所に目を向けると、上空からこちらに向かって来る人物がいた。その人物は空中を歩くように移動しながらこちらに向かっておりさらにはその人物は何かを抱えていた。そして近づくにつれてその人物が誰なのか分かるのだった。その人物は星乃零とお姫様抱っこをされている朝比奈莉羅だった‥‥

 「お疲れ様です星乃様」

 「そっちもお疲れ様、今の時間は?」

 「はい、丁度午前6時50分です」

 「まぁまぁ、かな。そっちの方が数分速かったみたいだし」

 「いいえ、私たちは【座標転移】で移動したのでこれがなければ恐らく星乃様の方が私たちより数十分は早かったでしょう」

 「そんなに謙遜しなくてもいいのに。まぁ、それは置いといて‥‥あいつのお世話係はやっぱり大変か?」

 「正直に言えば大変ですね。1日中ソファーでダラダラしていて、ご自身の趣味に私たちを巻き込み挙句の果てには好き嫌いが多いですし‥‥」

 「まぁ、俺もあいつの趣味に巻き込まれてしまうからたまったもんじゃないけどね」

 「……ですが、嫌いではないのですよね」

 「そう、だね、あいつが趣味で作る服のデザインはどれも良いんだよね。ローズやクランが来て居るメイド服や執事の服なんかも作ってもらったんだろ。裁縫力は伊達じゃないからな」

 「ありがとうございます。主様もお喜びになられると思います」

 「今言った事は絶対言わないでよ。絶対調子に乗りそうだから」

 「はい、かしこまりました」

 ‥‥‥こんな状況の中で零とローズは何事もないようにとある人物の話をしているのだった。そして

 「あの~、星乃君、いつになったら降ろしてくれるの? 大勢の人に見られて恥ずかしいよぉ…」

 そしてようやくお姫様抱っこから解放されたのはローズと5分間の話の後だった‥‥


 そして午前6時55分となり…

 「それじゃあ、帰るか」

 零は伸びをしながらそう言うのだった。その事に瑠璃は

 「帰るって、一体どうやって?」

 そう問いだすも、

 「ご安心ください。後は私とクランでこの場に【空間転移】の門をこの場に出します。それが完了次第皆様にはその門をくぐってもらいます」

 「それって…」

 「はい、その第3術科学校へ帰ることが出来ます」

 その言葉が聞こえたのか周りは「やった!」「これで学校に帰れるぞ!」と大いに喜んでいた。

 「ただし、その門が出来るまで3分ほどかかりますので…」

 「俺がその間までは魔族の相手をする。というわけ」

 ローズの言葉を遮るように零が最後の言葉を言うのだった。

 「えっ、もしかしてここに魔族が来るの?」

 「でも遠くを見ても魔族らしき軍隊は見えないけど…」

 小笠原陽彩と大和里見がここからでも見える魔族の国を見ながらそう言うのだった。彼らはここに来るのが軍隊、数千の兵士を率いてこの場に来るのかと思っていた。だが未だに軍隊らしき影が1人どころか1つも見当たらない。だが零は、

 「ここに来る途中、とてつもない魔力量を持つ魔族を感じ取った。おそらくそいつは1人で数万の上級兵士を圧倒するほどの実力を持っているだろうね。そしておそらく、あと数、分‥‥で…」

 説明するように言っていたが、何かを感じ取ったのか途中で説明をやめたのだった。そして彼はこう言った。

 「……マズいな」と


 「‥‥れー君?」

 様子がおかしいことに気付いた星宮香蓮がそう声を掛けるのだった。そして、

 「ローズ、クラン! 今すぐ【空間転移】の門を作って! ミスった。まさかあの種族がここに来るとは俺も考えていなかった」

 「「はい、直ちに!」」

 零の咄嗟の声にも2人は冷静に対応しすぐに【空間転移】を発動させた。すると、2人の目の前に魔王城の正門の様な大きな門が形成され始めた。だが、1000人以上の者たちが一斉に入るまでの大きさや広さがまだまだ足りなかった。その状況からしてこの場は一気に緊迫した状況へと変わり、生徒たちは不安が表われ「こ、怖いよ」「一体、これから何がが起きるんだよ」「もう勘弁してくれよ!」等と泣いたり、叫んだりしていた。

 「おい、無能! これから何が起きようとしてるんだよ! 答えろ!」

 かつて食堂で零達を無能のクラスと言っていた1人の大柄の男が迫り、零の肩を掴もうとした。だが零はその男を見向きもせずに

 「【黙れ、そんなに死にたいのか】」

 呪言の様な言葉にその男はその場で足が止まった。それだけではなく足だけではなく掴もうとした手がピタリとその場に固まったように動かなくなっていたのだった。

 「なっ! 何で動かねぇんだ! おい、上級命令だ! 早くこれを解いて説明を聞かせろ!」

 体は動かせなくても口は動かせるため男は懲りずに説明を言うように命令するのだった。だがそれでも零は男を見向きをせず魔族に国が見える方角に目をやっていた。そのことが癇に障ったのか

 「この俺を誰だと思っている! 俺は第3術科学校に多くの資金を貢献している大手企業の社長息子だぞ! この俺を無視するという事は俺の父親である社長をも無視しているという意味だぞ! この事が理解できるか、あぁ、そうか理解できるわけないよなぁ! 何せお前はへらへら笑っているだけの生徒会長の推薦で入っただけの運のいい価値のないゴミだからなぁ! どうせ生徒会長のここでは言えないような弱みでも握っているんだろ、あぁ?」

 彼は零に向かってそう暴言を吐くのだった。だがこの時彼はとんでもない過ちを犯した。それは零だけでなく生徒会長である朝比奈莉羅にも傷を負わせた‥‥だから、

 「【1()()()()】」

 そう零が言うとその男は何の前触れもなく後ろに倒れたのだった。その事態に周りからは「きゃあああ!」「ほ、本当に死んだのか!」「無能が、人を殺したぞ!」と悲鳴を上げる者、指を指して誰が殺したのかを他の者に伝えようとするもの、何が起きたのか分からず立ち尽くす者…等と様々だった。だがそれでも零は動じずこう言った。

 「そんなにぎゃあぎゃあ騒ぐなよ。お前らは術者の卵だろ。1人の死に対してそんなに慌てていたら戦場では生きていられないぞ。それにそいつは本当に死んでいるわけじゃなくて加減した【死の呪言】で1回死んでもらったが1日経てばすぐに目を覚ますようにしている。そして起きたらこう伝えろ。

 次に星乃零の大切にしている物をちょっとでも傷つけたら地獄よりも苦しい思いをするぞ。と」

 そして零はどこからともなく1本の剣を瞬時に出し、そのまま居合の構えを取り…

 「【居合の型 一閃】」

 何もないはずである目の前に鞘から抜いた剣を振り抜くのだった。だが次の瞬間、キィィィィィィンンンンン!!! と金属同士がぶつかったような音が生徒たちに聞こえたのだった。それは何故か。何故なら零の目の前には先ほどまでいなかったはずの1人の人物がいたのだった。その人物は零より大きい人型だが体は強固な鱗で覆われており、顔はトカゲの様な爬虫類、両手両足は鋭い爪が生えていた。そして持っている剣は大剣だが軽々と持ち剣を振り下ろしていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()‥‥

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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