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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
魔族の国へ

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魔族の国 Ⅰ

 「‥‥【座標転移】か」

 時刻は朝7時過ぎ、成宮航大は部下である三枝からその術の名を聞かされた。【座標転移】はこの現代では誰も使えない古代時代の術である。恐らく魔族たちはその術を使って第3術科学校へ襲撃をしてきたのだろう。だが、何のために襲撃したのかが分からなかった。そして昨日、突如としてグラウンド内に気を失った術強化合宿に行っていたであろう1学年とその教師たちが一斉にその場に現れた。そして三枝はこれも【座標転移】によるのもだと言っていた。この術式は転移する場所の具体的な座標が分かればどこからでも転移させることが出来るとの事だ。では、一体誰がと考えていたら、

 「失礼します」

 航大のいるテント内に部下が報告しに来たのだった。

 「成宮隊長、先程気を失っていた生徒と教師たちが一斉に目を覚ましたため、ご報告しに参りました」

 「そうか、生徒たちは何か言っていたか?」

 「いえ、目を覚ましたばかりのためまだ混乱状態のため、現在会話をすることは難しいと…ただ」

 「? どうした?」

 「先ほどクラス名簿の名前と保護した生徒達の身元確認をしていたのですが‥‥おかしいのです」

 「おかしいとは」

 「はい、術強化合宿に参加していたのは7クラスとその担任の教師なのですが、その中に1-Gクラスがあるのですが、その担当教師がいるのですが、1()-()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()

 「なんだと…」

 そこで航大は部下が持っている1学年のクラス名簿を見るのだった。そこにはA~Gの生徒と教師の名前と顔写真があり、隣に確認した印が書かれてあった。A~Fのクラスメイトの生徒たちには確認印があったが、Gだけは教師以外の生徒に確認印がなかったのだった。

 「本当に確認したのか?」

 「はい、何度も数名がかりで確認を取りましたので間違いありません」

 そう断言するように報告したのだった。そこへ他の部下がやって来たのだった。

 「失礼します」

 「今度はどうした」

 「はい、先程生徒がいないか校舎内を隅々確認したのですが、生徒会室にて魔力探査機に僅かばかりの魔力が確認されました」

 その部下の手元にはコンパスの様な形をしている魔導道具の魔力探査機があるのだった。この道具は魔力に反応すると探査機の中にある針が回り始め、早く回れば回るほど強い魔力反応を確認することが出来るのである。だが、生徒会室では早く回ることなくゆっくり回っていたのだった。

 「その生徒会室に何か手がかりがあるかもしれない、徹底的に調べるんだ。それと生徒たちの対応に関しては混乱が収まり始めた時に話を行う。それまでは引き続き魔族の行方を調べるように伝えてくれ」

 「「了解しました」」

 そうして2人の部下がテントを後にするのだった。そしてその場には成宮航大だけとなったのだった。

 「魔族の襲来とその目的、失われたはずの【座標転移】、1-G生徒の安否不明‥‥恐らくこれらは繋がっている可能性があるな‥‥」

 誰もいないその場でそう呟くのだった‥‥


 魔族領、それは零たちの日本とは異なる場所に存在しておりそこへ向かう方法は不明である。だが、そんな場所に9人が降り立ったのだった。

 「ここが魔族領、何か想像していた所よりずいぶん違うなぁ」

 その者の言う通り、誰もが空は赤く、辺り一面草木が生えていない荒野、危険な魔獣とかが徘徊していると想像していたのだろう。だが実際は、

 「だろ、俺たちと住んでいる所とほとんど変わらないし、多分その予想はほんの一部の場所だけだよ」

 その者に星乃零は言うのだった。彼らは現在捕らわれた生徒たちの救出を行うため【空間転移】を使用したのだが、現在彼らは周りには多くの木で囲まれた場所いわゆる森の中にいたのだった。

 「なぁ零、どうしてこんな場所に転移をしたんだ?」

 小笠原陽彩がそう聞くと、

 「それはこの森を抜ければ大きな国が見えて来るわけだけど、その国には敵対する人間の発せられる魔力を少しでも感じ取った瞬間すぐさま軍を率いて襲い掛かってくる。だけどこの森には発せられる魔力を妨害する場所だから、ここを選んだわけ」

 そう説明するのだった。

 「それは分かったけど、どうやってその国に入るの? 私たちは人間だからここを出た瞬間その軍が襲い掛かってくるわけでしょ?」

 水河瑠璃は対応策を求めるのだった。

 「あぁ、そこに関しては問題ありませんよ」

 すぐさま答える零であった。


 「……うっ、こ、ここは‥‥・」

 朝比奈莉羅はどこか薄暗い場所で目を覚ましたのだった。辺りには何もなく、何かないか確認しようにも手足を手上で拘束されており身動きが取れなかった。そこへ、

 「おや、ようやくお目覚めかい」

 莉羅の目線の先に蛇族のミザリーがいたのだった。

 「ここはどこなのですか? 他の皆はどこにいるのですか?」

 「自分より他人の心配かい、まぁいい、他の奴らはこことは別の牢屋に入れているよ。今頃目を覚ましていることだろうね、今頃泣きながらここから出して、とか、殺さないでって命乞いとかしているだろうね」

 そう笑いながら問いに答えるのだった。

 「‥‥どうして私は他の皆と別に閉じ込めているのですか?」

 「おや、自分でも気付いてないのかい、あんたは他の奴らとは違う事を」

 「何を言っているのですか、私は他の皆と何も変わらないただの学生術者ですよ」

 「‥‥その言いぶりだと今まで何も気付いていないようだね」

 「? 何の話ですか…」

 「あぁ、特に大したことではない。せいぜい我らの悲願のための贄となる日までここで余生を過ごすといい。まぁ、どうせそう長くはないけど」

 そうしてミザリーはその場から去っていったのだった‥‥そして莉羅以外誰もいなくなり、

 「瑠璃ちゃん、星乃君‥‥‥」

 2人の名前を呟くのだった。

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