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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
魔王復活

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324/348

会敵:同級生

 「……まさか、お前たちが来るなんてな」

 3人の入った部屋の中はやはりというべきか広く入り口同様豪華そうな装飾品や絵画などが飾られていた。特に一番目立つのは大きな絵画で、どこかの家族が描かれていたのだった。そしてその絵画の下にいるのは1人の魔族だけであった。そしてその正体は、

 「…一条、和也」

 安藤小夜がその名を口にするのだった。

 「それは俺が適当に考えた名前だ。この姿ではシンと呼ぶんだな」

 シンと呼ばれる男は一条和也の時だった姿とは異なり、人肌のような色とは違い褐色の肌、背中には翼、そして頭部には魔族を示す角が生えていた。

 「…さて、お前たちがここに来たのはおおよそ見当がついている。…俺を殺しに来たんだろ? まぁ、そう思うのも無理もない。何せ俺は日ノ本十二大族の一条和也として過ごしてきた。だが、目的を果たした今、俺は一条和也として生活する理由はもうない。ならば俺は、俺のやるべきことを、人類どもを皆殺しにするまでだ。例えかつてのクラスメイトだろうとな」

 手に炎を発動させいつでも放てる態勢をとる。

 「……そうね」

 対して小夜も携えている魔武器を鞘から抜き、剣先を向ける。

 「正直私は貴方のことを何も知らない。だから遠慮なく始末することが出来るわ。…でも、その前に」

 ちらっと横を向いて

 「貴方と話したいという人がいるんだから先にそれから済ませましょうか」

 そうして三条絵里奈が前に出てきて……。


 「……和也」

 「………三条家の次女か」

 絵里奈の顔を見るとシンは呟くのだった。

 「……何の用だ。俺はお前と話すことなんて何もないぞ」

 その言葉でこれまでの関係をなかったことにして、今目の前にいるのは人類の敵である魔族だと認識させようとするが、

 「…私は、私は貴方と戦うつもりでここにいるわけじゃない」

 「…何?」

 「私は今でも貴方が魔族だって信じられないでいる。でも、今こうして対峙して分かったわ。貴方が本当に魔族だって」

 「そうだ。ならさっさと

 「でも! そんな理由だけであなたと戦う理由にはなれない! 私がここにいる理由は貴方を連れ戻しに来たの!!」

 「……な、何を」

 「貴方が魔族だからといってこれまでの数年間を全てなかったことになんて出来るわけが…出来るわけがない……。だって、私は、私は……」

 彼女のそう訴えるが

 「何を、何腑抜けたことを言う!! ここは戦場だぞ! ここは魔王城だぞ! そんな世迷言言う暇があるならさっさと失せろ!!」

 手のひらに出していた炎の球を絵里奈めがけて放つ。

 だが、その炎は2つの一閃で爆散するのだった。

 「……やっぱり、相変わらず神童ね」

 「そんなことないよ。魔術を魔武器で斬るなんて今までやったことなんてなかったから、上手くいくか不安だったよ」

 絵里奈の前には安藤小夜と影山優美が立っていたのだった。先ほど2人は放たれた炎の球を魔武器で斬ったのだが、まさか優美も自身と同じ行動をとることを思っていなかったのか内心驚いていた。

 「…それにしても、そんなこと言うために私たちを巻き込んだの? 下らない」

 「まぁまぁさーちゃん。絵里奈ちゃんが勇気を振り絞って言ったんだからここは褒めるところだよ」

 優美は改めてシンと対峙して、

 「……ねぇ、絵里奈ちゃん。私が思うに、口先だけじゃ相手に伝わることなんてないんだよ。だったら言葉だけじゃなくて行動で示さないと」

 「行動…。でも、私は……」

 「……先に言っておくけど、私は優美みたいに優しくないわよ。貴方が迷い続けるならあの魔族を殺すわ。それが、私のやるべきことだから」

 小夜もシンと対峙する。

 「ふん。三条家の次女と違ってお前たちは俺と戦うようだな。ならば教えてやろう、人類が魔族に勝つことは不可能だということを」

 そうして今度は炎の渦を模した攻撃を2人に仕掛けるのだった。


 和也の放つ炎攻撃に対して2人は突込み、

 「はぁあああ!!!」

 優美は魔武器に水を纏わせ自身に向かってくる炎に対して勢いよく振り下ろす。すると振り下ろした水が一斉に形状を変えて水の刃へと変わり、

 「【アクア・カッター】!!」

 水の刃が炎の渦と衝突しそのまま相殺したのか爆散するのだった。だがその程度では和也は動じることはなく、

 「無駄だ! そのような攻撃では俺に届くことはない!!」

 今度は複数の炎の弾丸を優美に向けて放つ。その数はおよそ十数ほど。そしてそのまま着弾するのだが、

 「【来たれ風・何をも防ぐ障壁で・我らを守りたまえ】」

 山影実憂の三節詠唱にて発動させた【エアロ・プロテクション】で炎の弾丸を防ぐ。

 「ふん。三節詠唱なんて所詮は雑魚同然。そんな障壁この炎で壊してやるよ」

 そう言うと今度は両手の炎で1本の槍を生成。それを実憂めがけて放つ。

 「させない!!」

 優美が和也に魔武器を振り下ろす。だが振り下ろされる寸前和也はその場から躱し、

 「そんなに死にたければまずはお前からだ!!」

 そうして炎の槍を優美めがけて放ち、そのまま直撃するのだった。

 「これでまずは1人目……」

 槍の放った箇所には焦げた床………

 「……何?」

 だけだった。本来ならそこに優美が黒焦げで倒れているはず、では、その優美はどこへ行ったのか? と、ふと背後に気配を感じて振り返ろうとしたところに

 「【氷炎斬撃】!!」

 和也の背中に強力な一撃が入るのだった。

 「グッ⁉」

 和也はその場からよろめくのだった。

 「【氷撃剣突】!!」

 追撃として優美は魔武器に氷を纏わせそのまま突進攻撃を仕掛ける。だが先ほど程度の攻撃に対して

 「舐めるな!!」

 和也は炎で瞬時に剣をつくりそのまま優美に振り下ろす。即席で作った炎の剣、だがその威力は申し分なく2つの剣がぶつかった瞬間氷で纏われた魔武器はすぐさま溶かされていく。

 「くっ、このままじゃ…」

 「そのまま真っ二つになれ!!」

 そうして完全に氷は溶かされるも魔武器はかろうじて炎の剣を受け止める。だが炎の剣が魔武器を押していき耐久値がどんどん削っていく。そしてピシッ! と魔武器から割れそうな音がしたのだった。

 「これが人間と魔族の力の差だ!! お前のようなか弱い人間はさっさと死んでしまえ!!」

 そうして、

 パキィィィン!!! と魔武器が真っ二つに割れる。

 「これで、終わりd

 

 「【闇風:千鳥足】」


 和也が大きく剣を振りかぶろうとしたその瞬間、どこからか風がした気がした。だが気付いた時には和也の体中から血飛沫が上がるのだった……。

 「…ちっ、仕留め損ねたか」

 チンッ。と魔武器を鞘に入れる音とともに和也の背後に安藤小夜が現れたのだった。

 「き、貴様、いつの間に俺の背後に……。先ほどまでいなかったはずだというのに…」

 「……そんなことどうでもいいでしょ。さっさと優美から離れなさい」

 すぐさま魔武器を抜いて和也めがけて上段から魔武器を勢いよく振り下ろすと風の刃が向かっていくのだった。だがその風の刃は剣術で繰り出されるであろう風の刃と異なるものだった…。

 「そ、それはまさかっ!! …くっ!」

 繰り出された黒い風の刃を見て和也は最大火力で炎の渦を模した一撃で対抗するのだった。

 「くぉおおおおおおお!!!!」

 互いに繰り出された技は互角、そしてその場一帯に爆発が起きるのだった…。

 「…何故だ、何故、お前のような人間が魔族しか知りえない剣術を使える!! それが使える者はこの国にいるはずがないというのにっ!!」

 爆発の煙の中から和也が小夜めがけて炎の剣を振り下ろす。対する小夜は後ろに躱して

 「【黒炎渦:突】」

 魔武器から繰り出したの炎の渦を模した中距離系の攻撃。だがその色は和也とは違い黒く、そうして互いの炎の渦が衝突する。人間と魔族では攻撃力や防御力、魔力量などすべてが違う。だというのに、小夜が繰り出した黒い炎の渦はそれら全てを喰らうかのように和也の繰り出した炎を飲み込み、そのまま和也に直撃するのだった……。

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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