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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
強化合宿

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強化合宿 ~横暴~

 そして術強化合宿が始まった。

 場所は学校に援助してくれる方が私有しているとある山である。そこには森が広がり、川があり、そしてそこで採れる野菜や果物はとても品質が良く市場やスーパーで売られることが多い。

 そんな場所に第3術科学校高等部1年の生徒が森野から数メートル離れたログハウスの前にいたのだった。ログハウスはとても大きく百数名いる1学年が入ってもまだ余裕があるほどである。そして生徒たちはに持っていた荷物を室内に置いて来た後今に至るわけである。

 「さて、君たちには今日から1週間この森で術強化合宿を行うわけだが、まずは簡単に1週間の流れについて説明しようと思う」

 そして学年主任による説明が行われたのだった。

 まず始めに時間の流れについてである。明日から2~3日は、朝は7時に起床。そして15分から30分間の朝食、次に8時にクラスに別れて術訓練を行う。この訓練では、同じ術者同士に別れて互いに使用できる術を見せ合い、意見を述べ合いながら術の向上を行う。そして昼食の後は、1時間半の座学を行い、その後は再びクラスに別れて術の向上を行う。そして入浴後は、30分の夕食を摂り、その後はグループごとに決められた部屋にて1日の反省会を行い22時に就寝‥‥という流れになっている。

 そして、4日目から最終日は実際に森に入って、学校側が用意したエネミーもどきと実践することになっている。このエネミーは術者を見つけ次第襲い掛かるよう作られているが、殺傷性のある攻撃はしてこないようになっている。だが、もしエネミーの攻撃を受けると、森に入る前にあらかじめ着けられる小さな的から出てくる特殊な電波によって誰が攻撃を受けたか教師陣から分かるようになっている。そして評価次第では中間、期末テストに影響が出て来るとの事であった。

 「…以上がこの合宿1週間の流れである。何か質問がある者は」

 「はい」

 「では、南里」

 そして、南里和希(なんりかずき)は立ち上がり

 「はい、ここには将来を期待された術者たちばかりなのにどうして6人の無能がいるのですか?」

 そう言い、1-Gの6人を見るのであった。その発言に数名の人は頷いたり、クスクス笑っている生徒がいたのだった。

 「まぁ、南里そう言うな。彼らは無能であろうが仮にもこの学校の生徒だ。もしも彼らだけ仲間外れにしたらこの学校の品格を落とすことになる。だから、彼らにも参加資格があるのだよ」

 「なるほど。分かりました」

 そう言うと和希は座るのだった。

 「他に質問が内容ならば、これより術強化合宿を行う」


 「くそっ、好きかって言いやがって…」

 「絶対見返してやる」

 そう言いながら小笠原陽彩と大和里見は歩きながらそう呟いたのだった。

 今日は初日という事で山の周りを散策するフィールドワークを行っていた。その目的は自己紹介や得意な事、使える術等を教え合うためである。高等部に進級してもまだ1ヶ月だが、クラス全員を把握していないだろうと思ったためかこうして初日は歩き回りながら自己PRを他のクラスは行っていた。だが、1-Gはたった6人しかいないため自己紹介を改めてすることがない。何故ならすでに互いの自己紹介をすべて言い終わっていたからである。そして先頭の二人の後ろにいるのは

 「むにゃ、むにゃ・・‥‥」

 「もう、寧音起きてってば」

 柳寧音と柏木理沙である。寧音はいつも通り眠っているため理沙は寧音をおんぶして山の周りを歩いていたのだった。

 「「…‥‥‥」」

 さらに後ろにいるのが、星乃零と星宮香蓮である。2人は特にしゃべることなく只々歩くだけであった。

 そしてフィールドワークが始まって1時間が経過して、ようやく

 「あ、あの、星乃君」

 と香蓮がそう呼びかけたのだった。

 「ん? どうした?」

 「えっと、あの、荷物を持ってくれてありがとう」

 「あぁ、いいよ。大したことじゃないから。それに良かったの? 俺を星宮さんの1人暮らしの部屋の前まで連れてきても」

 「その、上手くは言えないけど星乃君なら大丈夫かと思って‥‥考えなしだったかな?」

 「まぁ…良いんじゃない」

  それは合宿当日の朝の事であった。喫茶四季に泊まった星宮香蓮は合宿に持っていく荷物を部屋に置いているとの事だったので急いで取りに行こうとしたが、零がふと「荷物取りに行くついでに一緒に学校まで行こうか」とそう声を掛けたら「…‥うん」としばらく考えて1人暮らしをしている部屋に一緒に行きそのまま学校近くまで一緒に登校したのだった。

 「それに、零君といるとなんだか昔の事を思い出して‥‥」

 「? 昔のこと?」

 「うん。私保育園の頃まであのあたりに住んだことがあって、その時お隣さんの家に私と同い年の男の子がいてその子と毎日日が暮れるまで公園やいろんなところで遊んだの」

 「へぇ‥‥」

 「でも、ある日いきなりあの場所から引っ越さないといけなくなって…‥だから、私は‥‥」

 そう言いかけたところで口が動かなくなった。その事に気付いた零は

 「? どうした?」

 「…‥あれ、私、あの後その男の子にどうしたんだっけ?」

 「思い出せないのか?」

 「うん、何かを渡したんだけど何を渡したのか思い出せないの」

 「‥‥まぁ、何だ、思い出してその男の子と会えるといいね」

 「えッと、ありがとう‥‥」

 それから2人の会話はそれ以上進展しなかった。


 フィールドワークを終えると気付けば夕食の時間となっていた。

 各クラス入浴を済ませてすでに夕食の席についていた。今日のメニューはこの森で採れた新鮮な野菜や果物や川で釣った魚を使用した豪華な食事である。だが、食事の前に小笠原陽彩があることに気付いた。

 「どうして、1-Gの席がないのですか!」

 その声は食堂全体に広がったのだった。

 その言葉通りA~Fの生徒たちや教師には席が用意されているのに対して何故か1-Gの席は1()()()()()()()。そしてそんな彼に対応したのは

 「いやはやおかしいですな。この食堂使用の申請は数週間前に貴方たちの教師が行ったのではないのでしょうか。その証拠に、他のクラスの申請書は私がこの通り持っているのですが‥‥」

 そう言いながら手に持っている申請書らしき書類をこのログハウスのオーナーは見せるのであった。

 「そんなこと1度も聞いていない! そんなこと‥‥」

 「知っていたら」と言い終える前に

 「あれぇ、おかしいなぁ、確かに申請したんだけどなぁ‥‥あっそうか、その申し込んだのは()()()()()でしたよぉ。全くついうっかりしていたよ」

 「つい、うっかりって‥‥」

 「これで分かりましたか。ここに貴方の居場所はないんですよ。さっさと出て行って、そこら辺の雑草でも食べていればいいじゃないですか。ここには雑草は山ほどあるのですから」

 そうオーナーが言うと、大勢の生徒と教師は彼らを見下すように笑うのだった‥‥

 そんな光景を目にして陽彩は

 「どうして、どうして、僕たちがこんな目に遭わなければならないんだぁぁぁ!!」

 そう言うと、オーナーに拳を振るうのだった。この展開に誰も止める者はいなかった。そしてこの後の行く末をここにいるクラスメイトが目撃し、そしてすぐにでも1-Gクラスは全員退学するだろう。そしてオーナーの顔に陽彩の拳が直撃する僅か数センチの所で

 「【止まれ】」

 すると、陽彩の拳が何かに縛られるように止まるのだった。そして止めた人物は陽彩の手を下ろさせたのだった。

 「頭を冷やせ陽彩。もしこのオーナーを殴ればお前だけじゃなく周りにいる皆に迷惑がかかるだろ」

 そう小声で語りかけたのだった。そしてそのオーナーはと言うと

 「き、貴様、ここに泊めてやっている身分で何という無礼な! 貴様ら今すぐ立ち去れ! お前たちはこのハウスの出入り禁止にする!」

 その怒声に他のクラスメイトは「ほら、やっぱり無能だな」「暴力で解決だなんて…」「この学校の実力を落とすつもりかよ‥‥」等などのぼやき声が聞こえるのだった。そして陽彩は自分が何をしたのかようやく理解したのだった。

 「ほらみんな荷物持ってもさっさと外に行くよ」

 そう星乃零は他のクラスメイトにそう指示を出したのだった。


 「皆、ごめん、僕が熱くなったせいでこんなことに‥‥」

 「いいよ小笠原君、私も小笠原君と同じ気持ちだったから」

 「小笠原君は何も悪くないよ」

 「2人とも‥‥ありがとう」

 荷物を持ってログハウスから事実上追い出されたわけだが、この後の事は…

 「でも、これからどうしたらいいんだろう‥‥」

 「言われた通り、そこら辺の雑草を食べるしかないのかな」

 あっ、全然考えていなかったな。殴りにかかったもんだからこの後の事を考えていたと思っていたのだがそうではなかったらしい‥‥そう思っていると、誰かのお腹の音が鳴ったのだった。その音の発生源は

 「う、うぅ~~~~」

 星宮香蓮だった…

 そんな中、星乃零は、

 「まぁ、仕方ないか」

 そう呟いてある行動に移ったのだった。


 『これで、あいつらはこの学年から完全に孤立したな』

 ログハウスにて松島茂(まつしましげる)はそう思っていた。彼の目の前には豪勢な食事でたくさんだった。新鮮な野菜や果物に、川で釣り上げて数時間の魚を使用した魚料理、そして高級A5ランクの牛肉を使ったすき焼き等々まだまだたくさんあるのだった。

 彼は今日まで体調を崩したという嘘の病つまり仮病で1-Gとのかかわりを完全に断っていた。それなのにこの合宿では自分だけはこんな贅沢をしていた。本来ならば許されざることだが、この学校では許された。何故なら、()()()()()()()()()()()1()-()()()()()()()()()()()()()。だからこんな暴挙が許せるのであった。

 『それにしてもこの酒はうまいな。きっとあんな無能を見ないで済むからだろうな』

 そしてお酒を一口飲むのだった。

 『今頃、あいつらは雑草でもむしり取って無様に食べているだろうな』

 ククク‥‥と笑うのだった。

 だが、ここにいる生徒と教師は知らない。現在、外ではログハウスに提供されている食事並みの多くの料理が出されていることを‥‥

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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