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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
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1月2日

 「兄さん! 早くしないと席がなりますよ」

 「そんなに急がなくてもライブは逃げないぞ」

 元日が明けて1月2日、今日は妹である愛花とともにとあるデパート店に来ていた。愛花が言うには今日は何でも人気アイドルの正月ライブを行う日とのことらしい。ちなみに俺はそのアイドルグループの事についてはよく分からないため見るより愛花の付き添いという形で来ていたのであった。そのグループは今人気急上昇中と言われており様々な場所でライブを行っており、最近では少しずつテレビ番組にも出演されてあるらしい。愛花はそのグループを入院中に何度も見ており、彼女たちの歌と踊りを何度も見ているうちに気づけばファンになっていたと言っていた。そして俺は入院生活の間に愛花をファンにさせたというそのアイドルグループをぜひとも一目見たいということからこうして愛花に付いてきたのであった。

 そのライブが行われるステージはデパート内の大きな広場に設置されているステージで10人くらいならば大きな振り付けでも隣とぶつかるということはないほどの広さだった。そしてそのアイドルグループの人数は7人で構成されているためステージ上でも十分なパフォーマンスを発揮できると思われる。俺と愛花が来たときにはライブまで数十分前だというのにステージ前に設置されているいくつもある観客席はすべて埋まっていることから2階から見ることとなったのだった。2階からでも十分見えるのだが腰掛けられる椅子などはないためライブが終わるまで立ちっぱなしになるのだが「兄さんは心配性ですね。私なら大丈夫です」ということもあってこの2階から見ることとするのであった。そうしてしばらく待っていると

 「おや? そこにいるのは同志ではありませぬか?」

 ふとそんな声を聞いて後ろを振り返るとそこには立花豪士と成宮千尋がいたのだった。

 「あっ本当だ。星乃くんあけましておめでとう。···あと、そちらは?」

 「えっと、あけましておめでとうございます。こちらは俺の妹の星乃愛花です」

 「あぁ! この子が星乃くんの妹さんなんだね。はじめまして成宮千尋です」

 2人には以前から愛花のことについて話しているが実際に顔を合わせるのは今日が初めてである。

 「は、はじめまして! 星乃愛花です。兄さんがお二方にご迷惑をかけていないでしょうか!?」

 「···ん? なんでそうなるんだ?」

 「だって、兄さんのことだからご友人であるお二方に迷惑をかけているに違いないと思いまして」

 「いやいや、そんな二人に迷惑をかけることなんて···ねぇ?」

 ちらっと二人の顔を見ると

 「「·········」」

 (えっ!? 何その表情!? 俺、なにか無自覚でなにかやらかしたのか?)

 思い当たることがあるのか2人揃ってなんとも言えない表情をしていたのであった。その表情を見た愛花は「···に、兄さん」と気不味そうにこちらを伺うのであった。

 「······ぷっ、愛花ちゃん。星乃くんは私達に迷惑なんてかけていないよ。それどころか色々助けてもらったよ」

 「そうですぞ。同志は拙者と千尋殿と時間が合えば1日中買い物をする仲ですのでなんの問題はないですぞ」

 と、先程のなんとも言えない表情から一転してそう言うのであった。

 「じゃあ、早くそう言ってくれよ。てっきり俺が無自覚で2人になにかしたのかと思ったじゃん」

 「···あぁ~···うん、そうだね」

 「同志は時折拙者たちには到底及ばないことをやるものですからなぁ···」

 (あれ!? もしかして気づかぬうちに何かやらかしていたのか!)

 「兄さん? 一体何をしたのか説明してもらっても?」

 笑いながら詰めてくる愛花だがその表情は何だが怖かった。と、

 「みなさーん!! こんにちはー!!」

 愛花が詰め寄ってくる最中にスピーカー越しで大きな声が聞こえたのと同時にウォオオオーー!!と観客席から大きな叫び声のような声が聞こえステージの方を向くとステージ上にアイドルたちが出てきたのだった。アイドルたちがステージ上に出てきたことにより「あっ! 始まった!」とすぐさまステージ上に体を向けそのままアイドルの方を見るのであった。それにつられて俺達もアイドルのライブを最後まで見るのであった。


 「はぁ〜、最高でした!」

 ライブ後、俺達はデパート内にある食堂で食事を摂っていた。ライブ後もあるのか店内には先ほどのライブを見た観客たちも何人か見られライブの感想を食事を摂りながら語り合う姿が見られるのだった。

 「どの曲もいいけど、やっぱり最後の新曲が良かったなぁ~」

 「そうそう、まさか新曲が披露されるだなんて思ってもいなかったよ」

 「新曲もいいでごさったが、やはり拙者は最初と最後の曲が良かったですぞ!」

 「「わかる、わかる〜」」

 3人は意気投合するも

 (···やばい、3人の勢いについていけない···)

 零だけはほとんどついていけていなかった。その理由は簡単で零は3次元より2次元に一途で3次元であるアイドルにはこれまでほとんど関心を持っていなかったため先ほどのライブを見てもどこが良かったのかよく分からないでいたのだった。ちなみに声優アイドルは別である。

 「兄さんはさっきのライブ、どこが良かったですか?」

 勢いについていけないまま不意による愛花の質問が零にきたのだった。零は考えた。どうすれば愛花たちに不快な思いをさせないのか、そして、零の一言が周りにいるであろうファンにもし聞かれ一斉に叩かれれ、挙句の果てにはファン全員によるネット上での罵詈雑言が書かれるであろう···と。そうならないように零は脳をフル回転させ最適な返答を考え、「···そうだな」と言い、そしてこう答えた。

 「まずアイドルたちの着ていたあの衣装、あのフリフリはすごく丁寧に作られていたのか踊る度に揺れ動く度に男心をくすぐられたと思う。その踊りの振り付けは何時間も練習したのか全体の流れや細かな動作にキレや躍動感があったと思う。歌声は多くの観客に届かせようと気持ちがこもっていたのか歌詞一つ一つ聞き取りやすかった。そしてアイドル一人ひとりの素材がいいのか握手会を行えばファンたちはライブの度に毎回足を運んでくれるのだろうと思った。あとは···」

 「兄さんストップ!」

 零の息づく暇のないコメントに愛花は慌てて止めるのだった。

 「ん? どうした愛花? まだ終わっていないけど?」

 「長すぎますよ兄さん! 何もそこまで言わなくても一言でいいんです!」

 「そ、そうか、ごめん···」

 零はそう謝るのだった。と、

 「その声、まさか星乃君?」

 隣のテーブル席からひょっこり顔を出してきたのは···


 「はぁ〜〜、ライブ最高だったなぁ。ねぇ、さーちゃん、みーちゃん」

 「全く、なんで私がアイドルのライブを見ることになったのかしら···」

 「み、耳がまだキーンってする···」

 影山優美、安藤小夜、山影実優の3人はライブが行われたステージを後にしていた。

 「ねぇねぇ、この後どこに行こうか? せっかくの親睦会だから今日1日めいいっぱい遊んで楽しもうよ!」

 優美の提案に

 「嫌よ。私はもう帰る」

 「え、えっと、私、人混みに酔いやすいから難しい、かも」

 あっさり断られたのだった。

 「えぇ〜、そんなぁー、さーちゃんもっと遊ぼうよぉ。せっかくの退院祝いなんだからぁ。今度は人混みの少ないところで遊ぼうよぉ〜。それならみーちゃんも大丈夫でしょぉ?」

 「だからこそよ。さっさと帰ってまた寝るわ」

 小夜は否定的だが

 「そ、それなら大丈夫、だと思う」

 「ありがと〜〜、みーちゃん!」

 そう言いながらギュッと抱きつくのだった。その様子を見ていた小夜は「じゃあ後は2人で楽しんで」と言いながら背中を見せてこの場から去ろうとしたのだが

 「やだやだやだぁ! さーちゃんも一緒がいい!」

 「そんな子供じみたことをしても嫌なものは嫌なの!」

 「遊んでくれないと大声で泣くぅ〜〜」

 「そんな恥ずかしいこと止めなさい!」

 「じゃあ遊ぼうよぉ~~」

 去ろうとする小夜を優美は後ろから抱きついて逃さないようにするのだった。そうしてそんな微笑ましい攻防の末に

 「·········はぁ、分かったわよ。もう少しだけ付き合ってあげる」

 「ありがとー!! さーちゃん!」

 観念したのか小夜は優美たちにもう少しだけ付き合うことになったのだった。

 「それじゃあ、遊ぶ前にあの食堂でご飯にしよう」

 そうして3人は近くにあった食堂へと入るのであった。


 「···それで、なんだかんだで付き合ってやっているんだな」

 「仕方なくよ、仕方なく」

 食事後、安藤小夜たち3人と零達の4人はデパートを出て人混みがなく、尚且つ一息出来る場所へと向かっていたのだった。

 「やっぱりどこを探しても人混みばかりだったなぁ」

 「そりゃあそうでしょ。この時期に遊べる場所なんてこの三が日は人混みかもしくは閉まっているしかの二択しかないんだから」

 「とか言いつつさーちゃんはがっかりしていたりぃ?」

 「してない」

 他から見ればそっけない対応をしていると思われるが「ねぇねぇ着いたらどうする?」「···適当に過ごすわ」と優美にとって小夜の冷たい発言はなんとも思っていないし、小夜も優美の会話に素っ気ないが返答をしているのだった。以前聞いた話だと2人は何でも幼馴染で昔一緒に遊んだ仲とか··。だが見たところ仲は悪そうではないためこれも一種の仲の良いやり取りなのだなと零は結論づけるのだった。

 「それにしても星乃くんの妹さんとさーちゃんが知り合いだなんて驚いたなぁ。一体どこで知り合ったの? 詳しく教えて」

 「嫌よ。仮に教えたとしても対して面白くないわよ」

 そう言いながら小夜は前で実優と話している愛花に視線を向けるのだった。愛花と実優はどうやら共通の趣味があるのか仲慎ましく会話をしていたのだった。そんな2人を見て小夜はどこか寂しそうな表情をしている様子は零と優美が見ても実に分かりやすかったのだった。そこで

 「そうだ、さーちゃん、この機に愛花ちゃんと連絡先の交換したらどうかな?」

 そう提案するも

 「···悪いけどそれは無理ね。だって私はあんな人として許されないことをしたのだから。そんな私とあんな優しい星乃さんと仲良くなんて出来るわけないわ」

 小夜の言うあんなこととは11月下旬起きた鳳星桜学園生徒誘拐事件の件で安藤小夜は力を得るために多くの人を殺したことである。最終的には優美の尽力、そしてアリスの手助けで一命をとりとめたが、それでも犯した罪まではどうする事もできなかった。安藤小夜という少女は一見冷たい人物かと思いきやどうやら責任感が人一倍強いようであった。そんな彼女はこれからどうするのか、そしてその罪とどう向き合うのか、それは本人しか分からないことで零はこの件においては彼女自身に任せることにするのであった。

 そうしてしばらく歩いて7人が着いた場所は···

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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