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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
財閥令嬢家からの依頼

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光の当たらない場所にて Ⅶ

 私は再び生き返った影山優美を殺すため、安藤家の復讐を果たすためにとある人物と取り引きをした。なんでも通常の何倍以上の魔力と力を引き出すことのできる投与薬品の被検体になってほしいと声を掛けられた。その人物はいかにも怪しかったがあの時の私にはどうしても力が欲しかった。だから何の躊躇いもなくその薬の被験体となった。その際井上咲綾たちも一緒にいたため「小夜がなるなら私たちも」と数名のクラスメイトも一緒にその投与薬品の被検体となったのだった。そしてその薬品を体内の取り込むとすぐに効果が現れた。体中から今まで感じたことのないほどの力が沸き上がると同時に魔力がどんどん溢れてくる感覚を感じたのだった。そして近くの訓練場に攻撃術を放つと初級術を放ったというのにまるで上級並みの威力が放たれそしてその訓練場の大半はまるで何かに荒らされたかのような形状へと変わり果てたのだった。これなら優美を殺せるかもしれないと思ったがその時体に僅かばかりの異常さを感じたのだった。その異常さは僅か一瞬だったが人とは違った何かが潜んでいるような……そんな感覚だった。そうして迎えた体育祭、決勝会まで苦戦することなく順調に進んでいったのだった。そして迎えた決勝会、私たちは優美の元まで足を進めたのだった。途中でほかのチームと戦闘を行ったのだがそのチームは実力はあると聞いていたが大したことなかった。その後は優美と戦闘を行ったのだった。結果はこちらの圧倒で優位に進み、後もう少しで殺せそうなところである人物がその場に現れたのだった。彼の名前は星乃零。彼は周りから無能と呼ばれていること自体はすでに知っていた。だから力を得た私にとって敵ではないと思い斬りかかったのだが、結果はどうだ。無能と言われているはずなのに魔力を込めて斬りかかった剣を難なく防いだではないか。それからも斬りかかったのだが彼は私をそこらへんに生えている雑草のように見ていたのだった。それに頭が来てさらに魔力を込めて斬りかかったが結果は変わらなかった。何度も何度も攻めているのに彼は微動だにもせずさらに持つ虹色の剣に防がれるだけで何故か私の持っている剣がボロボロになっていき、そして最後にはパキンッと折れてしまったのだった。このままでは負けると確信したときに薬を提供してきた人物から退却しろ。と連絡があらかじめ耳元につけていた通信機に届いたのだった。そうして私たちはその命令に従いその場から退却したのだった…。

 それから私たちはさらなる力と魔力を求めて投与薬を1か月の間に十数本打ち込んだ。そうしてしばらくして変化が起きた。まずさらなる力と魔力はもちろんのこと、私たちの身に術とは異なる力が身に宿ったのだった。その力はその人物が言うには【再生能力】というらしく体に負った傷が時間経過とともに徐々に治り数分後には傷が完全に治るらしい。他にも私たち1人1人に魔武器に代わる新しい武器が渡された。そして武器を試すためにその人物が用意したのは多くの人間だった。なんでも彼らは窃盗、詐欺、万引き、そして殺人などの犯罪を起こした者たちで中には多くの人を殺した者もいた。そしてその人物が言った言葉が「その者たちを殺せ」だった。ふつう誰もが嫌だと抵抗するのだがどういうわけかそのような抵抗感が全く湧いてこなかった。

 そして気付けば命乞いをする者、まだ二十歳にも達していない者、私たちと歳が近いと思われる者たちの命乞いを聞きながら武器の精度や切れ味、放たれる術の出力がどれほどのものなのか確認するため何度も何度も何度も彼らに向けて武器を振り下ろしたり、術を放ったりと繰り返しながら1人、また1人と殺していった。そして最後の1人を殺し終えると不思議と人を殺したという事実よりも発散できたという爽快感のほうが強かった。その人物が言うには犯罪に染めた人間を殺すことは悪ではない、これは正義による裁きの鉄槌だ。と言っていた。私はその言葉に救われたかもしれない····そのおかげでなんの躊躇いのなく優美をこの手で殺せるのだから。

 そしてその日となった。再び優美が私の前に現れた。今の私は人ではなくようやく優美を殺せるのだという高揚感を得ただけの怪物になっているだろう····でもそれでいい。私が優美をこの手で殺せるのなら、この手で安藤家を、両親を殺した影山家の跡取りを殺せたのなら影山家はもう二度と日ノ本十二大族から永久的に抹消するはずだ。優美の両親はもう子を宿せるほどの年齢や体力はないはずなのだから。

 確かに優美は強い。生まれ持った才能でこれまで様々な上位成績を残したことだろう。だが、今の私にとってそんなものはただの紙くず同然も同じだ。何故なら私のほうが優美の何十倍も強いのだから。そして戦いの末に優美の持つ魔武器が折れたのだった。この一撃はこれまでの剣の打ち合いですでに優美の魔武器の一部にヒビが入っていたことは分かっていた。そこに協力な一撃を与えたのだから折れるのは当然だ。そしてそのまま振り下ろした剣は由美に致命傷を与えた。これで死んだと思ったが何十メートルも飛ばされた優美を見ると胸部辺りに入れたはずの剣の傷が数センチと浅かった。おそらく受ける寸前に何かしらの方法で僅かばかり後方に下がり受けるダメージを減らしたのだろう。相変わらず生まれ持った才能の持ち主はそう簡単に死なないということだろうか。

 だが今度こそこれで終わりだ。そうして再び剣を振り下ろす構えを取ったのだが一体どうやう理由が突然目から涙を流し始めたのそして私に向かって謝ってきたのだった。どうして謝る、どうして涙を流す、どうしてそんな優しそうにこちらを見てくる。やめろ、そんなふうに私を見るな、私に、躊躇させようとするな、私に、人の心を引き戻させるな! 早く、早く優美を殺さないとどうにかなってしまう。だから早くこの剣を首めがけて振り下ろさなければ····それなのに

 「‥‥‥うん、それで小夜の怒りが収まるなら‥‥」

 なのに、なのに何でそんな優しい表情が出来るんだ!

 ······どうして優美がそんな優しそうな表情ができたのか、どうして涙を流したのか、どうして····そんなに安安と死ぬことを受け入れられるのか。

 そのことについて最後まで分からず私は掲げた剣を勢いよく振り下ろした······


 「全く、どうして自分の命を大事にしないのかにゃあ?」


 女性のような声がした。そして気付けば優美に振り下ろした剣がその女性によって防がれていたのだった。


 私はここで死ぬ。そんなことは最初から覚悟していたし、今更もっと生きたいと思うことなんて身勝手だと思っていた。でも実優や仲良くなった1−Gの皆、そして生き返らせてくれた星乃くんに何も告げずに死ぬのは避けたかった。せめてお別れをちゃんと告げてから小夜と戦えばよかったかもしれない。小夜があんなふうになってしまったのはきっと私のせいかもしれない。だからその責任を果たすために死んでお詫びしなければいけなかった。そうしてやっと死ねるのだなと思っていたのに、1人の女性によって阻まれたのだった。

 その女性の見た目は普通の、どこにでもいそうな女の人だった。だけどその女性は明らかに違うところがあった。頭部に猫耳のような耳が生えており、臀部辺りには長い尻尾が生えていたのだ。確か名前は····

 「あ、アリス、さん?」

 目の前にいるその女性が数時間前に星乃くんにべったりくっついていたアリスという女性と一致したためその名を呟くのだった。そしてその名を呼ばれたアリスは「にゃ」と言いながら掴んだ剣を引き寄せて小夜の溝にドンッともう片方の手でつくった拳をお見舞いしたのだった。その衝撃は小夜だけでなく周囲で燃えていた炎や半壊していた牢獄もろとも吹き飛ばしたのだった。そして姿が見えなくなるのを確認したあとこちらに振り向いて

 「はい、貴方にディアからお届け物だよ」

 背中に背負っていたそれを下ろして私に渡してきたのだった。そして恐る恐る長い袋を開けてみると中にはいっていたのは淡い光で輝いていた1本の剣だった。そしてその剣の柄のところに1枚のメモ用紙が巻かれていたためそれ確認すると

 『友人を助けて必ず帰ってこい』

  その一言だけだった。それはまるで彼は私が何をしようとしていたのか初めから分かっていたような一言だった。

 「それじゃあ、私は他にやることがあるからもう行くにゃあ」

 そう言うと今度はもう1つの戦いが行われているところへと向かっていくのだった。そして

 「優美ぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 先程よりも大きくなった炎を纏った剣を持った小夜がこちらへと向かってきた。このあとどうすればいいのかなんて決まっている。私は彼から送られたこの淡い光の剣柄を掴みそして迫りくる炎の剣を迎え撃つのだった。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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