体験入学の目的
競売りが終わり鳳凰慈麗奈との取引を終えた後、零はジュダルから連絡を受けて幼い獣人たちを保護しているマンションにいるのだった。
「それで、お主が欲しがっていたフィギュアは入手できなかったというのかぇ?」
「‥‥まぁ、そういう事になるな。‥‥あぁ、でもあの後そのフィギュアを落札した人から取引次第では俺にあげるって」
「‥‥ほう。それでその取引内容とはどういったものかのぉ?」
「何でも俺が今通っている第3術科学校に体験入学したいんだって。あそこには大したものなんてないのに…」
「ではその目的には何か裏があるじゃろうな。まぁなぜそこまで回りくどいすることが分からぬが‥‥」
「さぁな。‥‥というか俺を呼び出した理由って何だよ?」
「おぉ、そうじゃったな」と言うと近くにあったパソコンを操作し画面に映っているあるファイルをクリックするとそこに現れたのは1つの情報が書かれている電子新聞だった。
「実はのぉ、今から5日前からある学校生徒が次々と行方不明となる事件が起きているらしくてのぉ。…ところでお主は鳳星桜学園という学び舎は聞いたことがあるかの?」
「鳳星桜学園? あぁ、知ってるも何もその在校生とさっき言ったフィギュアの取引をしたんだよ。ちなみに名前は鳳凰慈麗奈というんだけど」
「ならば話は早いかもしれぬのぉ。その行方不明となっている者がその学び舎に在籍している生徒なのじゃよ」
「‥‥なんだ? また魔族絡みか?」
「いいや、ここ最近でこの都市で魔族は確認されておらん。じゃから…」
「欲に塗れた人間どもに連れ攫われた、というのか」
「消去法でそうじゃろうな」とページをめくっていき‥‥
「連れ攫われたであろう者に関してじゃが、やはり女性でその中には教師であろう者も交ざっておる。そしてその者たちに共通することは全員が無術者であることこれ一択じゃな」
「鳳星桜学園には術者はほとんどいない。先月の誘拐では術者と無術者の両方だったというのに今回は無術者だけ。目的は‥‥」
「単純に人身売買、違法風俗で無理やり働かせるか、あるいは強制的にその者を孕まらせるか。連れ去られた者全員は子を宿せる肉体となっておる。それを利用して子を増やし産ませるのか、あるいは只々孕ませ続けそして孕ませることが出来なくなった者はそのまま処分するか‥‥」
そううんうん唸っているがよくそんな考えが出来るものだと思う。まぁ、発想力が柔軟だと思えばいいだけ‥‥か?
「それじゃあ、俺がやることは鳳凰慈さんに体験入学に来た本当の目的を教えてもらう事、で良いのか?」
「‥‥そうじゃな。では童は連れ攫われた者がどこに向かったのか、そしてその目的を探ってみるかのぉ‥‥」
「あぁじゃあ、今日から調べるならティアたちの何人かを手伝いに向かわせるけど」
「‥‥そうじゃな。人手は多い方が良いじゃろうからのぉ」
そしてこちらからはティア、アサヒ、マヒル、ヨヅキ、マシロの4人、ジュダルからクランを鳳星桜学園生徒連続誘拐事件の調査に向かわせるのだった‥‥。
「鳳凰慈麗奈。貴方がこの第3術科学校に来た本当の目的を教えてもらおうか」
決闘試合後の賭け事に勝った零は麗奈にそう告げるのであった。
「‥‥‥‥仰られていることが分かりませんが、私は単純に星乃さんが今通ってらっしゃる学校について知りたいと思い体験入学に立候補しただけですよ」
「‥‥それじゃあ質問を変える。鳳星桜学園では1週間ほど前から今良からぬことが起きている。それは財閥家の者である貴方でもどうすることも出来ない内容で、何とかしようとするも学生の身分である貴方ではどうすることも出来ない。ここからは俺の推測だが、そこで貴方が最も信頼している者かつ権力とは無縁な者、そして他者を圧倒するほどの実力を兼ね備えた人物を探している。違うか?」
そう言い続けている間、彼女はピクリとも動いていなかった。それに僅かながら汗をかき始めていることに気付いた。つまり嘘をついているというサインの表れを示しているという事となり‥‥
「‥‥‥‥いいえ。推測なんかではありませんよ。星乃さんが言う通り私がこの学校に来たのは鳳星桜学園で今起きているある事件の協力者を探していたのです。そしてその協力を見繕うためため体験入学という形で貴方の事を近くで見たいと思いました。そしてその結果、貴方ならば今起きている事件を解決できるのではと思っていた所なのです」
「ではなぜ学生の身分である俺を協力者の候補に挙げた? 強い奴なんてそこら中にでもいるんじゃないのか?」
「いいえ、それでは駄目です。何故ならこの事件が発覚した後すぐに理事長の娘、そして鳳凰慈家の者として術者警備隊、勿論警察の方に被害届を提出しました。ですがどういうわけかその届けは受理されませんでした。それは他の所でも同じでした。そして私は察しました。各術者警備隊、警察署といった取り調べる場に圧力が掛けられていると‥‥。このままでは行方不明となった生徒たちが無事に帰って来れるのか不安でいっぱいでした。そんな中浮かんだのは星乃零さん、貴方です。確かに貴方は周りから無能と呼ばれ有意義のない学校生活を送っていないでしょう。ですが今日の決闘試合、そしてこの場にいるクラスメイトから聞きましたが貴方はたった1人で第7術科女学院に現れた正体不明の巨大怪物を撃破し、体育祭では対戦相手をほとんど初撃で倒すほどの強さを秘めておられ、そして‥‥これは私の勘ですが、貴方の背後にはそんな圧力すら赤子のように思えるほどの、この国をたった1日で半壊滅状態にするほどの権力者がいるのでしょうか?」
権力者。彼女がそう言うと零は「‥‥あぁーー違う違う」とすぐに否定するのだった。
「俺の後ろ盾に権力者なんていないよ。まぁ、いるのは対等な関係の知り合いだけだよ」
そう言いながらポケットに入れていたスマホを取り出し届いたであろう1通のメールを確認し
「‥‥じゃあ、今から会いに行く? ちょうど今その生徒連続行方不明事件について進展があったからさ」
そうして零達は【座標転移】でその人物に会いに行くのであった。当然ながら【座標転移】を初めて体験した麗奈は「えっ! 今まで教室にいたのにどうしてマンション前にいるのですか?」と驚いていた。そして中に入りエントランスルームで待っていると
「ディア――――――♡」
と飛びつく勢いでこちらに向かって来る女性がいた。その女性は相変わらず布生地面積が短い‥‥もはや下着ではないだろうかと思えるほどの洋服を着て零に迫ってきたのであった。零以外の者たちは当たり前だが驚きと恥ずかしさで目を見開いていたり目線をあえて逸らしているのだった。対してディアと呼ばれた零はひょいと躱したことによりその女性は壁に激突したのだった。そのまま気絶したのかと思いきやすぐに起き上がりそのまま零に後ろから抱き着いたのだった。そして女性特有の豊満なお胸をギュ~~と押し付けて「ディア♡ ディア♡ ディア♡…」と瞳の奥をハートの形にしながら嬉しそうな表情をしており更には零の頬をはぁはぁ吐息を出しながら舌でペロペロし始めたのだった。零はすでにこの行為は慣れているのか無表情でされるがままだが他の者が見ればそれはもうイチャイチャの度を越えており‥‥「あ、あんな大胆な…」「お、大きい‥‥」「まるで何かの羞恥プレイを見ているような…」と顔を真っ赤にしていたのであった。
「すまぬな。先ほど調査結果をまとめ終えたところじゃ」
零達にそう声を掛けながらこちらに向かって来る者がいたのだった。その者の後ろにはメイド姿の女性に執事服を着た少年がついて来ていたのだった。そしてその者を見るや否
「‥‥‥子供?」
と初対面である麗奈はそう呟くのだった。
「‥‥ふむ。どうやらそ奴が鳳凰慈麗奈という者かのぉ」
「えっ! どうして私の名前を‥‥」
「なに、そこにいる零から聞いたのじゃよ。‥‥‥ほれアリス、零をそろそろ解放してやってはどうかのぉ」
「えぇーー、もっとディアを堪能したーい!」
「なに、別に取って食おうというわけではない。何ならアリスも参加するかのぉ?」
「うん! そしたらディアともっとくっつくことが出来るから参加する!」
そう一方的に決まり零は「‥‥俺の意思は相変わらずないんだな」と呟きながら近くにあった大きな丸形テーブルの傍にある椅子に座るのだった。そして当たり前のようにアリスも隣に座り零の腕に体重を乗せるように寄りかかるのだが当然ながらアリスの豊満なお胸が零の腕に押し付けることで形が変わるのだがむしろもっとくっつきたいと言わんばかりに更に寄りかかるのだった。その後目のやり場に戸惑いながらも零以外のクラスメイト、鳳凰慈麗奈もテーブル周りにある椅子に座るのであった。




