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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
強化合宿

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春休み最終日Ⅰ

 「ありがとうございました!」

 お客が会計を済ませ店内を出るところで四季春奈はお礼の言葉を伝えるのだった。

 本日は4月6日。今日も引き続き天気は快晴でお出かけ日和な日である。そんな店内には

 「春ねぇ。次の料理お願い」

 四季夏希が春奈に声を掛ければ

 「分かった、今行くね」

 次のお客の対応を行う。

 「お待たせしました。アイスコーヒーです」

 別の席では四季秋実がコーヒーを提供し、

 「はい次のお客様、お待たせしました。ナポリタン定食です!」

 2つのナポリタン定食を夏希が持って行く。

 「お、お待たせ、しました。カフェオレ、です」

 四季冬美は子供連れの親にカフェオレを提供する。

 「春ねぇ、次の注文入るけどいい?」

 四季有紗は次のオーダー用紙を春奈に渡す。

 ここは喫茶四季。ここはとある場所にあるどこにでもあるような喫茶店。そこには美人5姉妹と呼ばれている四季姉妹が店内を行ったり来たりと往復している。そんな彼女たちを

 「いやぁ~、今日は何ともついている日なんだろうな。まさか5姉妹揃っている日に来れるなんて俺たちはラッキーだぜ!」

 「あっ、そうだ! こんなついている日にこそガチャを引かなければ!! …………おぉ!! 30連目でSSキャラを引いたぞ! しかも前回取り逃したキャラだ!!」

 「それじゃあ俺も…。うおっ! まさか10連目でピックアップキャラが出たぞ!! 本当に噂は実在しているかもな!」

 そうして1人がこう言うのだった。

 「あぁ!! 5姉妹が揃っている日にこの店内限りで何かしらの良いことが起きるってのは本当だな!!」

 「俺、これからはここの常連になろうかな……」

 そんな幸せそうな2人に、

 「お待たせしました。こちらご注文の珈琲とフレンチトーストセットです」

 2つのフレンチトーストが乗っている皿が現れるのだった。

 「おっ、来た来た。ありがとうございます! 店員、さん……」

 だが途中で言葉が弱々しくなるのだった。その理由は、

 「……貴方はここの店員さんですか? 聞いた話だと、ここの店員さんは美人5姉妹とその祖父が経営しているって……」

 「………あぁ~、俺はただの手伝いなんで、どうか気にしないでください」

 そう言い2人から離れるのだった……。


 「……はぁ」

 「ご、ごめんね星乃君、急に手伝いに入ってもらって……。おじいちゃん、昨日から腰を痛めたみたいだから私の代わりにホールに入ってくれてありがとうね」

 「あぁ~、気にしないでください。俺はこの家に居候している身なのでこうして少しでも手伝うことで恩を返せるのならいつでも声を掛けてください」

 時刻はお昼過ぎ。午前中は客の入りが少し多かったものの、この時間帯になれば少しずつ落ち着き始めていたので今は星乃零と四季春奈が休憩をとっているのだった。

 「そう言えば明日だよね。春休み初日は確かドリハピで事故が起きたみたいだから後日また集まって遊ぼうって計画してたよね?」

 「あぁ、そうですね。その週内でも良かったんですけどそれぞれ予定があって時間が取れず、ようやく取れたのが俺の春休み最終日になりまして……」

 「でもどうしてドリハピで事故が起きたんだろうね? あそこって確か最新の防犯が設置されているから事故なんか早々起きないと思うんだけどなぁ?」

 冷蔵庫から取り出したオレンジジュースを自身の分と零の分に分けて片方を渡す。零は「あっ、ありがとうございます」とお礼を述べて手にする。

 「そうでもありませんよ? どんなに最新式の防犯でも完璧ではありませんから、必ずどこかしら不具合が起きてそれが誤作動でも起きたかもしれませんね」 

 そう結論付けると、

 「う~~ん。まぁ、そうかもしれないね。たとえどんなに完璧だろうと設備点検しているのは私たち人間だからどこかしらの見落としはあるかもねぇ……」

 春奈もオレンジジュースを飲むのだった。

 「あっ、そうだ。話は変わるんだけど、星乃君、明後日から高等部に進級するんだよね?」

 「あぁ、そうですね。俺の通っている学校は中高一貫だから受験とかなしでそのまま進級できるんですよ」

 「それでさぁ、もし良ければなんだけど、進級祝いでみんなでどこか外食に行かないかなぁって考えていて……。どうかな星乃君?」

 「う~~ん。そんな進級でそこまでしなくても……」

 「でもさ、星乃君は私たち無術者と違って術者養成機関の学校に通っているわけだし、そんなすごいところに通っている星乃君を私たち姉妹は祝いたいなぁって思って……。あぁ、でも強制じゃないから無理しなくても大丈夫だよ」

 四季春奈の言う通り四季姉妹、そしてそうである四季博は無術者である。この世界には術者(スキラー)という体内に魔力がある者と体内に魔力がない者である無術者(アンスキラー)がいる。その割合は6:4、7:3と年々増え続けている傾向がみられる。術者か無術者が誕生するかは遺伝によるものがあるが、やはり確実な方法は術者同士で婚姻を結ぶことが術者の赤子を産むことがほぼ確実である。対して無術者同士で婚姻を結べば無術者、どこにでもいるであろう普通の赤子が生まれるのである。そして四季姉妹の両親は後者に当たる。

 対して星乃零、そして妹の愛花は両親が同じ術者であるため2人とも術者としての才能がある。だが、星乃零は例外であった。生まれつき持っている魔力量が異常なほど少なく、学生が持っている魔力量が平均で40~60%ほどに対して零に限って10%あるかないかの量しかない。そしてその量は今日に至るまで1%も増えることはなかった……。

 だが、零はそんなことまるで気にしていることはなく今の現状を変えたいという強い思いは特になく、今はゲームやアニメといったポップカルチャ―に夢中で術のことは二の次、三の次……というくらい興味は全くなかった。

 そんな彼は今住んでいる場所である喫茶四季もゲームやアニメと同じくらい大切だと思っているため、こうして企画してくれたのなら可能な限りは応えたいと思っている。だからこそ、

 「ありがとうございます。それでしたらお言葉に甘えてどこかで外食に行きましょう」

 「ほんと! ありがとうね星乃君。……さぁて、午後も頑張りますか!」

 そう言いながら立ち上がりキッチンホールへと向かい、零も春奈に付いて行き午後の手伝いに取り組むのだった……。


 翌日、お昼12時前……。

 そのデパート店の入り口には星乃零と立花豪志が端っこに立っていた。2人の服装はよく見かけるようなデザインの服装でイケメンが着ていそうな、あるいは身に着けていそうなアクセサリーは着てもなければ付けてもない。

 「いやはや、ようやく皆の予定があったのがまさか同志の春休み最終日とは……。まさに奇跡的ですな!」

 「そうだよなぁ…。立花さんは大学生だから春休みはもう少しあるんでしょ? いいなぁ……。」

 「同志も大学に入ればきっと楽しいことが待っているはずですぞ」

 「……ちなみに、そこでの立花さんはどうしているの?」

 「……拙者は、講義に出たり、空いた時間にはバイトをしてお金を稼いでいますぞ…」

 「………まぁ、うん、普通、ですね」

 「………うむ。拙者、派手なキャンパスライフを送るのに抵抗がありますからな」

 「……大変、ですね」

 そんな話をしていると、

 「おーい! 2人ともーー!!」

 そうして2人の前に成宮千尋、その隣に黄菜子が、

 「ぜぇ、ぜぇ、お、おま、た、せ……ぜぇ、ぜぇ……」

 すでに体力がほとんど残っていない四季有紗が最後に辿り着くのだった…。

 「所長、まさかと思いますけど、二度寝しましたよね?」

 「し、して、ない、し。ただ、ちょっと、身支度に戸惑っていた、だけ、だし……」

 この時3人は(嘘 (だな)(だろうなぁ)(でござろうな)…)と内心思っており、黄菜子だけは?を頭の上で出していたのだった……。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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