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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
財閥令嬢家からの依頼

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208/348

零対1-A組

 「【ぶっ飛べ! インパクト・ナックル!!】」

 「【斬り倒せ! ソード・スラッシュ!】」

 「【爆ぜろ! フレイム・スマッシュ!】」

 「【斬り裂け! ウインド・スラッシュ】」

 決闘開始と同時に4人は拳闘術、剣術を略式詠唱術で発動させそのまま一気に零の間合いに入りそして渾身の一撃を叩きこむのだった。略式詠唱術にすることにより術の詠唱時間が大幅に減少、尚且つ繰り出される術の威力はこれまでの指導のおかげか今まで以上より発揮されていた。その光景に「おっ、早速略式詠唱を繰り出しやがった」「流石はA組、もうあそこまで使いきれるのか」「これで決まったな」と4人やA組を絶賛していたのだった。対して零はというとすでに間合いに入られそして4人の発動した術が迫ろうとしているというのその4人を只々見ているだけであった。そして4人の術が大きな音と共に零に命中、その影響か零の周囲に煙が立ち観客席や陸翔側からでは結果がどうなったのか分からなかった。

 そしてその煙を晴らすかのように出てきたのは先ほど零に向けて術を繰り出した4人が勢いよく飛び出したのだった‥‥。対して零はというと

 「…なんだ。少しは強くなっているのかと思ったけど、大したことないな」

 直撃したはずだというのに全くの無傷でその場から1歩も動いていなかった。


 誰も何が起きたのか理解できていなかった。先ほどの4人が零に向けて術を発動、そしてそのまま攻撃をしていたことまでは見えていた。だがそこから先は一瞬で気付けば4人のA組が吹き飛ばされていたのだった。そしてその4人はすでに意識を失っており戦闘不能状態であった。がその4人には少量の黒い煤が付いていたのだった。「い、今のは一体…」「さっきの煙の中で何が起きたんだよ…」と未だに状況の理解できていないなか

 「おいおい、どうした。さっきまでの勢いはどこ行った?」

 まるで挑発するように零はそう1-Aに呼びかけるのだった。そしてそんな典型的な挑発に

 「無能のくせにいい気になるなよ! 【切り裂け ウインド・カッター】!」

 森岡絵里奈の魔術攻撃に続くようにクラスメイト数名が魔術や剣術、拳闘術で攻撃を仕掛けてのだった。ただし今度は中距離・遠距離から繰り出し零の出方を探るのだった。その術の攻撃は十数個で先ほどよりも量が多く並みの学生なら回避や防御は困難であり、更に零の場合は今いる場から動いた瞬間に敗北が決定しまうので回避行動をとることは出来なかった。ならば防御結界を展開すればいいのだがすでに間合いに入っているため今から展開しようにも間に合うわけがない‥‥だが

 パチンッ。

 零が指を鳴らすという行動をとっただけである現象が起きた。それは零に向かって来る十数個の放たれた術が音を立てて消滅したのだった。

 「な、なにが起きたの‥‥」

 絵里奈は放ったはずの十数個の術が一斉に消滅という現象に頭が追い付いていなかった。当然ながらその現象に関しては観客生徒たちも理解が出来ていなかった、何せ指を鳴らしただけで術を消滅させるという術なんて誰も聞いたことがないからである。

 「‥‥それで、次は?」

 先ほどの事を成し遂げたというのに何食わぬ顔でさらに呼びかけるのであった。そしてそれに応えるかのように土谷陸翔が1歩前に出てきて‥‥

 「‥‥皆! あの無能が何をしたのかなんて誰も分かるわけがない! でも、だからといってこのままやられっぱなしだなんてそんなの嫌だろ! 俺たちはA組としてのプライドや誇りがある! だからこの思いを胸に今こそ特訓の成果を見せる時だ!」

 そう言うと持っている魔武器を掲げたのだった。そしてその行動に引きつられるかのように1-Aは「おう!」「分かった!」「必ず勝てよ!」と言いながら魔武器を勢いよく掲げ始めたり、持っていない者は自身の魔力を近くにいるクラスメイトの魔武器に送り込むのであった。その行動に観客席の生徒達は察した。『魔力接合』を行い大技である超級術を発動するのだと。その行く末を固唾を飲んで見守り‥‥‥そして

 「受けて見ろ!! 超級魔術【セイクリッド・ブラスター】!!!!」

 陸翔の魔武器から溢れんばかりの光の奔流が放たれ、そのままその先にいる零を飲み込まんとばかりに襲い掛かるのだった。まるで竜が大きな顎を開け目の前の獲物を食らい付くかのようであった‥‥。超級術は数十名による『魔力接合』によって初めて繰り出される最大火力である。『魔力接合』の人数にもよるがその威力はS級エネミーすらも滅ぼせると言われており百体以上もいるエネミーに向けて放てば間違いなく1匹残らず消滅するとのことだ。‥‥まぁそもそも1人の術者に向けてその超級術を放つのはいかがなものなのだろうかと思うが‥‥別にこの決闘で超級術を使用してはいけないと決まっていないため文句の言いようがない。

 さすがの零も迫り来る超級魔術に対して何かしらの行動を起こさなければいけないのだが当然回避行動を起こした時点で敗北が決定してしまう。ではどうしたのかというと‥‥

 ピンッ。

 まるでデコピンをするような指の動きを迫り来る超級魔術に向けて放ったのだった。一見馬鹿げた行動だと、そんなデコピンなんかで超級術に勝てるわけがない、これで決まったな‥‥と誰もが1-Aの勝利を確信していることであろう。だが、彼らは最後まで星乃零が試合開始前にあえて自分に不利な状況を作ったのか、どうして迫り来る超級術に対してすらも平然としそれに対抗するかのようにデコピンという理解不能の行動をとったのか、そして…‥‥‥

 巨大な爆弾が着弾したかのような音が鳴ったと思いきや気付けば零に襲い掛かっていたはずの超級魔術が吹き荒れる風と共に霧散していたということに誰も彼も理解が出来なかった‥‥‥。


 零がやったことは簡単であった。デコピンの構えをとり指を前方に弾く寸前までグググ…と力を溜めていたのだった。デコピンとはその指1本に力を込めて一気に前方へ弾くのだが、零の場合は弾く場所を第1関節だけに限定、そして零の持つ『ある力』を加えることで通常の数千、数万倍、それ以上の威力を出すことが可能となる。なお、その威力は超級術を遥かに超えるほどの一撃である。

 ‥‥‥とまぁ、1-Aや観客席にいる生徒達はそんな原理に理解出来ているはずもなく只々黙る他なかった。

 「‥‥‥もう、終わりなのか?」

 すでに1-Aは立っている者はほとんどいない。何せ『魔力接合』は1つに収束することで莫大な魔力量を得て一撃必殺の火力を放出することが出来る。ただし1度使えば魔力が枯渇し放置すればやがて魔力枯渇症状を起こすまさに諸刃の剣である。そして今立っているのは土谷陸翔を始め僅か数名ほどであった。対して零は全くの無傷で息切れすらしていなかった。

 「‥‥ま、まだだ、例え俺1人になったとしても這いつくばってでもお前に勝つ‥‥」

 そう意気込むかのように言うがすでに息を切らしており意識が朦朧としていた。恐らくそう時間が経たずに魔力枯渇症状を起こすだろう‥‥

 『‥‥う~~ん、この光景前にも見たような気が‥‥まぁ、どうでも良いけど』

 さっさと目の前にいる奴らを楽にしてやろうと思い

 「【眠れ】」

 そう言い指を鳴らすと未だに立っている1-Aは意識が急に途切れたかのようにその場で倒れ始めたのだった‥‥。

 そしてその瞬間を持ってこの決闘試合が終了し、零は宣言通り1歩も動かず、1度も攻撃を受けない完全勝利を手にしたのだった。だが観客席からの拍手や声援は決して起きない。何故なら彼らは零が圧倒的な実力を見せても決して実力を認めず、この勝利はたまたまだと思い込むのだから‥‥。


 試合後、1-G教室にて

 「まさか本当に完全勝利をするなんて‥‥」

 鳳凰慈麗奈は未だに先ほどの試合が脳裏を離れなかった。まぁ無理もないだろう。何せ零の実力はこれまで見てきた術者となんか比べ物にならないほどで、特に超級術に対してデコピンだけで対処したのだから流石の彼女でも度肝を抜かれた。

 「…そういえば最初の攻めてきた4人はどうやって対応したの?」

 そう陽彩が言うのであった。それは試合開始と同時に零に攻撃を仕掛けた4人の事である。あの4人は確かに零に攻撃をしていた。だがその直後には何故か意識を失い戦闘不能となっていたし、それに服に黒い煤のような物も付いていたのであった。

 「あぁ、それは開始と同時に展開した自動防護壁(オート・ジェイル)だ。そしてこれにはあらかじめ衝撃を外部から僅かでも加えられた瞬間、ダメージ反射と同時に爆破効果が付与しているから攻撃をこの防護壁で受けた瞬間与えるつもりの攻撃ダメージが全部自身に跳ね返って来てそれに付け加えて爆破ダメージも合わせているから何もせず勝手に戦闘不能になったというわけだ」

 と解説したのだが「う、うわぁ…」「何か、うん…」「効果が、ね…」と何とも言えない顔をしながら他の者たちは聞いていたのであった。一体どうしてそのような表情を浮かべているのか零には分からないでいたのであった‥‥。

 「‥‥では賭け事は星乃さんの勝ちですね。約束通り私にお好きな命令を与えてください。星乃さんがお望みなら私のスリーサイズや今日の下着の色などお答えしますよ」

 と恥ずかしながらそう答える麗奈だが「いや、だからそんなことは聞かないよ」と断りを入れたのであった。その一言を聞いてほっと胸を下ろしていた女子たちが見えた気がするが、まぁ気のせいだろう。そして‥‥


 「‥‥それじゃあ、教えてもらおうか。貴方がこの第3術科学校に来た()()()()()を」

 

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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