表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
財閥令嬢家からの依頼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/348

忍び寄る死

 謎の暴風が消失した後倒れていた少女がいた場には大きなクレーターが出来ていた。そして当然だがその少女はこの場からすでにいなくなっていた。

 「ご無事ですか! なっ! あの獣人がいない!」

 「なに問題ない。俺の持つ刻印がある限りどこにいようが袋の鼠だ。獣人はいずれこの国の平和を脅かす存在だ。見つけ次第捕えろ…あぁ、それともし、先程の獣人を連れ去った人間が一緒の場合はそいつを殺せ」

 あの獣人には奴隷の刻印が備わっており、それがある限りどこに逃げようが隠れようがすぐに見つけることが出来、故にその刻印の持ち主と刻印の所持者には切っても切れない、視認できない1本の糸で繋がっている。そしてその糸が繋がっている指を掲げ魔力を込めるとすぐに現在の場所を特定したのであった。そしてその場所を伝えると部下たちは「はっ!」と受けてこの場から立ち去るのだった。そして命令を出した男は先ほどまでいた少女の所にいたのだった。

 『あの暴風並みの威力を出せる術者なんて全国探しても十数人程度‥‥まさかそいつらがあの獣人を助けたのか‥‥いや、あいつらは国家の充実な犬に過ぎなければほとんどが日ノ本十二大族出身だ。そんな奴らが街となる獣人を助けるだなんて考えられない。ではどこにでもいるような術者か、あるいは‥‥いや、それはないな。大した力もないくせにこの場に出てくるとは考えられない‥‥』

 その後もいくら考えてもあの暴風が突如現れた方法が分からなかった。暴風並みの術を出すには超級魔術が必須であり、その術の詠唱には5節唱えなければ発動しないし仮に発動できても魔力がごっそり持っていかれるためその場からすぐに立ち去ることは難しい。尚且つ獣人の少女を抱えて移動ともなればすぐに部下が見つけそのまま拘束することが可能である。だというのに部下からの報告では周辺には人1人も確認できていなかったとの事だった。

 だが1つだけ分かることはあの暴風らしき術を発動したのが男性で、恐らく10代の少年の可能性がある。突如現れた暴風の隙間から僅かばかり見えたのが先ほどの少年だった。だが見えたのはほんの僅かで数秒程度で確信はなかった。がそんなことは些細なもとに過ぎなかった。どういう理由であの獣人を連れて行ったかなどどうでも良い。何故ならもうすぐ死ぬ運命なのだから‥‥。部下たちに獣人と連れて行った人間がいるであろう場所には間もなく着いて捜索が始まった頃だろう。特定した場所はここから少し離れた廃墟ビルだった。きっとそこなら隠れ場所もそれなりにあるため何とかやり過ごせると考えたのだろうが向かわせた部下の数は十数人以上で全員がそれなりの実力を備えており隠れている場所が分かっているならばどんな手段を用いても徹底的にあぶり出す。例えそのビルが崩壊しようとも何も問題はなく後程情報操作をすればそのビルから死人が出てもただの事故として処理できるのだから‥‥。

 

 この男性は30代後半で現在捜索している部下をまとめるリーダーであると同時に多くの獣人族を奴隷として扱っているとある会の幹部であった。毎日勤めている会社でのストレスを毎度獣人族にぶつけていた。そしてその後は解消したのかそのまま寝入ってしまったのであった。だが獣人を拘束している枷の1つが壊れていることに気付かず1つの部屋にいる複数の内の1匹が脱走を図ったのだった。その後あらかじめ設置していた脱走防止のサイレンが鳴っていることに気付き、急いで捕らえるため部下に指示を出しながら人通りのない所まで誘導を行いそして再び拘束しようとした矢先の暴風である。結局考え続けたが分からじまいだった。

 「‥‥さて、そろそろ獣人族を捕らえ連れて行った人間は始末できた頃合いだろう…」

 すでに20分が経過し部下たちに廃墟ビルの捜索の命令を出しその部下たちは2人を捜索しているのに対してその男は呑気にタバコを吸っていた。戻った後に行う罰や今後脱走などと考える様な獣人に対して再び人間に逆らえばどうなるか徹底的に教育する方針を脳内で何度も考えていたがそろそろ報告が来る頃合いと見ていた。あの超級並の魔術に使用し尚且つ獣人を抱えながら移動したという事は今まともに戦えば魔力が戻っていないため状態では勝つことは出来ず大した力を出せないことだろう。対してこちらの数は十数名で彼らはこの裏社会で生きている者がほとんどなので人1人殺すことぐらい造作もない部下たちである。‥‥だというのになかなか連絡が来ないため未だに獣人と人間を見つけられずにいるのだろうか。もしそうならば後で罰を与えなければいけないと思いながら持っている通信機に魔力を込めて部下たちに連絡を取ろうとしたところ

 いきなり目の前が真っ暗な夜空に移り変わったのだった。

 『…‥‥‥‥‥‥‥‥は?』

 先ほどまで魔力通信機を見ていたはずの男性だったが1回瞬きして再び目を開けた瞬間時にはもうこの状況になっていた。やがて重力に引かれて落ちていくのだがドスンではなく何故かボトンと裏社会でよく耳にするような音が聞こえ最後には誰かが履いていた高級そうな靴を目にしたのだった。しかもその靴には見覚えがあった。その靴は最近買ったばかりのうん十万する靴であった。色や形が一致するので間違いはなかった。どうして目の前に履いているはずの靴があるのか考える暇もなく上からブシャァァァァァ!!! と音を立てながら赤い液体が大量に降ってきたのだった。この液体の匂いに覚えがあった。それは獣人族を何度も何度も何度も殴った時に出てくる赤いアレである‥‥。そしてその液体が顔にかかり鉄さびのような匂いとともにようやく今起きた事を理解したのだった。自分は誰かに音もなく一瞬で首を斬られたのだと‥‥‥

 『‥‥あ、ああ、あああ、あああああああああああああ!!!!!!!』

 声を発することは叶わず心の中でそう叫び、硬い地面にて首から上だけの状態となった男性はそのまま息絶えるのであった‥‥。そんな頭だけの状態で息絶えた男性の傍には1人の少女がおり片手には短剣のような物を手にしながら

 「主様に害をなそうなど愚かなことを考えるからこうなるのです」

 静かにそう告げるがすでに絶命している者にその言葉は届くことはなかったのだった。その後その主がいるであろう場所に体を向けると同時にまるで建物が爆発したかのような音と共にその場所が一瞬で崩壊したのであった。


獣人の少女と連れて行った人間の対処何て彼らには容易だと思っていた。始めの暴風を起こしたの術には驚いたが度肝を抜かれたが考えてみればあんな超級並の術を発動して満足に動けるわけがない。よってここから少し離れた廃墟となったビルでやり過ごそうと考えるのも無理もない‥‥がここ一帯は彼らのような裏社会で生きているような人間のテリトリーのような所である。そこでは当たり前のように人が行方不明になったり、人が当たり前のように死んでいく日の当たることのない世界、つまり何らかの理由で日の当たる社会から堕ちた人間がそこら中にいる場所である。そして彼らも何らかの諸事情でここで生きるためにやってきた者たちである。

 そうして獣人を連れて行った人間がいるであろう廃墟ビルへと着くのであった。このビルは数年前にここを取り締まっていたオーナーが何らかの理由で殺されその後は誰もいない寂しげな場所へとなっていた。ビルの中は電球がほんの僅かしか点いておらず見渡すと窓ガラスが割られているがまだ使えそうなテーブルや椅子などの備品がそこら中に見られた。そしてここは6階建てでそこら中に個室があり1つ1つ確認していくとピンク色の室内でキングサイズのベッドや大きなテレビ、浴室などが見られるためおそらくここはラブホテルか何かだったのだろう‥‥。それから数十人の部下たちは片っ端から部屋を見て回った。ベッドの上は勿論床下、浴室の中に入りどこかに隠れていそうなところがないか、他にもどこかに抜け道がないかなど徹底的に、隅々6階までまで探したがどういうわけか見つけられなかった、いや、そもそも人のいるような気配は勿論物音すらどこからもしていない。聞こえるのは部下たちが探しす際に聞こえる足音や物音だけであった。リーダーがまさか特定場所を間違えたのかと考えもしたがその可能性は低い。何せあの獣人の首には奴隷の刻印がありそれがある限りどこに隠れていようがリーダーが所持している魔導具に魔力を込めればすぐに見つけることが出来るのである。ここは1度リーダーに報告しようと持っている通信機に魔力を込めた‥‥がいくら待ってもリーダーの持っている通信機に繋がらなかった。一体何故かと思った矢先、ドォォォォォォン!! と入口から大きな音がしたため急いで向かうとそこは2階から1階までの階段が瓦礫のような物で塞がれてしまいこれでは1階に降りることやここから外に出ることが叶わなくなってしまったのだった。今からこの瓦礫をどかしていたら日が昇ってしまいこの隙にここのどこかにいるであろう獣人と人間に逃げられてしまいリーダーの顔に泥を塗る羽目になってしまう。もしそうなればストレス解消の矛先が獣人ではなくこちらに来てしまうため何としてでも探し出さなければいけない。ここの廃墟ビルの出入り口は1階にしかない。2階以降は窓がないため飛び降りたりすることが出来ないためこの瓦礫を除去しない限り永遠に出られないだろう。が、幸いにもこの瓦礫はそこら辺にある木材や泥、岩などで出来たような一般的な瓦礫のため除去自体は容易であったが、質量が多いため数人がかりで除去しなければかなりの時間がかかってしまう事に気付き、そこで2手に分かれて行動することにしたのであった。1つは先ほどから行っている捜索グループ、もう1つが目の前にある瓦礫を除去するグループに分かれることとしたのだった。瓦礫除去には4~5人で十分なので後のメンバーは引き続き捜索を続けるのだった‥‥。

 だがこの場にいる誰もこの後襲いかかる最期に気付いていなかった‥‥。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ