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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
財閥令嬢家からの依頼

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略式詠唱術

 新たな生徒会長である水河雄大が第3術科学校の実力を上げるという方針を告げた5日後、学年ごとにより術の実技講習が行われた。今日から数日ほど月に1回の数名のプロ術者を招き生徒の詠唱術を見てもらい、伸ばすところや改善点を見てもらうのだが、今回はプロ術者は都合上により来れなくなってしまい、そこで代わりに…

 「本日からプロ術者の代わりに皆さんの詠唱術を指導する雨宮史郎(あまみやしろう)です。どうぞ宜しくお願い致します」

 数名の指導者を代表して1人の青年がそう言うのであった。彼は一言でいえば爽やか系イケメンであった。そのため「あの人カッコいい!」「こっち向いてくれないかな…」「手取り足取り教えて欲しい!」と女子たちがそうヒソヒソ言っているのであった。一方の男どもはというと「普通だろ」「どうせ顔だけで生きてきたんだろうな」「イケメン滅びろ」などとヒソヒソ言っているのであった。そんなヒソヒソ話が各場所で繰り広げられているのに対して雨宮史郎は何事もないように「それでは手始めに私たちの実力を見て頂きましょうか」と開始早々で自身たちの実力を生徒たちに披露するのであった。それに対して女子たちは「どんな術を見られるのかしら」「絶対凄いものだよ」「立ち姿がカッコいい…」と実技用の人形に向けて術を放つため詠唱を唱えようとしている雨宮史郎と他の者たちに向けて桃色の声援を送っていた。対して「はっ! どうせ大したことないだろ」「そうそう俺たちの方が凄いんだからな」「イケメン滅びろ」と男どもは自分たちの方が凄くどうせ並の術を放つだろうなと予想していた。だがそれが間違いであったことに雨宮史郎が放った術を見て思ったのであった‥‥。

 「放て【ファイア・ボール】」

 そう1節の詠唱だけを唱えた瞬間初級の魔術である【ファイア・ボール】がそのまま人形へと放たれそして大きな音を立てた後はその人形はゆっくりと下に落ちたのであった。その光景に生徒は動揺が隠せなかった。何故なら実技用の人形は術に対して耐性があり初級や中級の各術をぶつけても下に落ちるようなことは今までなかったからである。だが彼が放ったのは魔術の適性がある者なら誰もが使える初級【ファイア・ボール】のはず‥‥なのにどうしてそんな初級で耐性のある人形を落とせたのか‥‥

 「今のは略式詠唱術といって通常は初級でも最低でも3節は唱えないと術は発動しない。だけどこの詠唱術なら術を発動するまでの時間を大きく短くでき、尚且つ今までよりも大きな威力で術を発動することが可能となり、そしてそれは初級でも同じことが言えますよ」

 そう簡潔に生徒たちに解説をすると生徒たちからは「スゲェ!!」「あんな詠唱術がこの世にあったのか!」「これで俺たちはさらに強くなれるかもしれない!」「イケメン万歳!」と大きな声援と拍手を雨宮史郎たちに送るのであった。

 そんなわけで早速略式詠唱術の指導が行われるのであった。雨宮史郎以外に5人ほどの指導者がおりそのためか全員が雨宮史郎のような丁寧で分かりやすい指導方法ではない。そのためか指導内容も1人1人異なっており「3節の詠唱をギュッとまとめた感じ」「1節だけで詠唱すればおのずと出てくる」「手から一瞬で術を出す感じ」「まぁ、なんだ、イメージ力だ」「気合でやれば出てくる!」等と教え方が独特な指導者たちのため教えてもらっている生徒たちは未だに略式詠唱が上手く発動できていなかった。対して雨宮史郎からの指導を受けている生徒はいうと1時間後には「わっ! 今一瞬だけど出来た!」「この感覚が略式永詠唱術‥‥」「この調子ならもう少しでコツを掴めそうだ」「術って奥が深いなぁ…」とすでに略式詠唱を微弱だが発動できている者やあともう少しすれば完全にコツが掴めるという生徒が1人、また1人と増えていくのであった。そしてそこから30分ほど経つと「放て【ファイア・ボール】」とそう詠唱することで人形に向かって放たれそのまま直撃した者がいれば途中で術が霧散していく者が見られたが着実に略式詠唱を習得していくのであった‥‥。

 略式詠唱術は何も魔術だけではない。剣術や拳闘術、更には占星術や幻陽術もコツは魔術と同じで3節唱える際に必要な所箇所だけを詠唱し、それ以外は唱える必要はない。例えば身体強化の【ビルド・アップ】は3節だと『我が肉体よ・何も通さない・強靭な力となれ』である。そしてこれを1節で唱えるとなると『強靭となれ』と唱えればそれだけで【ビルド・アップ】が発動される。他にも詠唱で【ビルド・アップ】を発動させる方法があり主に『鋼とかせ!』や『通さぬ肉体とかせ!』といった様々な1節詠唱を始めに唱えることにより発動することも可能である。強化術を自身に付与する際初めに『我が肉体よ』と唱える必要は全くない。何故なら唱えて付与するのが本人なら誰に対して付与するのかがすでに分かり切っているからである。ただし1人の対象者に付与する場合には相手に自身の手のひらを翳すなどして付与詠唱を唱えなければいけない‥‥。

 そして生徒たちが略式詠唱に気を取られていたため気付けばすでにお昼休憩の時間となっていたのであった‥‥。


 体育祭終了してから数日後には影山優美と山影実憂は第3術科に転入することが出来たのであった。2人、特に影山優美に関しては転入出来るかは分からなかった。何故なら彼女は1度死んでいる身でありこの事はすでに各術科の学び舎に通達があったらしい。おそらく第7術科女学院の安藤小夜あたりが手を回していたのだろう。ちなみに彼女はあの体育祭以降1度も学院にも家にも戻っておらず、家族は術科警備隊や体育祭運営員に捜査願をすでに出しているが未だに手掛かりが1つも見つかっていないとの事らしい‥‥。影山優美の件に戻るがではどうやって彼女が転入できたのか? それは簡単でこの第3術科の校長にはもしバレれば第3術科のイメージが大幅に下がる様々なことを行っており、分かりやすく言えばパワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティハラスメント‥‥といった様々なハラスメントを生徒が気付かない程度で行っていたのであった。だがそんな決定的瞬間を記録していた映像を見せ「もしこの映像をネットにばら撒かれたくなければ影山優美と山影実憂を転入させろ」と脅すだけでパワハラ校長の頭を縦に振るのであった。そうして2人はめでたく転入することが出来たのであった。その際「一体どうやって転入手続きをしたの?」と聞いてきたがそれとなく適当に誤魔化すのであった。

 そうして今では1-Gの人数は8人となりすでに顔合わせをしていたり、どうやら数日前には女子同士で買い物を一緒にしたりと有意義な1日を過ごせたと楽しそうに話していた。死んだ人を生き返させることは一般的に見れば間違っているだろう‥‥だけどそんな笑顔で楽しそうにあった出来事を友達と話すその姿を見て、生き返らせたことは微塵も間違っていなかったと堂々と思えるのであった。

 今はお昼の時間となり俺を入れて8人で一緒に昼食を教室内で食べていた。やはり話題は先ほどの略式詠唱術の件と、指導役である雨宮史郎達の話題であった。やはり彼女たちも「あの先生カッコよかったよね」「彼女とかいるのかな?」「繰り出す術の速度も結構速かったよね」「あの実戦用の人形を落とすほどの威力だったから驚いたよ」等と昼食を摂りながらそう話していた。

 「ねぇ、星乃君。星乃君から見て略式詠唱術ってすごいの?」

 弁当に入っているハンバーグに齧り付こうとしたが小笠原陽彩のそんな問いに思わず箸を止めるのであった。

 「あっ、そうか! 星乃君から見てあれって凄い事なの?」

 「‥‥えっと、どうして皆星乃君に聞いているの?」

 「あぁそうか、2人とも星乃君についてあんまり知らないんだっけ? 私たちは星乃君の事を規格外って呼んでいるの」

 「それは‥‥‥‥あぁ~~、そうかも‥‥」

 「でしょ。だって常人には出来ないことや動きを難なくこなすし、それにこの時代の誰1人も知らない無詠唱術の事を知っているし、それに‥‥『HSP』の海原マリーと知り合いみたいだし…」

 最後の方だけはプライベートなことを愚痴る柏木理沙であった。

 「『HSP』って‥‥あの11月1日に電撃引退を発表したあのグループ?」

 「そうそう! 何で星乃君はあのマリーちゃんと知り合いなわけ? もしかしてマリーちゃんの彼氏?」

 「‥‥‥ん? 彼氏?」

 「えっ? 知らないの? 『HSP』が解散した理由はメンバーの複数に彼氏が出来たとか、実は妊娠していたとかでネット上で未だに口論しているみたいだよ」

 「誰だよ、そんな出鱈目な噂を流したの‥‥」

 「‥‥‥えっ、あれって嘘なの?」

 「嘘だよ、大嘘だよ。‥‥あっそうだ、何なら本人の口から聞いてみるか? どうせ暇しているだろうし‥‥」

 「「「「「「‥‥‥‥‥‥え?」」」」」」

 そんな反応が聞く頃にはすでに通話状態へと切り替えた零であった。そして3コール目で…

 『何? なんか用があったのディア?』

 と零のスマホから海原マリーの声…とは程遠い寝ぼけた声が聞こえてきたのであった。

 「なぁ、マリーがどうしてグループを引退したかの理由を聞きたい人がいてさぁ、どうせなら話してくれない?」

 『‥‥‥はぁ? 嫌よ。何で深い関係でない人に『HSP』を引退した理由を離さないといけないのよ。それだったらディアが話してよ。私眠いんだからさ』

 「眠いって‥‥もうお昼過ぎているぞ。相変わらず朝に弱いんだな」

 『うるさいわねぇ‥‥いいでしょ別に。アイドルやっていると毎朝早く起きてそのままレッスンやテレビの収録で心地よく眠れなかったんだから当分はこのぐうたら生活を満喫したいの。分かったら切るわよ』

 「‥‥なぁマリー、もしもこの場に俺以外の人たちがいて、今のやり取りをスピーカーで聞いていたらどうする?」『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・は?』

 そしてスピーカー状態でテレビ通話へと切り替えると零のスマホに映し出されたのはベッド上で横向きで寝ており、そして可愛らしい水色の上下の下着を身に付けている状態のマリーの全身が映し出されており、それを零ではなく7人の見知った人物に見られていることに脳を徐々に覚醒させることで気付き始め

 『い、いやああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!』

 その叫び声はスピーカー越しで聞こえ下手すればこの場にいる全員の耳の鼓膜が破れるのではないかというほどの叫び声を発したマリーであった。そしてそれと同時のテレビ通話がプツンと切れたのであった。

 「あれ? もしかして向こうから切ったのか? せっかくみんなが聞きたがっていたのに‥‥あっ、なんか悪いな。俺が提案したというのに‥‥」

 「あぁ~~~、うん、なんか、ね、そのぉ‥‥いきなりはやっぱり悪いよね、うん」

 「そ、そうそう。星乃君、いくら知り合いだからっていってもタイミングはちゃんと考えた方がいいと思うな。うん」

 「今度、お互いの時間があった時に引退話を聞かせて欲しいな‥‥」

 「(マリーちゃんってあんな可愛い下着をいつも身に付けているのかな‥‥)」

 「???」

 女子の一言に零の頭の上には?マークが3つほど浮かぶのであった。

 ちなみに小笠原陽彩はというとマリーの下着姿を直で見てしまい、そしてあまりの刺激に鼻から血を流すのであった‥‥。

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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