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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
財閥令嬢家からの依頼

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劇震が明けて

 人気アイドルグループ『HSP』が引退するという衝撃ニュースからすでに1週間が過ぎた。未だにテレビ番組の多くは『HSP』がどうしていきなり引退をしたのか、もしかしてメンバー同士が不仲だったのか、事務所に何か問題があったのか‥‥等々の討論がニュースそっちのけで続いていた。それだけ多くのファンから愛されていたという証とも言えるだろう。そしてその影響はメディアだけでは収まらずファンからは「明日の活力がぁぁぁ~~~」「あんなに活躍していたのに‥‥」「もしかしてメンバーの誰かが彼氏がいたのか」「今すぐ引退を取り消して!」「推しがいない世の中なんて‥‥」などと番組のVTRで言っているのであった。

 この1週間、喫茶店や学校でも『HSP』の話がよく聞こえてきており、「はぁ~~~」や「ああああぁぁぁぁぁ‥‥‥‥」という呻き声が耳が腐るほどそこら中から聞こえていた。生徒の方はいつも俺に突っかかってくる生徒たちも引退ニュースを見てひどくショックを受けており「あれは夢だ…そう、夢に違いない」「頬を抓ったらこの悪夢から目が覚めるかな…」「マリーちゃん、マリーちゃん、マリーちゃん‥‥」と俺の傍を通ってもそんなことをずっとブツブツ言っていた。教師陣の多くも『HSP』のファンがいたようで引退宣言した数日は1日中自習時間になるほど心が病んでおり、職員室では多くの教師(特に男性)から負のオーラが出ているのがなんとなく分かるのであった。表情から見てもまるで死んだような目をしておりここまで来るのに思い足を引きづりながら来たのだろうと察することが出来た。

 一方喫茶四季でも多くの客は『HSP』のファンで引退宣言のニュースが流れた翌日毎朝いつも来店する客はフラフラしながらやって来ては注文した飲み物や食べ物をこぼしたり落としたりする始末であった。他にも未練がましいのか『HSP』のグッズである缶バッチをリュックやバックにこれでもかというほど付けており時々情緒不安定になり突然大声で泣き出し、かと思いきや缶バッチに自身の頬をすりすりしたりしながら「夢夢夢夢夢夢‥‥‥」とブツブツ言うのであった。女性にも当然だがファンがおり友人と来店しては大量の料理を注文していた。しかもどれもがかなりの量があるもので主に肉や炭水化物中心の料理が多くそしてそのまま友人と泣きながら注文していた料理をやけ食いしていたのであった。女性のやけ食いとは聞いた話だが失恋した時にするものだと思っていたのだが大好きなアイドルグループが引退した時にも行うのだな‥‥と思うのであった。

 引退した『HSP』はあの後どうしたのかは誰に分からない。だが俺の隣で座っている彼女名は知っていたのである‥‥。

 

 「うん? あぁ、他の皆は実家に帰ったり、普通の学校生活を送っていて充実しているってさっき連絡があったよ」

 とある食堂店のカウンター席にて俺の隣で生姜焼き定食を食べている海原マリーこと花里マリィは呑気に言うのであった。きっかけはマリィがこの特盛パフェが食べてみたい。という事でパフェの前のお昼ご飯は俺とマリィで近くにあった番組で取り扱われた人気店の食堂に行くのであった。中は多くの客が座れるほど広くそこら中から白米や味噌汁、揚げ物、焼き魚の匂いがするのであった。そして俺はチキン南蛮定食、マリィは生姜焼き定食を注文したのであった。そしてしばらくすると注文した料理がやってきてそのまま食べるのであった。そしてついでだがあの引退後について聞いて先ほどの返答が返ってきたのであった。

 「ホントいい気味だわ。『HSP』の知名度は国内で知らない人はほとんどいないところまで上り詰めた。そしてあのドームを機に突然の引退宣言、あの豚社長はこれまで私たちを軸にして色々進めていたけど『HSP』という軸が何の前触れも無くなったことによって一気に瓦解を起こし様々な企業や会社から今でも契約が絶たれているのでしょうね」

 「相変わらず考えなしに事を進めるよなぁ…」

 「そうかしら? 前もってジュダルとディアにはこのことは告げていたはずだけど?」

 「まぁ、それはそうなんだけどさぁ‥‥」とチキン南蛮を食べながらそう言うのであった。始まりは8月の女子大生連続失踪事件である。マリィの関係者が次々と行方不明になるという謎の現象が起きた事をきっかけに零にボディーガードという建前の喫茶四季に泊まらせて欲しいと頼んだに出会った。そしてこれにはもう1つ理由がある。それは『HSP』の時にマリィが所属していた事務所の社長に一泡を吹かせたい。である。何でもその社長はそんな事件が起きていようが、その事件のせいで体調を崩そうがお構いなしに休むことは言語道断! と一点張りであった。そして前任のマネージャーはその社長との話し合いの末クビを告げられ今では何をしているのかが不明である。だからマリィはアイドルを都合のいい玩具、ただの消耗品、そして社長という立場を使い横暴な行動をとるものが気にくわないためという理由である計画を考えた。それがドームライブという大きなことを成し遂げた瞬間にそこから一気に突き落とすように電撃引退をすることであった。そして見事成功しその事務所は『HSP』が引退したことが大きく影響し未だに様々な企業からの契約は気が続いている‥‥らしい。やがてはその事務所を閉めないといけないという所まで進んでいるとか‥‥。

 ちなみにこの話が周りに聞こえないよう【音声遮断】と【認識阻害】の効果が備わっているリストバンドを俺とマリィは着けているため周りからは俺達の声は全く聞こえておらず周りから見れば俺たちは普通に注文していた料理を食べているという光景にしか見えていない。

 「なぁ、一応聞くけどその事務所で働いていた職員や所属していたアイドルたちはどうするの?」

 その社長に一泡吹かせてはいお終い。というわけではない。当然それに巻き込まれる関係のない者たちが少なからずいるわけである。もしもその者に救済処置していなければその社長と同じ路頭に迷ってしまう羽目となる。職員たちは最悪どうにでもなるが一番の問題は所属していたアイドルである。その者はもしその事務所が無くなってしまえば大人とは違いすぐに他の事務所を探したり、新しい仕事を探すことは難しい。中には純粋な気持ちでアイドルを目指してこの事務所に入ってきたのだからその者が一方的に夢を失う事は避けないければ行けない。が、

 「あぁそこに関しては問題ないらしいよ。何でもジュダルが近い内新しい事業をいくつか増やすからその事務所にいた職員と所属アイドルを対象に雇うみたい。その中にはアイドル関連の事業もあるみたいだから双方の同意があれば無条件でそこで仕事が行われるみたい」

 「‥‥また何か良からぬことを考えているだろうな‥‥エロい展開とか」

 「まぁジュダルの事だからそうかもね。でもまぁ大丈夫じゃない? ジュダルにこの前聞いてみたけど彼女にとってエロは恥じることない神秘の領域、愛する者同士が織り成す表現方法。そこに汚物が交わることなど言語道断! って言っていたから」

 「…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へぇ」

 しばらく言葉に出来なかったがかろうじてその一言だけ言えたのであった。心の中でツッコミを入れたかったが、まぁ、別に間違いではない‥‥‥ような気も‥‥‥と迷うのであった。


 そして食事後には目的地にある特盛パフェを食べに行き、その大きさはバケツ2個分を積み重ねたほどありテレビで見るよりも大きいと感じた。始めは「わぁぁぁ‥‥! 美味しそう‥‥」と目を輝かせ喜んでいたマリィ。そして数十分後には「…うぇ、もう、吐きそう…あとはよろしく」マリィが顔を真っ青にしながらそう言い終えるとお手洗いへと向かい、残ったパフェ(8割)を1時間ほどかけて食べるのであった‥‥。

 しばらくは甘い物は食べたくないとこの時思うのであった。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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