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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
無能少年の春休み

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仮面の少女 Ⅱ

 すべてのエネミーにとって自身たちの生物たちは殺戮対象としか見ていない。無論S級エネミーも同様である。先ほどの攻撃で人間たちは死んだと思っていたのかもしれない。だが、どこからともなく現われた謎の少女によって阻まれてしまった。だからそのエネミーが取った行動は、

「■■■■■■■■■■!!!」

 この時初めて雄叫びを上げて、胴体にある無数の砲台のようなものを少女に向けて一斉に放つのだった。この時エネミーは知性はないが本能で今すぐにでもあの少女を殺さなければいけないとそう思ったかもしれない。だが命中するよりも早く少女の持つ剣が迫りくる無数の砲弾を一瞬で斬るのだった。そして一瞬にしてその場からいなくなったと思えばいつの間にかエネミーの目の前におり、そのまま振り下ろす。その斬撃は巨大なエネミーを縦に真っ二つするほどの威力である。だが、ただの斬撃ではS級エネミーは倒れることはなくすぐさま再生し元の状態に戻るのだった。

「■■■■■■■!!」

 これまで術者による攻撃で傷一つ受けなかった胴体がか弱い人間によって切断されたという事実は変わらず、さらなる叫びを上げる。今度は無数のレーザー光線を砲台から一斉に放つが、

「【黒炎流斬(フレイムスラスト)(ヴェール)】」

 剣自体をを回すことで黒い炎が発生し正面からくる無数のレーザーを防ぐのだった。少女に迫るレーザーは数百もあるというのに黒い炎はその全てを難なく受け止める。そして僅かに止まった瞬間で

「【黒風斬撃(エア・スラッシュ)乱撃(ラッシュ)】」

 黒い剣を砲台に向けて振るうと4つの風の刃が放たれた。その風の刃はいとも容易く無数の砲台を次々に斬り落とすのだった。だが、砲台先ほど同様に再生をするはずだ。これでは何の意味がない……だというのに、斬り落とされた砲台は何故か再生することはなかった。それは何故か、それは砲台の再生箇所に黒い模様が浮かんでいたからである。その模様は何か分からないが、その模様は再生を妨害しているようにしか見えなかった。

 

 その光景を見てプロ術者である自分たちの出る幕はもうなく、ただ今の状況を見守るしかなかった。

「彼女は一体何者だ…」

 部隊長たちは未だに浜辺におり、今起きている戦いを見上げることしか出来ないでいた。彼らはプロである。だからこそ何も出来なかった自分が悔しかった。自分はこれまでプロの術者として市民を、国を守る責務を全うしてきた。だが今はプロ術者でもない部外者、しかも年端も行かない少女によって守られている。だからせめてあの少女の助太刀に入ろうとするが手が、足が動けなかった。何故なら体が言う事を聞いてくれないからだ。何度も動けと念じているが動くどころか足が震えていた。それは何故か? 理由は単純だ。恐怖である。先ほどまで戦って体が理解してしまった。あれは人間が叶う相手ではない、もし1歩でも動けば何も出来ず少女の足手まといとなり無惨に殺されてしまうだけだと。

 「………隊長、ここは引きましょう」

 「なっ!? 馬鹿言え! 俺たちは最後まであのエネミーと戦うつもりでここにいる! だというのにここで引くだと! それは断じて

 「俺も同じ気持ちですよ。プロとして最後まで全うするつもりでここにいます。ですが、この状況を見ても戦えるとでも言えるんですか? 隊長だけじゃないっすよ。この場にいる皆全員が戦意喪失している中でどうやって戦えるんですか?」

 その表情は、自分よりも悔しそうであった。彼は誰よりもお調子者だ。だが、実力は部隊長に次ほどの実力を兼ね備えている。そんな彼の悔しそうな表情にほんの少しだが、冷静になれたかもしれない。そして、

「各部隊、魔力がある程度戻り次第、後方にいる他の部隊と合流する」

 そう指示を飛ばすと「了解」と応じたのだった。すると不思議なことに足の震えは治まるのだった。


 それから戦いは一気に終盤に進んでいく。エネミーの攻撃を少女は剣1本で難なく防いでいき、攻撃が緩んだ一瞬を狙って再生を妨害する多様な攻撃を仕掛ける。そうした一方的な盤面が出来たころには

 「■■■、■■■、■■■■■■……」

 エネミーの持つ再生機能がほとんど低下し、今ではそこら中が斬撃や刃といった攻撃により今にも崩壊がしてもおかしくはない状況だった。だが、エネミーには核という人間で言うなれば心臓の役割を持つ器官がどこかに備わっている。それは破壊しない限り延々と終わりはない。

 もし、この状況を第3者が見たらどう言うだろうか? きっと……

 これではどちらが人類を脅かす敵なのだろうか、と。

 「……そろそろ終わりにしようか」

 少女の周りには巨大な魔法陣のようなものが展開され始めた。そのことからこの一撃でS級エネミーは確実に核ごと消滅することとなるだろう。それを本能で理解したのかエネミーは唯一残っている巨大な口から先ほど放とうとした巨大な炎の砲撃を放とうとしていた。少女の放つ一撃よりもエネミーの放つ攻撃のほうが僅かばかり早く、そしてエネミーの攻撃が先に放たれ、

 「【黒煌終焉覇滅(ブラック・ノヴァ)】」

 後から遅れて少女の展開していた魔法陣から禍々しい一撃が放たれた。その全てを飲み込むような黒い一撃は迫りくる巨大な炎の砲撃を飲み込み、そして、そのままS級エネミーを、どこかにあるであろう核ごと全てを飲み込むのだった………。

 

 「……こ、これは」

 術者たちが見たのはエネミーのいた海面がエネミーごと消滅していたのだった…。それほど先ほど見た一撃はS級エネミーすらも難なく撃破できるということと言える。そしてその消滅した箇所の上には仮面をつけた少女がいるのだった。

 「……なぁ、斎藤」

 「……何すか隊長」

 「彼女は何者だ?」

 「それはこっちが聞きたいっすよ。何なんすかあの一撃は? それにあの女の子の持っていた剣は魔武器なんすか? 今まで魔武器を見てきたすけどあんな威力を出す魔武器なんて聞いたことも見たこともありませんよ」

 そう言い合っているうちに少女が術者たちのいる浜辺に降りてきて、そのまま術者たちに目もくれずさっさと浜辺から去ろうとする。

 「待ってくれ、我々を助けてくれたことに感謝している。その上で聞きたいことがあるんだ」

 そう言いながら少女に近づいた。

 

 「主様に触れるなど無礼極まりないぞ人間!!」

 

 どこから現れたのか軍服を着た赤髪の女性が部隊長の腕を掴むのだった。いきなり現れたことに周囲の術者は新手かと思い戦闘態勢をとるが、すぐに本能で感じ取ってしまった。

 この女性は強い。それこそ目の前にいる少女と同じくらいに、と。

 そんな術者たちの思いなど少女にとってどうでもいいかのように

 「……行くぞ」

 「はっ! 我が主!!」

 そうして2人はその場から一瞬にしていなくなるのだった…。


 後日、テレビ報道ではS級エネミーが現れた報道と、それを圧倒的な実力で撃破した謎の少女について議論が交わされたのだった……。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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