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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
体育祭

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決勝会開始前

 10月13日となり体育祭決勝会が行われる日となった。決勝会が行われる場所についてだがこれまでは競技場で行われてきた体育祭だが、この決勝会では近くの場所で行われることとなった。その場所はプロの術者たちが本格的な訓練場として使われている最大規模の実践会場で行われることとなった。広さは大型ドーム4個分で様々な環境やフィールド設定が出来る場所となっている。以前第3術科学校で行われた中間試験の際、実技試験で使われた会場の2倍ほどはあると見てもいいだろう。

 この会場内にいるのは出場選手だけで観客たちはこれまで体育祭が行われてきた競技場におりその真ん中には巨大な映像を映し出すモニターが用意されていた。そのモニターは観客席のどの場所から見えるように同じモニターを4つほど設置していた。観客席には決勝会という事もあってか席が満席状態となっており今か今かと始まるのを心待ちにしていた。彼らが注目しているのは殆どが朝比奈彰人であった。彼は学年最強と言われている学生術者でその実力はプロにも引けを取らないほど。何でも模擬試合でプロ相手に何度も勝利を収めているとか‥‥。そしてこの国の要と言われている日ノ本十二大族の最高地位と言われている朝比奈家の次男が活躍するということもあってどれほどの実力か見に来ている一般客が生徒たちの中にいるのであった。そしてその外見ゆえか多くの女性からファンが多かった。

 そして決勝会が始まるのは移動時間や準備を兼ね備えて正午丁度から始まる予定であった。そのため観客席では売り子たちが昼食用の弁当の販売を行っている売り子を行っていた。始まる前に食べる者や決勝会が始まってから食べる客がそれぞれ見られるのであった。

 そしてその観客席にはこの体育祭に出場していた学生選手たちもおり、その中には第3術科学校の出場生徒たちもいるのであった。彼らはものすごく機嫌が悪かった。食中毒に関しては昨日ごろにようやく症状が治まり今ではすっかり治っていた。だが肉体が治っても心が未だに治っていなかった。そう思えるのは無理もない。何せこの体育祭に向けて練習や努力を重ねてきたというのにそれが食中毒という予想外の事が起こりベッドから起き上がることも出来ず只々安静にするしかなった。彼らはその安静中も本戦会を見ていた。そして彼らの代わりに出場したチームは見事に本日行われる決勝会に出場するのであった。だが彼らは決して良かったと思ったり喜んだりしない。その決勝会にいたのは練習や努力を積み重ねてきた俺達だ、俺達こそが決勝会に出るのがふさわしい、どうして無能や落第、欠陥と呼ばれているお前がそこにいる、場違いだ、今すぐ辞退しろ‥‥‥等々を心で思いながら決勝会の始まるのを待つのであった。

 彼らは例え零達がどれだけ強くても、他チームと圧倒的な差を見せつける実力を持っていようがそれを認める日は決して来ない‥‥‥。


 決勝会が行われる会場、その選手待機室にて‥‥

 「‥‥‥じゃあ、昨日も言ったけど他4チームの相手は任せたよ」

 「本当に1人大丈夫なの? そのチームにはあの人がいるんだよ。きっと他の9人もその人と近い実力を持っているんでしょ?」

 「あぁその心配はないよ。その人はともかくその9人は難なく対処できるから何の問題もないよ」

 朝比奈莉羅の心配に対して余裕そうに答える星乃零であった。「それに…」と続き

 「決勝会という丁度いい機会だし、そろそろ5人には今の実力を確認しておきたくてさ」

 その5人、1-Gを見るのであった。「うっ‥‥が、頑張るよ」と代表して小笠原陽彩が答えるのであった。

 「まぁ、万が一の事態には俺も駆けつけるから心配しなくてもいいよ」

 安心させるようにそう言うがそれでもやはり緊張が見られるのであった‥‥。そこで零はどこから取り出したのか【収納袋】から何かを取り出した。そしてそれに電源を入れると室内に良い匂いがする香りが漂い始めた。それはまるでアロマキャンドルのようなものであった。

 「まぁ、なんだ、何も1人で他のチームを相手しろという事じゃない。もし何かミスをしても誰かがカバーをすればいいし、勝てない相手には撤退してもいい。そして何より俺みたいに1人で何でも出来ないといけないと考える必要もない。ここには俺を入れなくても他チームにも後れを取らない者が9人もいるんだし、それに俺から見ても皆少しずつ強くなっているからいつも通りやれば問題ないさ」

 緊張をほぐすためリラックス効果のあるアロマキャンドルを使ったり、零なりの言葉で励ますのであった。「星乃君‥‥」どうやら少しは緊張が解けたのか先ほどの肩に力がこもり硬かった表情が少しは和らいでいたのであった。

 そして零は用事があると言ってこの室内を出るのであった。


 決勝会が始まるまであと30分ほど。その間零は近くの自動販売機で飲み物を買ったり、先程買ったおにぎりを食べていた。そんな彼の近くを通り過ぎる者たちがいた。彼らは第31Aの者たちであった。どうやら先程までこの会場内にある訓練場で術の最終調整を行っていたのか着ている体操着にそれなりの汚れが見られた。だがそんなことどうでもように零は気にせずおにぎりを食べ続けた。そんな彼の態度が気に入らないのか

 「おいお前、もうすぐ決勝会というのに呑気に昼飯か、少しは術の鍛錬をしたらどうだ。‥‥あぁそうかお前は無能だったな。じゃあ鍛錬しても無駄か」

 出場選手らしき生徒が笑いながら突っかかって来た。後ろにいるその者たちも小さくクスクス…と笑っていた。

 「お前がどんな方法で本戦会を突破したか知らないがどうせ賄賂とか渡したんだろ。だが残念だがそれはもう叶わない。何故ならこの体育祭で優勝するのは俺達第1術科学園だ!」

 それは最早優勝宣言のようであった。どうだ、何か言い返したらどうだ。と言っているようであった。だが残念ながら零にはそのような挑発言葉に動じることなどなく「‥‥あっそ」とそっけなく返すのであった。その態度がさらに気にくわなかったのか零の傍に置いてあった他のおにぎりを、ぐちゃ。と音を立てて潰れたのであった。

 「お前たちの様な無能どもは決勝会では何も出来ずにこのように押し潰されてしまうように初めから決まっている。だからさっさと辞退することだな」

 そう言いながら拳でおにぎりを潰してこうなることを見せつけるのであった。そして「まぁ醜態をさらしたいのなら出場しても良いけどな!」と言いながらその場を去ろうとした。が

 「‥‥‥‥‥おい」

 その言葉などに立ち止まる事なんてなかった。何せ無能が言ったのだからわざわざ耳を傾けることなんてない。だが思わず止まってしまった。そして彼らは見たのであった。

 星乃零という無能の表情が先ほどと変わり明らかに激怒していることを‥‥。そして

 「決勝会が始まったらすぐにお前らの所に向かうから覚悟しとけよ」

 そう言いながら星乃零はその場から立ち上がりそのまま立ち去るのであった。そして去った後に彼らは首元に違和感を覚えたため触れてみると冷たい汗をかいていることに気付いた。

 その後零は潰れたおにぎりに【時ノ逆再生(リフレイン)】を付与し潰れる前の状態へと戻しそのまま食べるのであった。そして選手待機部屋に戻るころには先ほどの威圧感はすでになかった。その後誰も彼が先ほど潰されたおにぎりに対して激怒していたことなど知る由もない‥‥。

 そして間もなく体育祭決勝会が始まるのであった。

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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