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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
体育祭

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本戦会 ~開始~

 10月12日午前9時、競技場にて体育祭本戦会が開始された。本戦会は予選会で行われた様々な競技で全42チームで総ポイント制で競い合いそして最終的に残った21チームがこの本戦会に参加することが可能となった。だが今年の体育祭は初となる事態が起きた。何と第3術科学校の出場生徒のほとんどが体調不良を起こしたのだった。流石の出来事に中には参加チームを減らすために誰かが不正行為をしたのではないかと疑い出したが入念に調べた結果、朝食時に提供した食事全てに毒物の混入は見られなかった。と運営側がそう判断した。そして出場困難として第3術科学校から棄権の申請を受理したのだが、今から十数分前になんと第3術科学校の危険の申請が破棄されたのだった。そして更にこれも体育祭初の事態となった。

 この本戦会から第3術科学校はこれより学年混成チーム第3Xチームとしてこの本戦会に参加するのであった。そしてこれは運営委員から参加許可をすでに得ているのであった。


 第3Xのチームメンバーは以下のようとなる‥‥

 朝比奈莉羅、水河瑠璃、星乃零、小笠原陽彩、大和里見、柏木理沙、柳寧音、星宮香蓮、山影実憂、影山優美‥‥の計10名の生徒構成となる


 よってこの本戦会は

 1学年‥‥第1A、第1B、第2A、第4A、第7A

 2学年‥‥第1A、第1B、第2A、第4A、第6B、第7A

 3学年‥‥第1A、第1B、第2B、第4B、第5A、第5B

 そしてそこに新たに第3Xが加わることで計18チームとなるのであった。そして決勝会に進むのは本来は7チームなのだが変更し全学年合わせて6チームとなるのであった。そして決勝会に進むためこれよりくじ引きを行うくじにはそれぞれ赤、青、黄色とあり各代表の生徒1人がくじを引きそしてその3つの色に各6チームに分かれて競い合う。そして各色のグループの上位2チームが決勝会に進むことが出来るのである。

 ということで早速第1種目目が始まるのであった。1種目目は『勝ち抜き合戦』という勝ち抜きの模擬試合であった。ルールは簡単で時間無制限でどちらかが負ければすぐに次の選手と交代。そして勝ったチームの選手はそのまま残った状態で次の選手と試合を行う。最終的にどちらかのチームが全員負ければその時点で試合終了。勝ったチームに残っているチームメンバー数に応じてポイントを獲得することが出来るのである。この競技に参加できるのは5人からなので最大で5ポイントを獲得することが出来るのである。だがこれまで5ポイントを獲得しているチームはいないのであった。

 そしてチーム分けだが

  赤‥‥第11A、第11B、第22A、第26B、第35A、第3X

  青‥‥第12A、第17A、第21A、第24A、第31B、第35B

 黄色‥‥第14A、第21B、第27A、第31A、第34B、第35A

 と分かれたのであった。ちなみに2桁目の数字は学年を表している。

 そして第1試合目だが第22A対第3Xとなるのであった。


 「‥‥まさかこんな形で体育祭、しかも本戦会に参加するなんて‥‥」

 「やっぱり、星乃君といるといろんなことが起きるよね。まぁいろんな意味で」

 と陽彩と里見は話していたのであった。

 「えっと、皆いきなりこんな事になってごめんなさい! 皆もまさかこんな事になろうとは思っていないだろうし、それに皆の時間を奪ってしまうようなことをして重ね重ねごめんなさい!」

 「せ、生徒会長が謝らないで下さいよ! 確かに星乃君から始め言われた時は驚きましたけど生徒会長は私たちの事を学校内で気にしていてくれたんですから。せめてこの機会に少しでも恩を返せたらいいなと思っていますよ!」

 理沙が慌てて言いながら頭を上げさせるのだった。そんな中、

 「‥‥‥えっと、私たち部外者なんですけど本当にここにいても良いんですか?」

 優美が恐る恐るそう言ってきたのであった。

 「貴方たちが星乃君が言っていた第7術科女学院の山影実憂さんと影山優美さんだよね? 初めまして私は第3術科学校の生徒会長の朝比奈莉羅です。こっちは副会長の水河瑠璃ちゃん」

 「ちゃん付けで言わないで。‥‥まぁ自己紹介の通り私は副会長の水河瑠璃です。えっと‥‥よろしく」

 そう短く言うのであった。「瑠璃ちゃんは人見知りだから気にしないでね」とフォローするのであった。

 「2人の事は星乃君から聞いているよ。えっと、その‥‥‥大変、だったね。もし何か困ったことがあったら私や瑠璃ちゃん、勿論皆に何でも言ってね。2人の力になるよう頑張るから」

 そう優しく伝えるのだった。2人のこれまでの経緯はすでに莉羅だけでなく瑠璃もおおよそは伝えている。実憂はこれまで学院内でひどいいじめを受けていたこと、優美は1年前の事件で死亡したのだが訳あって生き返り2人とも今はジュダルが管理しているマンションにて共に暮らしていることも伝え済みである。この2人も零とそれなりに関わっているため一応の知る権利はあると思い簡潔にだが体育祭前に教えていた。

 「あぁ~~、その、急なんだけど、2人はこの体育祭が終わったら第3術科学校に転入するよう手続きをするから覚えといて」

 と零が思い出したかのように言うのであった。「えっ!? なんでそんなことに!?」当然驚く2人であった。他の者も同じであった。では何故2人を第3術科学校に転入してもらうのかというと、単に零の目が常に届くところにいた方が好都合だからである。本当は第7術科女学院の方がいいだろうと思ったが実憂は優美と一緒にいられるようになっても学院内に居続ければいじめが止まらずもしかしたらエスカレートしてしまうのではないかと踏まえた結果で、優美に関しては学院を一度除籍されているのに再び学院内に籍を入れれば他の生徒から化け物として見られ、もしかしたら術科協会が何かしらの行動を起こすかもしれない。転入は一種の時間稼ぎのようなものである。まぁ、第3術科学校にいても化け物として見られる可能性はあるものの朝比奈莉羅や最近になって仲良くなってきた1-Gの女子たちがいるので少しは安心できるだろう‥‥。まぁ、つまり、

 「…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あぁ~~~~ッ! 心配だからだ! せっかく納得できる結末を手にしたのにまたそれが失うのが怖いんだ! だからさっさと分かれ!」

 顔を別の方へ向けて零は言うのであった。誰も零がこんなに慌ただしく言っている場面は1度も見たことがない。だから「ほ、星乃君のそんな表情、初めて見た‥‥」「そんな顔もするんだ‥‥」「ねぇ! もう一回言って! 今度は携帯に保存するから!」「‥‥彼なりに私たちを大切に思っている事でしょ」「あっ、えっと、その‥‥‥ありがとう、ございます?」等等様々な反応をするのであった。中でも朝比奈莉羅は携帯を操作しながら「もう一回! もう一回だけ!」と何度も言って来るのであった。

 そんなやり取りをしているともうすぐ模擬試合が始まる合図となったが3Xは誰から行くのかを全く決めていなかった。誰から行く? と相談しようとしたが、

 「あぁ~この競技は俺が行くよ」

 とそう言ったのは零だった。そして競技を行う場に向かう前にこう言った。

 「優勝するつもりなら、そろそろ少しぐらいは俺の実力を見せた方がいいよね」

 そして第22Aと3Xの勝ち抜き模擬試合が始まるのであった。


 模擬試合を行う場は競技場のほとんどを使った広さで縦横それぞれ何十メートルもあり、複数人同士で戦い合って丁度いいくらい程であった。そんな広々とした競技場には零と1学年上の生徒がいるのであった。

 「星乃零と言ったな。馬鹿だよなお前。第2術科学院最強と呼ばれるこの俺に負けに来るなんてよぉ。無能は頭も無能なのか?」

 その生徒は学生のはずなのに最早大男の様であった。大きさは零の倍はあり両腕両足の筋肉は人の領域を超えているのではないかと思えるほどバキバキだった。そして何より声がでかい。

 「だがまぁ、せめて俺の運動相手になれるようせいぜい逃げ回ってくれよな。この【巨人の申し子】と呼ばれている俺をがっかりさせないでくれよなぁ!」

 それと同時に試合開始の合図が鳴った。いきなり攻めてくるのかと思いきやその大男はブツブツと詠唱を唱えていた。おそらく拳闘術の【身体強化】だろうか。そして3節目の詠唱を終え拳闘術の【身体強化】を自身に纏わせる頃には、その大男は宙を飛びそのまま競技入り口近くの壁まで吹き飛びそしてそのままドォォォン!! と音を立て壁にめり込みそのまま前に倒れて行った。審判が様子を見ると大男は意識を失っていた。その事から審判から勝者の名前を告げられたのだった。

 あまりの速度に相手チームは何が起きたのか状況が頭に追い付いていなかった。だが分かることは僅か一瞬で勝負がついたことだった。相手は無能と呼ばれている格下の生徒、そんな者に第2術科学院が負けることは断じてあり得ない。だからさっきはまぐれだ。そう結論付けた。そして第2試合目が始まった。今度は女子生徒だが魔術に関しては学院内では上位の成績を出している優等生だ。そんな彼女は勉学だけでなく実技も上位の成績を出しているため無能に負けるなんてあり得ない。そう思いながら2試合目が始まった。そして初手から上級魔術を発動させるため詠唱に取り掛かった。この上級魔術は攻撃範囲が広く躱せる範囲もかなり絞られる。そして放てば確実に動きを封じることが出来その間に一気に連続詠唱で攻撃を放てば戦闘不能にすることが出来る。そのシュミレーションはすでに出来ていた。あとはその通りに実行するだけである。そして3節目を唱え終える頃には腹部に何かに触れられる感触がした。それが何なのか顔を下ろす前にその女生徒は一直線に吹き飛ばされそのまま何度も何度も転がりそしてそのまま意識を失うのであった。そして再び審判が勝者の生徒の名を言うのであった。

 ‥‥あり得ない。相手チームのリーダーはそう思うのであった。その後の第3試合、第4試合もどれも例外なく無能の何かしらの動作によってその2人も戦闘不能となり今では救護室にて休んでいた。そして気付けば第5試合目、つまり残りは彼だけとなっていた。ここまでの試合結果を確認しよう。ここまでの第4試合とも全て術の詠唱が終わる所で無能が何かしらの動作を行っているのは明白だ。ではその何かしらの動作とは何だ? 何かの術なのか、それとも魔武器や魔導具といった物によるものか‥‥この場で考えても分からなかった。‥‥ここは鎌をかけて見るか。

 「まさか君のような生徒が参加していたとはね。いやはや驚いたよ」

 「はぁ、どうも…」

 「だがしかし、この試合が早く終わってしまっては勿体ないと思わないかい? そこでだ。今から私の華麗な幻陽術を見てくれないかい? このまま終わってしまっては折角練習したのにそれを披露することが出来ないからね。どうだい? 受けてくれないかい?」

 「‥‥まぁ、別に構いませんけど」

 そう渋々言いながらも承諾するのであった。「ありがとう。恩に着るよ」と言い終えると同時に試合開始の合図が鳴った。そして幻陽術【ファントム・マジック】の詠唱を唱えると彼は姿を消すのであった。【ファントム・マジック】は一定時間自身の姿を消すことが出来その間に背後に回ったり、時間のかかる階級の高い術の詠唱を姿を隠している間に詠唱準備行い、そしてそのまま放ったりすることが出来る。だが魔力量に応じて【ファントム・マジック】の効果がすぐに消えたり、強力な術を放てばその威力に耐えず維持困難となり姿が露わとなるのが欠点とも言える。だがこれから繰り出すのはそこまでの威力を持っている術ではない

 「【精神よ・我の命に従い・我の木偶となれ スリープ・ドール】」

 彼が放った幻陽術は上級の【スリープ・ドール】であった。これは精神作用の催眠効果でこの術にかかれば術の耐性に強い者以外は例外なく催眠状態に入りかけた者の言う事をある程度まで命令を受けることが出来る。彼は始めからこれが狙いであった。試合前に適当なことを言いこちらの提案に乗るかは賭けであったが見事に乗ってきた。そして試合が始まった直後に姿を隠して催眠効果の術に自身の魔力を限界まで乗せて至近距離からの【スリープ・ドール】をかけることに成功した。通常の威力に加えて自身の魔力を上乗せしているのだからこれが効かないなんてあり得ない。だから今の彼には星乃零を自在に負けを認めさせることが出来るのである。そして

 「それでは星乃君、君は今から負けという事を盛大な声を出して認めなさい」

 そんな命令を出したのであった。そしてその命令通り口をゆっくり開きその命令内容を口にしようとした。そしてその命令通り敗北を

 「…‥‥何言ってんの? こんな幼稚な催眠にかかる分けねぇだろ」

 予想外なことを言い出し彼は一度後退をした。幸いまだ【ファントム・マジック】の効果は切れていないため今度はより魔力を込めてから再び催眠をかけようとしたがそれは叶わなかった。何故なら

 「それにさっきから姿を隠しているみたいだけどバレバレだからね。隠れ方が下手過ぎだろ」

 見えない、そのはずなのに体操服の胸ぐらを掴み逃がさないように掴まれたのだった。そしてしばらくすると効果が切れたのか零が掴んだ先には胸ぐらを掴まれその場で掴み上げられていた彼が現れた。彼は掴まれている腕を放し逃げようとするも全くビクともしなかった。まるで腕そのものが鉄以上に硬かった。

 「‥‥で、貴方の披露する術はもうないの?」

 「くっ! お前はその尋常ではない力は何だ! お前は無能じゃないのか!」

 「無能無能うるさいなぁ。人を見た目や噂で判断したら駄目だって分からないのか?」

 「私は認めないぞ! お前は無能だ! それは何があっても覆ることはない!」

 「‥‥あっそ、じゃあそう思っとけば?」

 そう言い他の対戦生徒と同じように壁に向かって投げた。それは野球で言うなればストレートで一直線を描きながらそのまま壁にドォォォォォォォンンン!!! とより大きな音を立てたのだった。そして彼は壁にめり込んだまま意識を失っていたのであった。

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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