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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
体育祭

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175/348

女子大生人売会 Ⅱ

 10月9日、日付が変わって行われる『女子大生人売会』の時間まで零とマリーはそれぞれの時間を送っていた。零は引き続きコンサートの開催準備、マリーもデパートでミニライブをしたりテレビ番組の収録などであちこちを回りそして余った時間にコンサートに向けてダンスレッスンを行うのであった。そして日が沈み入浴後は夕食であるバイキングで済ませ、その後はスタッフ関係者と手伝い班と『HSP』の班に分かれて進捗状態に関する打ち合わせをそれぞれ行い、そして部屋に戻り2人は時間まで適当に時間を潰すのであった。

 そして気付けば時刻はすでに23時50分。あと10分で日付が変わるのでありそれと同時に『女子大生人売会』が始まるのであった。そろそろその会が行われる近くの場所で【座標転移】で移動しようと零とマリーは外に出て人目に付かないところにいるのだった。そして零は持っている結晶石で【座標転移】を発動させ、マリーは自身の魔力で【座標転移】を発動させたのだった。そして体が粒子となると同時に一瞬でその場から消えるのであった。

 そして僅か1秒で着いたその座標の場所は体育祭が行われる競技場や零達が泊っていたホテルからかなり離れた場所で少し進むと深夜になろうとしているのに人がまだ多く見られた。そしてその人たちは派手な店の中に入っていたり、静かそうな雰囲気の店の中に肌の露出が多い女性とともに吸い込まれるように入っていくのであった。この事からここはどうやら多くの水商売が行われている場所の様であった。

 零はともかくマリーに関しては正体がバレないように髪を結び帽子を深くかぶり、服装も女性用ではなく男物の長袖長ズボンを着ていた。今のマリーは他の人から見ても大半が美少年と間違えるほど美しかった。有名アイドルは男物を着ても違和感はなく着こなせるのだから大したものであった。

 そして目的地まで少し歩くのだがその道中「君たち随分若いね。もしかして道に迷ったのかい?」「ここは子供にはまだ早いよ。早く家に帰りな」「そこの美しい少年、俺の店で働かないか?」等と店を通るたびに何度も何度も声を掛けてくるものだから迷惑極まりなかった。

 23時58分、ようやく『女子大生人売会』が行われる場所が見えてきた。その場所は一見キャバクラのようであり店の前には複数の男の店員さんがいるのであった。そしてこの辺りに術者である井手修斗がどこかに潜んでいるのだが何故かどこにも見当たらなかった。彼にはこの場所に転移する前いくつかのメールを打って送信をしたのだが、そのどれも既読スルーや、短めの内容で返信が返ってきたのだった。もしかして勤務がまだ長引いているのだろうか。確かに警察や術者といった国家公務員に勤めている者たちはいつも定時に帰られるとは限らない。事件の捜査やその事後処理などで勤務が終える時間が定時を過ぎてもなかなか帰れないとよく耳にするのでもしかしたらその者もそれに捕らわれたのだろうか‥‥。

 ‥‥まぁ、特に彼がいなくても何の問題はないので、日付が変わったと同時に目的地の店に突入しようと思いながらキャバクラらしき店へと進み、そしてもうすぐ店の入り口前に着くというところで‥‥

 「その場から動くな」

 と声と同時に6人の黒いスーツを着た男性が現われ、気付けば零とマリーはその男性たちに囲まれていたのであった‥‥。


 「お前たちは公務執行妨害で逮捕状が出ている。よってこの場で拘束する」

 そう言い手に持っている逮捕状を見せてきたのであった。

 「‥‥何のことでしょうか? 俺たちはここを通ろうとしてだけですけど? 誰かと間違えていませんか? それにその手に持っているのは本物ですか?」

 「残念ながら1つも間違えていないな星乃零。そしてその後ろにいるもう1人はお前の共犯者だな。そしてお前たちは正式な手続きによってこの逮捕状が申請された。よってこの行いは正当化されるのだ」

 零の問いに何の迷いもなくそう言うのであった。そして辺りにはすでに他の人たちが集まっており「なんだなんだ?」「あの子たち何か悪い事でもしたのか?」「公務執行妨害だってよ。一体どんなことをしたとやら…」とザワザワと言い始めていたのであった。

 時刻はすでに日をまたぎ0時過ぎ、すでに人売会は始まっている頃だろう。このまま立ち止まっては助けられるはずの者たちを1人も助けることが出来なくなるだろう‥‥。

 「さぁ、手荒なことをされる前に手を挙げながらゆっくり体を降ろせ」

 そのスーツを着ている者たちはほかのの人から見れば術者警備隊の者である。そしてもし逮捕を行う際にその者が抵抗すれば術者は防衛として攻撃術を放つことが可能となっている。そして仮に術の威力が強すぎてその者が死亡しても何の罪にとらわれることなく防衛行動として認められている。ちなみにこれは警察官が同じように防衛行動として所持している拳銃を逃走犯や凶器を持ち襲いかかる際に自身の命に危険が及んだ際に発砲するのと同じとも言えるのである。

 そしてじわりじわりと逮捕状を持っている男以外の者が2人に近づいていた。このままでは何も罪を犯していないのに一方的に捕まってしまうのだが零とマリーは動揺すらしていない。それどころか、

 「‥‥なぁ、この()()にいつまで付き合えばいいんだ? こっちは忙しいんだけど」

 挑発するように零は言い、マリーは「ふぁ…」と呑気にあくびをしていた。その言葉に「…何?」と疑問めいたように言うのであった。

 「お前たちが本物の術者警備隊の者というならいくつか証拠を見せてもらおうか‥‥そうだな、まずは持っているであろう術者手帳でも見せてもらおうか」

 「‥‥お前は何を言っている? それは1つの名刺のような物だ。お前たち犯罪者が見る権利はない」

 「‥‥あっそ。じゃあお前たちの職員番号を言ってみろ。術者警備隊に所属しているなら即座に言えるはずだろ」

 「そんなことを言ってどうする。この場でそんなことを言っても意味がないだろ」

 「‥‥‥じゃあ最後にお前たち6人の階級は何だ?」

 「階級? そんなのどうでも良いだろ。そんな事よりさっさと俺たちに拘束されろ」

 零の質問にその者は不機嫌そうに答えるのであった。そして1人の男がマリーの体に触れようとしたところで、

 

 「触るな、下賤な人間」


 そう言い終えると同時にマリーに触れようとした男の手がヒュンと何かが通り過ぎる音がした。そして‥‥ボトッと何かの生々しい塊が地面に落ちたのであった。その塊の正体は手首から指まである手だった。そして僅かな間からようやく落ちた塊を認識した時には‥‥「あ、あああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」と先ほどまで手があった所から大量の血が溢れ出していた。よほどの激痛だったのだろか絶叫した後にはそのまま気を失ったのだった。誰1人としてこの数秒の間で一体何が起きたのか理解できていなかった。だが零には何が起きたのかは分かっていた。マリーは気を失っている男に肩を触れられる寸前、誰にも認識されないほどの数滴の手汗を空中に【座標転移】で移しそのまま落下させた。そして落下と同時に腕1本を切断出来るほどの鋭利な刃に0.数秒で作り替えまるで肩に触れられることが初めから分かっていたかのようにタイミングを見計り、男の手首をハサミで紙を切るようにスッと斬り落とすのだった。その厚さは数ミリ程度、長さは7~8センチほどだがその速度は人間が認識できるほどの速度ではないため誰1人としてその雫で出来た刃を認識出来た者はいない。ただし、零には認識可能であった。

 他の5人はいきなりの事で思考が追い付かなかったが星乃零の後ろにいる共犯者がやったのだろうと認識し「今すぐその者を何としても捕えろ!!」と4人にそう告げてマリーに襲い掛かった。だがそうすると完全に零から意識が逸れるため

 「【フリージング・チェーン】」

 零がそう呟くとマリーに襲いかかろうとしていた4人は足元から前触れもなく現れた氷の鎖に拘束され身動きを取ることが出来なくなった。さらに追加で足元から徐々に氷漬けが始まり僅か5秒で下半身が完全に凍り、その箇所が石になったかのようにピクリとも動かすことが出来なかった。さらに3秒後には首から下も同じように氷漬けとなりこちらもピクリとも動かせなかった。

 「ば、馬鹿な!? 星乃零は無能と言われている学生のはずだ。なのにこの力は学生の域を超えている‥‥」

 あまりの光景に1人だけとなった男は後退りしたのであった。事前にもらった情報とあまりにも異なっている、無能だから大したことなど出来ないだろうと甘く見ていた。だからここは一度態勢を‥‥

 「逃がすとでも思ったか?」

 その声は男の後ろから聞こえた。そして振り向いたと同時に宙を何回転もしていた。振りむいたと同時に顎めがけて強力な蹴り上げを受けたのだろう‥‥。それに気付いたのはバタンッ! と地に伏せた時であった。そしていつの間にか手放していた逮捕状を星乃零が拾っていた。

 「なぁ術者警備隊、いや‥‥ここで行われる人売会関係者のお前たちは知らないから教えてやるよ。正式な逮捕状の手続きには早くても数日、場合によっては数年以上もかかるんだ」

 手に持っていた逮捕状をビリビリ…と破り、

 「そしてお前たちの存在にはここに来てからしばらく歩いて気付いた。幻陽術で上手く姿を隠していたようだが俺たちはバレバレだったぞ。そして俺たちの目の前に現れた時いかにも術者警備隊の者らしく振舞っていたようだけど俺の3つの質問に対して不機嫌そうに言いながら全て断ったな。あれは詐欺師かどうか確認するために国民は本物か偽物かどうか確認を行う権利を持っている。そして俺からの問いに全て何かとごまかしながら断ったな。そしてお前たちは見事に言うことが出来なかった。それが詐欺師、もとい闇社会の人間であることの決定的な証拠だ」

 そうして零はこの6人を逃げられないように追加で強力な結界のを出してその中に閉じ込めそのまま『女子大生人売会』が行われるキャバクラ風の店に向かうのだが、すでにこの場にマリーがいなくなっていたのであった‥‥。

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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