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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
体育祭

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潜入 その後・・・

 「それで、あの者たちについて何か分かったか?」

 あの者たちとは今から1時間ほど前に泊まっているホテルへ帰る途中に鋭利の刃物で襲いかかってきた襲撃者の事であった。ホテルに戻った後拘束していたその者たちを別室にて尋問していたのであった。そしてその結果は「金が欲しかったから」「メールでやり取りをしていたからそれ以外は知らない」としか答えなかった。おそらく金に困っていた所にその人物が闇バイトとして募集をかけたのだろう。この時間にこの者を指定された場所まで連れて来い。と指示を出されてそして決行したのだろう。だが女1人という事に油断してその結果として返り討ちに合ってしまった。まぁ今の俺は女ではないが‥‥。とりあえず未遂でも罪は罪なので翌日早朝には警察署に連れて行くつもりであった。

 「あの者に関してはこれ以上情報は持っておらん。じゃが間違いなく一ノ瀬博之が用意した者たちで合っているじゃろうな。そしてお主の考え通りネット上で金に困っている者たちに募集をかけて指定した場所まで連れてくるように指示を出したのじゃろうな」

 グラスに注いでいた飲み物をグイッと飲むのであった。だがここで気になることがあった。それは‥‥

 「それにしてもどうして俺があそこの道を通ることが分かっていたんだ?」

 「あぁ、それはあの道以外の数か所はどういうことか短時間の通行止めの看板があったからのぉ。そして通行止めにされていない道は何でも夜になると人通りが少なくなる。まさに誘拐などの事件を起こすためには丁度いい場所となり、おそらくそこを狙われたのじゃろうな」

 「まぁもうすでにその通行止めは解除されておるじゃろうな」と一言告げるのであった。

 「‥‥なぁ、数か所という事は俺が襲われて以外の場所でも同じようなことが起きていたのか?」

 「さぁのぉ‥‥。童はそこまで調べる理由もなければ義理もない。‥‥‥お主もそうじゃろ、全ての人間を助けることは不可能と分かったからお主はせめて手の届く、大切な人たちだけを助けることを決めたのじゃろう」

 「‥‥‥まぁ、そうだな。もし起きてもそこは警察や術者警備隊の業務範囲だ。無関係の俺たちがどうこうしてやる必要がない」

 「それでいい‥‥‥。それと話は変わるのじゃが、お主のおかげである程度の情報を調べることが出来たぞい」

 ジュダルの後ろに控えているクランは俺が白百合セイラとして振舞っていた間現在一ノ瀬博之が泊っている寝室へと赴いてパソコンや書類を調べてもらっていた。そしてその中から何重にもロックがかかったファイルが出てきたり、特定のパスワードを入力しなければ二度と開かない機密書類等など、他にも覚醒剤が入っていた小袋が見つかったりと色々あったらしい。そして調べ終えるとジュダルが俺に『一ノ瀬博之に関する調べ物が終わったぞい』と念話が送られたのだった。つまり俺はただの時間稼ぎをしていることに過ぎなかった。まぁ、いろんな男どもからベタベタ触られおかげで触れられた箇所に蕁麻疹が出来てしまいかゆみ止めを飲む暇がないため我慢するのに必死だったことに関しては置いといて‥‥

 「それで何か分かったのか?」

 「いいや、これからじゃ。何せクランがコピーしてきたファイルはどれも何重にもロックがかかっていたり、パスワード入力が多すぎるからのぉ‥‥。じゃからこれで強引に突破をするつもりじゃ」

 そう見せたのはUSBメモリーであった。だがこれはただのメモリーではなくこの中にはネットウイルスが入っているメモリーで一度差し込めば数分で何重にもロックがかかろうと特定のパスワードを入力しないと開かないファイルだろうといとも容易く破ってしまう代物であった。そしてこのメモリーを差し込み大量のファイルをそのメモリーファイルに移しカタカタと操作する。すると何重にもロックがかかったファイルが次々勝手に解除されていったり、パスワード入力を必要とするファイルも勝手に入力していき‥‥そしてものの5分ほどで全てのファイルを閲覧することが出来るようになった。そしてその大量のファイルの内容の始めにはこう書かれていた。

 『術者強化改造計画報告書』と。そしてその下には『日本平和総光会:一ノ瀬博之』と名前があった。


 10月8日、零達は昨日と引き続きコンサート準備・設営に取り組んでいた。昨日と比べて少しは慣れたのか動きが昨日よりも良くなっていた。それでもまだ分からないところがあるものの午前中の作業は大きな問題も起きることなくスムーズに進むことが出来ていた。そして昼休憩となり零は関係者に提供される弁当を食べながら考え事をしていた。その考え事は勿論昨日の事である。『術者強化改造計画』についての報告書である大量のファイルを閲覧していく中で様々な計画を見ることが出来た。まずは文化祭で見たあの怪物は『術者強化薬剤:パンドラ』と呼ばれており、注入すれば内に秘められた潜在魔力の30%を開放することが出来るらしい。だがその報告書にはこうも書かれていた。『‥‥先の実験結果より、過度な注入を行えばやがて人体の肉体が崩壊していき最終的には人類にも手が終えなくなる怪物へと生まれ変わる』あの時すでに6人兄弟‥‥特にあの長男は過度な投与を行ってしまっておりあのような怪物へと生まれ変わったのだろうか、それでも生きていたのは奇跡といいようがなかった。

 他にも気になるものがあるとすれば『亜人抹殺計画』だろうか。あの内容によればどうやらこの国には3割の亜人族が人に混ざって暮らしているらしい。だが亜人と人との区別を判断する道具がないらしく現在急いで区別する道具を製作しているらしい。彼らにとって亜人族とはどうやら人々の生活を脅かす害虫なのだと分かるのであった。黄菜子もこの計画に巻き込まれた被害者の1人かもしれないとも考えられなくもなかった。ちなみにこの報告内容には一部須藤健司という人物の名前も書かれていたため彼もこの総光会の1人だった可能性がある。

 そして大量のファイルを調べていくうちに最後辺りの方に『術者強化薬剤:パンドラ』についての最新報告書について書かれていたものがあった。その日付は今月の10月5日、つまり体育祭が始まる2日前である。そしてその報告書には対象者らしき名前が書かれていた。『A7S』と‥‥。これは誰なのかと考えていた所に

 「何してるの、ディア?」

 と声を掛けてきたのはマリーであった。彼女は動きやすいスポーツウェアを着ておりダンスレッスンの休憩時間となったためどこで休もうかと探していた所に1人でいた零の元に来たのだった。「別に、ちょっと考え事をしていただけだよ」と答えると「ふぅん」と言い自動販売機で飲み物を買うのであった。そしてそのままキャップを開けてグビッ、グビッ‥‥と飲むのであった。そして「プハッ」と500mlのペットボトルに入っていた水を半分ほど飲み干し…

 「‥‥もしかしてさっきジュダルから今日の夜話したいことがあるって連絡がきたけどそれと関係あるの?」

 「‥‥多分、な」

 「そっ。まぁ私には関係ないけどね」

 「だが気を付けることには変わりはない。特にマリーの秘密が世間に広まればアイドル活動が困難になるぞ」

 「全く、ディアは心配性なんだから。‥‥まぁ肝に銘じておくわよ。確かにアイドル活動は思っていたよりも楽しいからもうしばらく続けたいしね」

 そうして残りの水を飲み干してゴミ箱へ捨てるのであった。そして去り際に

 「‥‥まぁ、私の進む道を邪魔するようなら誰であろうと容赦なく殺すけどね」

 そう告げて零の元を去るのであった。

 そうして気付けば昼休憩が終わることに気付き零も急いで皆の所に戻ろうとしたところに1本の着信メールが届くのであった。その差出人は井手修斗という術科警備隊に所属している者からであった。

 

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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