体育祭1日目・午前の部
翌日10月8日から体育祭1日目が始まった。競技場にはそれぞれグループに分かれた生徒たちがおり開始種目が始まるまで今か今かと出場選手だけでなく観客、応援生徒、そして別室で会場様子を見ている選抜メンバーの生徒たちが待っていた。そして、「これより第1学年の予選試合を開始します」と開始宣言をするのであった。
本日1日目は第1~第7術科の第1学年同士による予選試合が行われる。予選試合はグループ戦であり自校A,B以外の他校チームA,Bと試合を行い最終的に獲得ポイントが高い1校2チームで合計14チーム中7チームが本戦へと進むことが出来る。種目については個人戦だったりチーム戦とそれぞれあり種目ごとに参加できる人数が変わる。そして行う種目についてはいまだ不明で誰をどこで出場させる事によって試合結果が大きく変わることもよくある事である。この競技場の広さは国内最大といってもいいほど広い。そのため1つの種目をAコート、Bコートと2か所で行うことが出来るため観客席にいる人はどこも目が離せないのである。
そんなことで第1試合目の種目が始まった。第1試合目は『障害物スピード撃破』という名の種目で簡単に言えばこれから次々現れる疑似的エネミーを制限時間10分内により多く撃破したチームが最大で10ポイント獲得することが出来る。そして獲得ポイントの基準はD級1ポイント、C級3ポイント、B級5ポイント、A級10ポイントである。当然ながら疑似でもA級エネミーを倒せる生徒などいない。ではなぜ用意したのかというと簡単にポイントを獲得させないためである。簡単にポイントを獲得させてしまっては面白くないという事から運営側が用意した物である。攻撃に関しては殆ど攻撃はしてこないでせいぜい選手の妨害程度である。この種目に参加できるのは10人中5人である。
そして第1試合目は第6Aと第7Bの試合をAコート、第2Bと第4Aの試合をBコートで始まるのであった。次々現れる疑似エネミーを各生徒たちは魔武器や魔導道具を使用しながら確実に撃破していっていた。この体育祭では魔武器や魔道具の使用は事前に申請していれば競技中に使用が可能である。素手でも可能だが素手で戦う者はこの体育祭では誰1人としていない。そして3分が経過し僅かながら第6が優位に立っていた。第6の生徒はどんな種目が出てきてもいいように選抜メンバー同士で連携を高めてきており魔術や剣術、占星術を上手く合わせてポイントを獲得していっていた。そしてしばらく経った後エネミーが現われる専用の空洞からA級エネミーが現れた。そのエネミーはこれまで出現したエネミーのデータから作成しており本物と区別が出来ないほどの仕上がりとなっている。ちなみのそのエネミーは巨大な狼のような姿であった。そのエネミ—は現れた途端縦横無尽に駆け回り攻撃を行おうとしている生徒へ襲いかかったり詠唱中の生徒へ雄叫びを上げて集中力を乱したりと時間まで続けるのであった。そして10分が経ち試合が終了、結果は僅差で第6Aが何とか逃げ切ったのであった。第7も奮闘したがA級のエネミーの妨害に上手く術が発動しなかったり攻撃が別の場所に飛んだりとなかなかエネミーを撃破が出来ていなかった。
Bコート第2Bと第4Aはというと結果は第4Aが勝利したのであった。第2も奮闘したが第4の方が一枚上手‥‥というよりもA級エネミーが妨害を行おうとも怯むことなく根性や気合だけでカバーし次々エネミーを撃破していった。第4生徒たちは全員校訓で『臆すること、怯えることなかれ。さすれば未来が切り開かれる』といった術者としての心意気を内に秘めている。つまりどんなに妨害を行ってこようとも気合・根性論を持ち得る第4生徒にはこの競技は強いという事になる。
そして第2試合目、Aコート第5Bと第3A、Bコート第3Bと第6Bの試合が始まった。各コート、各学校の生徒たちは接戦を繰り広げていた。A級エネミーが妨害を行おうとも何とか躱したり、雄叫びに何とか耐えてからの術の攻撃や支援系の術で攻撃役の生徒を支えたりと行い続けた。そして試合結果は第3Aと第3Bが勝利を収めたのであった。どちらの試合も第3が勝利したことに観客席にいる者は驚いていた。攻撃、防御、支援術の発動タイミングや威力も申し分なく次々現れる疑似エネミーを1体1体確実に倒して確実にポイントを相手チームよりも早く稼ぎ、A級エネミーが現れた際には1人が囮となりその間に4人が他のエネミーを撃破していたのであった。‥‥‥第3の生徒たちにはこの体育祭で何としても勝たなければいけないという思いがあることにこの時観客席にいる者は誰1人として気付いていなかった。
その後第3試合、第4試合と続き最終第7試合が終わるころには11時になっていた。試合が始まったのは9時過ぎで1種目目が終わるのに約2時間が経過していた。そして次の種目へと移る。次は『人命救助』という体育祭で使うようなものではない種目名であった。ルールは簡単に言うなればいかに素早くあちこちに用意された全ての人形をセーフティエリア、つまり安全圏に運ぶまでのタイムトライアルである。ただしエネミーもあちこち配置されており人形を探す途中で見つかるようなことがあれば素早く撃破するか見つからないように慎重に隠密をしなければいけない。何故かというとこの種目はタイムトライアルなのでエネミー1体1体を相手にしていれば時間が過ぎていくため時間を浪費してしまい獲得出来るポイントが少なくなってしまうからである。そしてこの試合には事前に7人が選ばれており全ての人形を救出したその瞬間試合終了の合図となりその時点での人形獲得数がそのままポイントとなる。この種目は制限時間20分で先ほどと同じく7試合ABコートを使用して行う。競技場はそれぞれ人工で用意された岩場や水辺、木々や草場、火災場などがありそのエリア内にそれぞれ人形が用意されているが用意されている数は不明である。
そして試合開始の合図が鳴るのであった。どの試合も接戦といってもおかしくないと思った。だがその中でも一番はやはり第1術科学園であった。彼らは用意されたエリアをもろともせずに進みそして相手チームよりも早く人形を見つけ、エネミーと遭遇した時でも冷静に撃破を選びそして素早く対処していった。そして試合結果は相手チームよりポイント差を大きくかけ離して圧倒していっていた‥‥。まるで初めからどこに人形が、エネミーがいるのか分かっているようであった。そして次は第3術科学校であった。第1術科学園のようにはいかないものの2つのグループに分かれて用意されたエリアを進みながらエネミーを撃破したり、見つからないように行動したりしながら人形を見つけていった。そして結果は相手チームとは接戦しながらも勝利を収めたのだった。
そうして1日目の午前の部が終了したのであった‥‥。




