圧倒Ⅲ
1階にある大広場にて…
そこは、多くのお客たちが1か所に集まっており身を寄せながら人質から解放されるのを今か今かかと待っていた。この大広場は一か所だけで人が数千人集まることが出来、同じ広場が1階にあと2か所ある。もとは来店したお客たちがここで休憩したり、開店しているフード店でクレープやジャンクフード、飲み物を買って近くのベンチでゆっくり召し上がったりする老若男女たちの活気ある場所である。だが、今はその活気はなくその3か所とも突如現れたテロリストによって台無しにされたのだった。
「……なぁ、まだこのくだらない任務は終わらないのか」
「まぁ、焦るな。おそらく、もう少しで終わるはずだろ? さっき連絡があったんだから」
その広場を支配している数名はそんな些細なやり取りをしていた。彼らは全員裏社会の人間であり、それぞれ術者と、無術師で構成されている。無術者がプロの術者に挑む行為は言語道断、真正面から戦っても勝てるわけがない。そこで拳銃、マシンガン、そして小型爆弾を常に所持している。術者の攻撃に劣るものの、ただの人間を始末するのには丁度良い代物である。そして今話している者たちは無術者である。他の階にも彼らのような武装した無術者のほかに術者もいるのだった。
そんな中いつまでも拘束されていることにいよいよ限界に近づいた子供たちが再び泣き始めた。それに連鎖するかのように次々と泣き始めた。
「あぁ~くそっ、何でこんなガキらの監視をしないといけねぇのかよ。別に抵抗してくるわけでもねぇし…。これじゃあ、仕事の割に合わないぜ」
「だよなぁ~実は正直言うと俺もそう思っていた」
「だろ。だったらいっその事……」
そう呟きながら今でも泣いている子供の中を見渡した。その中には少女も幼い子供につられて泣いていた。歳は大体15ぐらいだろうか。その光景を見て1人の大男はニヤリと笑い、良い案を思いついたのか泣いている子供を持っていた拳銃でかき分けて泣き顔になっているその少女の所へ行き、あろうことかその少女の腕を強引に掴んだ。そのまま仲間の所へと連れて行くとその少女を仲間たちの前に放り投げた。
「なぁ、どうせ任務が成功するのは確定だからこの雌ガキでヤらないか。見た感じ俺好みだし」
「ふーん。まぁ、見た感じはまぁまぁだなぁ」
「いいじゃねぇか。俺はこういう童顔が好きだしよぉ。それに……、こんな純粋無垢なガキとするからこそ何とも堪らないしなぁ」
垂れてきた涎を舌で舐めるのだった。それを見た少女は恐怖のあまり後ずさりをした。少女はこの後何をやらされるのか分かっていなかった。だがこんな多くの人の前で顔も名前も分からないような男の人と何か大切な物を失う何かをやるという事は分かる気がしていた。だからこそ後ずさりしながらここから離れようとした。たがしかし、その男はすぐさま逃げるつもりだった少女を捕まえ、その少女を逃がさないように両手と両足を押えたのだった。これで、少女は逃げることが出来なくなった。
「い、いやぁ! やめて! やめてぇ!!」
「静かにしろよ。そんなに殺されてぇのか? …へぇ。近くで見たらますます俺好みだ。汚し甲斐があるってもんだ」
少女は男の顔を見て怯え、目には大量の涙が浮かんでいた。
「……やめて、やめてくださいっ。お願いしますっ…」
「……なぁ。この状況でどうしてそんなこと言えるんだよ。誰も助けるわけねぇだろ? だったらお前のような何も出来ないガキは大人である俺様の言いなりになればいいんだ。そうすれば、ここから出られる子かも知れないしなぁ?」
「そ、そんなぁ…」
その少女の顔は絶望の表情をしていた。少女の周りの人々はこちらを見ようとはしなかった。もし抵抗すれば次は私かもしれない。だったら何もしない方がきっと正しいのだと。
「これで分かっただろ? 誰もお前のようなガキ助けるわけねぇし、助けるような力の術すら持っていない、対して俺はこの通り人1人を殺すのに十分の力を持っている」
男は手にしている拳銃の先を少女の額に付ける。
「だったら、今お前がすべきなのは俺たちの都合のいい玩具になることだろ? なぁに。心配しなくても優しくしてやるからよぉ」
そう男は言うが隣から「どうせ初めてだろうと激しくするんだろ?」と笑いながら言うのだった。対して「はははっ、かもなぁ。まぁ、それはコイツの体次第だけどなぁ!!」
そして、少女の服を力いっぱい引き裂いた。
「いやぁぁぁぁ!!!」
「さぁて。俺を楽しませてくれよなぁ!!」
少女が抵抗できないように両手足を男は覆いかぶさり動けないように固定する。
「……やめて、やめて、やめてくださいっ………」
抵抗できないと分かってしまったのか、少女は抵抗する気力をなくしただただ受け入れようとするのだった。その表情は前髪で覆われて見えなかった。
「それじゃぁ、さっそく味見をしようかぁ!!!!」
少女の付けているブラに手を伸ばす。
そして、
「これで3回警告はしました。執行を開始します」
サクッ。
何かが落ちる音がした。
その音は男の方からした。
「…………………はっ?」
少女に手を伸ばそうとした男、そしてその近くにいた武装者たちも何が起きたのか未だに理解出来ていなかった。そして気付いた時には
少女に手を伸ばしていた男のその腕が綺麗さっぱり腕の付け根まで床に落ちていた……。
「ガァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
激痛で男は大声を上げた。もう片方の腕で溢れてくる血を止めようとするが、当然ながら止まるわけがない。
そうして男は少女の方を見る。そして見たのだった。その少女は何処から取り出したのかナイフのようなものを持っていたことに……。
「ガキィ!! 俺に何をしやがったぁ!!!」
「……何をしたとは? まさかと思いますがこの現状が見えていないのですか? でしたらお前は相当の馬鹿ですね」
その少女は先ほどまでの泣いていた少女とは異なり、持っているナイフをくるくる回しながらその場に立っていた。
「貴様ァァァァ!!!! ぶち殺すっ!!」
そうしてもう片方の手で拳銃を引き抜き、そのまま少女めがけて発砲する。だが、
ヒュン。
ナイフをくるっと回すだけでその弾丸は真っ二つとなりそのままカンカン…と床に落ちていく。
「…何ですか今のは? まさかと思いますがそれが今の抵抗でしょうか?」
「ふざけるなぁ!!!!」
怒りのまま拳銃に装てんしている全弾発砲する。だがそれら全て見えているのか、少女は全て先程と同じくくるっと回すだけで全て真っ二つにするのだった。
「何なんだよ、なんなんだよぉぉぉ!!!!」
そして腰に巻いている小型グレネードに手を回しそのまま安全ピンをとりそのまま少女めがけて投げる。その際仲間からは「よせっ! 早まるな!!」と止めるがもうすでに遅く……。
そして爆h
………しなかった。
そしてただ投げて落ちただけのグレネードを見るとその安全ピンが付いていた箇所にナイフ、それに安全ピン並みに小さいナイフが刺さっていた。
「その程度でこの私が怯むとでも?」
「……化けm
グサッ。
男の腹部には投擲されたナイフが刺さっていた。そして、次の瞬間にはその場で倒れ込むのだったその姿を見て「…所詮はこの程度ということですね」と呆れたように言うのだった。
「……さて、他の者たちもすでに終わっている頃でしょうか?」
2階にて
「くそっ!? 何なんだよ、なんなんだよぉぉぉぉぉ!!!!」
武装者たちは持っているマシンガンを何度も撃ちまくる。その影響で周囲にあるお店の窓ガラスが割れ、看板は容易く破壊される、観葉植物も鉢植えが壊されそのまま崩れていく、設備も見るも無残に破壊されていく。マシンガンの放つ凄まじい音に人質であるお客たちは悲鳴を上げる。だが、武装者たちにはそんなこと今はどうでも良かった。何故なら、
「そんな鉛程度で、この私に傷をつけられているとでも思っているのか!」
1人の女性はそう叫びながら武装者たちとの距離を詰めていく。それでもマシンガンをその女性に撃っていく。その銃弾は確実に女性に命中している。本来であれば無数の銃弾で女性は蜂の巣にされているだろう。だが、その銃弾が女性の体に命中するがどういうわけか貫通することなくそのまま銃弾が落ちていく。その落ちていく銃弾は先端が潰れていることから女性の体は落ちている銃弾よりもはるかに強固であると言える。
その女性が現れたのは今から数十秒前だった。
武装者たちが暇を持て余しているところに突如として他にお客が隠れていないか見回りをしていた仲間がいきなり目の前を横切ったのだった。そして彼らは見たのだった。『ふむ! なるほどな! お前たちが我が主より報告があった俗ということか!』と大きな声で言いながらこちらへ向かってきたのだった。そのためその女性に対して銃口を向けるが、全く止まることなくこちらへ向かってきたため問答無用で女性めがけて発砲。そのまま女性の心臓に命中し貫通するかと思いきや何事もないように目視できるはずのない銃弾を難なく掴みそのまま落とすのだった。『ふむ! やはり貴様たちは俗で間違いないようだな!』と言うのだった。
そして今へと至り、はじめこの場にいた武装者たちはおよそ十数名だった。だが、その女性が1人、また1人と戦闘不能にしていき、僅か数分にはこの場の武装者は僅か数名となり
「くそがぁああああ!!!」
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
一心不乱にマシンガンを撃つがそれら全て女性に当たるだけでカンカンと虚しく落ちていく。
「その程度で、この私を止められると思っているのか!」
発砲している2人にそれぞれ拳と足蹴りをお見舞いする。その衝撃でその2人は少し遠くの店まで吹き飛ばされそのまま気を失うのだった。
そしてこちらを見る目はまさしく、
「か、怪b
ドスッ!!
女性の放った拳が最後の武装者の溝に命中、そのまま白目をむいたまま倒れるのだった。
「これで終わりか! つまらんな!」
腕を組み、軍服のようなマントを翻しながらその場から離れるのだった……




