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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
夏休み

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海の家と依頼調査 ⑤

 (‥‥って所長の事だからそんなことを心の中で思ってそー)

 この依頼の報酬金額はそれなりにあるだけでなく久々の探偵らしい以来という事で依頼を受けた当日から結構張り切っており夜遅くまで入念に準備や確認を行っていたらしい。まぁ結局この1日で謎の不確定生物の正体と行方不明となっていた十数名の漁師が沖にある小さな洞窟にいることが分かってしまい、せっかく準備していた道具を使う機会が無くなったじゃない! とすごく怒っていた。今度何かお詫びを兼ねて菓子類でも送るか‥‥とそんなことを考えている内に次の攻撃を放ってきた。

 ここまでで分かった攻撃パターンは強靭な鱗を数万個ほど飛ばし上下左右から包囲するような攻撃、口から放つ大量の水による放射攻撃、そして体のあちこちにある目玉から放たれる熱線レーザーである。先ほど後ろに回り込み攻撃をしたがすぐに対応しレーザー攻撃を放ってきたのだった。後ろから回り込んでからの攻撃まで約3秒ほど、目玉からレーザーを放ちこちらに向かって来る速度は秒速2秒ほど、つまり後ろから攻撃をしてもどうしても相手の対応の方が早い。という事が分かり‥‥

 「【地獄ノ業火】【地獄ノ氷凍(ニブルヘイム)】【風牙ノ嵐(ストーム・ファング)】【轟ノ雷鳴(イナズマ・レイン)】【聖なる破滅(ホーリー・エンド)】」

 今度は5連続無詠唱魔術を使用しそのままエネミーにぶつけてみた。この5つの魔術は今の時代では使用できる者がほとんどいないと言われている最上級以上の魔術らしい。こちらにとってはこれくらい普通と思っているが‥‥。そして燃やし、凍えさせ、切り裂かれ、焦がされ、貫かれの結果はというと5つとも直撃はした。だが5つとも全て防がれていた‥‥いや、正確には強靭な鱗によって防がれていた。どうやらあの鱗には魔術による攻撃を完全に無効化にする効果があるらしい。そう思っているとこちらの番だと大きな口から大量の水を勢いよく放射したのだった。だがこちらは瞬時に氷の盾より強固の【煌水晶の障壁(クリスタル・バリア)】を展開、そして難なく防いだのであった。この時気付いたのだが5つの魔術攻撃を無効化した鱗が見たところボロボロであることに気付いた。まぁ確かにどんなに無効化にする効果があるとしても強力な攻撃を5つ同時に受けてしまっては完全に無効化にすることは難しい。つまるところあの鱗ではも5つ同時に放った術を完全に防ぎきれないという事である。だか、だからといって連発というわけにはいかない。何せ俺が今いる場所は氷の上である。そんな中もう1度先ほどと同じような攻撃を放ってしまえばこの氷が無事でいられるか‥‥この氷の状態を確認したがエネミーによる攻撃と俺の放った攻撃によりあと10分未満、もしくは強力な攻撃がこの氷に直撃すればほぼ間違いなく割れる。だから急いでS級エネミーを倒す必要がある。そんなことを考えていると

 「■■■■■■■!!!」

 言葉にならない様な雄叫びで再び攻撃を仕掛けてきた。今度は鱗を飛ばす攻撃といくつものの目玉からのレーザー攻撃である。だがそれらの攻撃は零に向かったり、近くの岩、海面、そして氷に攻撃を手当たり次第放っていた。まるでエネミー自身我を忘れているかのようであった‥‥。零が鱗やレーザーを回避から防御で対処していたが数十ものの攻撃が別の方向へと向かっていた。その方角にはホテルは勿論レストランや漁港、そして春奈さんと夏希さんが泊っているであろう旅館があるのだった。

 

 その攻撃の数は正確には分からないが最低でも20前後、最高でも40ぐらいの鱗による攻撃と目玉から放たれた赤いレーザーがホテルやレストラン等へ向かっていた。このままでは辺り一帯に桁外れな被害が出るだろう。そしてすでに気付いている人もおり急いでその場から逃げようにも我先に逃げる人で溢れており逃げだすことが出来ないでいた。だが仮に逃げようにも鱗やレーザー攻撃の方が早いことは目で見るより明らかであった。そしてこのまま建物逃げ惑う人々に着弾し多くの死傷者が続出する結末が見えていた。

 

 その砂浜には1人の少女がいたのであった。離れた場所にあるそれらのホテル等から人々の逃げ惑いや恐怖の声が聞こえているがその少女は1人こう思っていた。

 (‥‥‥うるさいなぁ)

 少女にとって逃げ惑う声や恐怖で怯える声など雑音に過ぎなかった。そう思っていると鱗による攻撃、赤いレーザーが少女に向かってきているのだった。だが少女はその場から1歩も逃げだそうともしなかった。そして少女がとった行動は

 「【津波の障壁】」

 手を前に翳しそう唱えると目の前にあった海水が一斉に勢いよく天に向かって上がっていった。そして次々と上がっていきやがて完成したのはいくつものの町を飲み込むような巨大な津波だった。ではこの津波はどのように使うのか、それは向かって来る鱗やレーザー攻撃を防ぐ役割を果たすための巨大な障壁として利用するためである。この津波の障壁は並みの攻撃や階級の高い術による攻撃を受けても崩れることのないまさに鉄壁の壁でありそしてその言葉通り向かってきた全て計40前後の攻撃は1つの例外もなく津波という自然災害に成す術もなく飲み込まれるのであった‥‥

 「まぁ、私にとって海は庭の様なもの。これくらいの津波を生み出すことなんて造作もないわね」

 水色髪の少女は余裕な笑みを浮かべるのであった。


 そろそろ終わりにしよう。何せここからでも逃げ惑う人々の声が聞こえてきておりこのままだと明日開業する海の家が、せっかく準備をした海の家が中止になるかもしれないからな。とりあえずまずは、

 「【グラビティ・プレス】」 

 攻撃の動きを止めるため強力な重力場を発動させた。放出した鱗が再び生えるにはしばらく時間がかりこの時丁度鱗を全部放出し終えていた。つまり身を守る鱗がほとんどないためこうして難なく重力魔術がエネミーに届いたのであった。そして今まで宙を浮いていたエネミーがついに地に、いや、氷の上に落ちたのだった。氷の上に落ちても未だに動けないエネミーに次は何をしたのか、それは【弱点看破】というとある力を発動させた。この力を使うと俺の瞳は通常の黒色から黄色へと変化する。かといって体に何か異常があるわけではない。他にも瞳の色が赤くなったりとまだまだあるがそれについては今は話さなくていいだろう‥‥

 そして【弱点看破】によりエネミーの弱点であるコアの場所を見つけた。その場所は体内に存在しており具体的に言えば体内、それもさらに奥にあり‥‥

 「…尾びれの中か」

 尾びれの中にコアが何重にも肉体で覆われておりそこに丸い球体、つまりそれがコアである。コアは丸いものから四角いものと形は様々であると同時にとても固く並みの攻撃程度ではヒビすら入らず【魔力接合】によりようやく破壊することが出来る。だが俺はそんな【魔力接合】など使わずとも容易く破壊することが出来る。

 「【憤怒の斧】」

 手に持っている虹色の杖を収納し代わりにこの禍々しい大斧を手に持ち振り下ろすように構えた。この斧から放出される威力は先ほどの5つの魔術の比ではない。そして相手がいくら術の耐性があるからといって防ぐことは不可能である。何故ならこの斧は破壊という言葉そのものから作られており、文字通り耐性や生物の肉体ごと破壊するのだから‥‥

 「跡形もなく消し飛べ!【破壊の終幕劇】!!」

 S級エネミーの術耐性の鱗を、大きな口を、いくつもある目玉を、そして尾びれにあるであろう丸いコアそのものを跡形もなく破壊、その結果、大斧から放出された黒い放出エネルギーにより灰も塵も残さず完全に消滅したのだった‥‥


 「な、何なんだ、あの黒い放射物は‥‥」

 洞窟にいた怪我を負った最後の漁師を船に乗せた後依頼主である漁師が見たのは氷の上から放たれたあり得ないほどの質量エネルギーだった。ここから遠く離れているがそれでも肌に当たるビリビリ感が伝わってきた。もしあれを1つの町に放てば間違いなくその街にある建物、そしてそこに住む人々は跡形もなく消滅するだろう‥‥力を持たない漁師にすらその危機感を身で感じるのだった。そして有紗はというと‥‥

 (ふ、ふふ、ふひひひ‥‥これで依頼は達成されたも当然、後はお礼の依頼金をもらうだけだ!)

 恐ろしい光景を目にしている漁師と180度異なりその後の謝礼金の事しか考えておらず顔には出していないがおそらく、いや、絶対に心の中ではイヤッホーイと子供のようにはしゃいでいるのだろう‥‥

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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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