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創られた世界に破壊を込めて  作者: マサト
文化祭

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激情 Ⅲ

 2階にあるフロアはとても広く生徒が数百人いてもまだ余裕があるほどだった。そのフロアには現在多くの生徒や来場した一般客がいた。その人物たちが見ていたのは第1術科学園の5人の生徒と、この学生なのか分からないメイド服を着ていた少女だった。最初は小さなトラブルから始まり徐々にことが大きくなっていきやがて窓ガラスや床を破壊するような大惨事へといたり最終的には1人の女性を殺そうとしていた1人の生徒だったが突如として現れたその少女により最悪の展開へとならずに済み、その後もう1人の女性と共にその人はどこかに運ばれていた。

 そしてそんな大勢の人に見られている中5人の生徒と1人のメイド少女による決闘が始まろうとしていた。先に動いたのはメイド服を着た少女だった。大勢の中には無術者も当然いる。そして近くで術を使用している所を見ることなど滅多にない。だから何か攻撃術を繰り出すのかとほとんどの人がそう思っていた。だから‥‥

 出した掌を何かを掴むような指の動きをし、そして時計回りのようにクルっと回すと一瞬でその場から居なくなることなど誰1人として思わなかっただろう‥‥


 5人は一体何が起きたのか未だに分からないでいた。確かにさっきまで2階にフロアにいた。そして相手の力量を見るために先制を許していた。そして目の前にいるメイドが掌を前に翳し何かしらの攻撃をするのかと思い瞬時に防御結界を張れるように準備をしていた。そして構えた状態で瞬きをたった1回した瞬間先ほどまでいた場所から別の場所へと移動していた。まるで先ほどまでいた場所が全部嘘で本当は始めから今に至るまでずっとここにいたのかと錯覚するほどだった。

 「…さて、先ほどいた場所じゃあ貴方たちも実力を出せないだろうからこうして移動したわけだが‥‥何の問題もないよね」

 今いる場所は第3術科学校の敷地内にある実技訓練所だった。この場所は文化祭期間は誰も使用しないため入り口には厳重にカギをかけていた。だから誰1人として入ることが出来ない‥‥だというのにそのメイドにより一瞬で移動したのであった。

 「はっ! 一体何が起きたか分からねぇが丁度いい。ここなら全力出しても気にせず戦うことが出来るからなぁ!」

 言い終えると同時に男は再び一瞬でメイドの間合いに入り拳を振り下ろした。先ほどと同じく全力に加え今の一瞬で拳闘術の身体強化術を纏っており威力はさらに上がっている。そして今度こそ仕留めた。そう思っていた。だといのに、

 「う、嘘でしょ‥‥あり得ないんですけど‥‥」

 ギャルっぽい女子がそう呟いた。何せ先ほど述べた何倍にも威力が跳ね上がった拳を今度も難なく防がれたのだった。しかも片手1本で‥‥そしてメイドはもう片方の手で男の胸部に手を置き

 「【発勁】」

 たった少しの力を置いている手に込める。それだけで男は奥の壁際まで吹き飛ばされたのだった。4人は当然だが何が起きたのか理解が出来なかった。そんな未だに思考が追い付いていない者に対して

 「どうした、他の4人もまとめてかかってこい」

 そんな挑発をしたのであった。

 「……はっ! 一体何が起きたか分からないけど私たちを舐めないでよね!」

 「そうそう、メイド風情がいい気になるなっての!」

 「俺たち4人の強さを見せてやるよ!」

 「女如きが図に乗るなよ。星の力よ・我の願いに応え・かの者たちに力を授けよ【エンハンス】」

 占星術の初級術である【エンハンス】を4人にかけるのだった。この術は範囲内にいる味方に術の威力を上げる効果を持っている。そして放たれる攻撃術は通常の数倍にも跳ね上がり、

 「来たれ炎・燃え盛る力で・敵を焼き尽くせ【フレイム・キャノン】」

 「氷の剣よ・凍える冷気で・敵を凍らせろ【アイス・スラッシュ】」

 「鳥よ・その身に纏った雷で・敵の動きを止めろ【雷の符:雷鳥】」

 魔術を、剣術を、幻陽術を【エンハンス】で強化された自信のある術をメイドに向けて放ったのだった。どの術も中級並でまともに受ければ大怪我は免れない。だがそんな迫り来る強力な攻撃に対してメイドは全く動じず、そしてそのまま直撃したのだった。

 「はっ、やったか?」

 「なぁんだ、口先だけで全然大したことなかったね」

 「初めからこうすれば良かったんだよ」

 3人の呑気に言い合っていたが

 「‥‥いや、待て、何かおかしい」

 そして直撃した際に出てきた煙が晴れるとそこにいたのは未だにその場に立っていたメイドだった。しかも全くの無傷で平然としていた。

 「……どうした、この程度か?」

 「ば、馬鹿にしないでよ! 来たれ火炎・荒ぶる炎で・灰すら燃やし尽くせ【ボルケーノ・バースト】!」

 「雷鳴の剣よ・ほとばしる一撃で・敵を撃ち滅ぼせ【イナズマ・ブレイク】!」

 「炎の猛獣・燃え盛る牙で・敵を喰らい尽せ【炎の符:炎豹】!」

 「赤き星よ・燃えるような光で・この者たちを輝かせよ【マーズ・エンハンス】!」

 今度は上級術で対抗したのだった。占星術【マーズ・エンハンス】は先ほどの【エンハンス】よりもさらに術の威力を上げることが出来る上級術である。そして再び直撃。今度こそやったと喜ぶがそれすらも束の間、煙が晴れるとそこにいたのは先ほど同様全く動じていない無傷のメイド少女であった。

 「……何、今の?」

 「そ、そんな‥‥私たちの上級術を受けても平然としているなんて‥‥」

 「あれは、ほ、本当に同じ人間なのか‥‥」

 そんなことを言い肩を上下に揺らしていた。彼らは中級と上級を威力調整せずに連発したことによりすでに魔力が尽きようとしていた。それが今の状態であり、立っていることすらもやっとという状態である。このままでは魔力欠乏症を起こしてしまうためそろそろ決着を付けようと動こうとした時先ほどまで壁際まで吹き飛ばされた男がこちらに戻って来て再び攻撃を仕掛けてくるのかと思いきや

 「お前達()()は持っているな」

 「‥‥あぁ、アレね。勿論あるよ」

 他の3人も頷き

 「よし今すぐ投与しろ。そしてあの生意気メイドに俺達第1術科学園の真の力を見せるぞ」

 そして取り出したのは赤い液体が入った注射器だった。それを何の躊躇いもなく自身の首に刺しそのまま1滴も残さず体内に取り込み、容器に入っている液体が全てなくなると辺り一帯に溢れるほどの魔力が広がり始めた。そして先ほどまで魔力欠乏症寸前だったはずの4人もいつの間にか魔力が戻り、それ以前に先ほどよりも魔力量が上がっているような気配がした。肉体に何も変化は起きていない、だというのに先ほどとは別人という気配が強あった。

 「あ、あははは!! 力が湧いてくる! こんな感覚になれなんだったら初めからそうすれば良かったんだよ!」

 「ふふふ‥‥そう言うなよ。弱い者いじめは良くないから良くないからこれは奥の手として取っておいたんだろ」

 「そうそう、この姿の私たちならどんな相手でも圧倒できるんだからね!」

 「おいくそメイド、この力を得た俺たちは最早無敵だ。今なら降参で許してやるよ。さぁ、死にたくなければ‥‥‥」

 最後まで言おうとしたが


 「‥‥ぷぷぷ、そんなまがい物で力を得ただなんて‥‥貴方たちの頭の中はお花畑か何かですか? まぁ所詮初めから何の脅威すら感じていなかったんですけどね、ぷぷぷ‥‥」

 

 余裕綽々で薄笑いするのであった‥‥ 

 

 

 


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 大体1分ぐらいで見終われるように書いております。  内容次第では少し長くなります。
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