騎士団長は彼に恋をしています
「…………」
ある日の事、仕事の休憩中。セレナはボーッとしていた。
(なんでしょうか? 最近ボーっとしているような……)
するとだった。
「セレナさん、どうしましたか?」
目の前に座っていた半獣人・ソルト・シールスがセレナを尋ねる。
「あ、いえ……。少々疲れているのでしょうかね」
「は、はぁ……」
するとそこへ―。
「ええっと、ガムテープの予備は確か……」
「! わわわわわ……!」
セレナは元春がガムテープを取りに休憩室に入った途端に動揺し始めた。
「? セレナさん? どうしたの?」
「い、いえ! 何でもありません!」
「…………?」
元春はガムテープの予備を取って、休憩室から出て行った。
「…………」
すると、ソルトはセレナを見てじーっと見ていた。
「セレナさん……?」
「あ」
この時、ソルトは気付いたのだった。
「もしかして、元春さんに惚れています?」
ソルトの一言に、セレナは衝撃走った。
そして、セレナは元春のことについて話した。
「この世界に来て、あの人に惚れるなんて……」
「あ、いや、その……」
セレナは指をちょんちょんしながら、恥ずかしそうに言った。
「セレナさんは騎士団長でも乙女心あるのですからね~。微笑ましいです」
「! そ、そういうのはやめてくださいよ!」
セレナは恥ずかしそうに言う。
「でも、分かっているんですよ。あの人はこの世界で例え何があっても立ち向かって行く人ですから。でも、そうしているうちに胸が痛くなるんです。きっとあの人に恋をしている、そう思っていたんです」
「セレナさん……」
「きっと違う世界から来ても恋は叶うことはないと思いますし……」
これにソルトは言った。
「別にそういうのは関係ないと思いますよ」
「!」
「例え異世界から来てもきっとそこには幸せがあるんじゃないかと思っていますし、私だったら応援しますよ!」
「え、えええ……」
セレナは照れていた。
「ただ、一つ気になっていることがあるんです」
「なんですか?」
ソルトはある疑問があった。
「私もセレナさんもエリーゼさんも、この世界からやって来た。それは、時空ホールに吸い込まれたということ」
「確かに、今まで私たちはそういうのありましたね」
「…………もしかしたら、何かの理由でこの世界にやって来たんじゃないかと思います。推測ですが、いきなりの時空ホールが私達の前に吸い込まれた。それはおそらく、なにかしらの目的があるんじゃないかと思っています」
「目的……、つまりは時空を司る者の仕業でしょうか?」
「分かりませんが、それも可能性は高くはないのですが一理ありますね」
「…………」
そして、仕事帰りにて、セレナは深刻な顔で考えていた。
(時空を司る者ですか……、もしそれが何かの理由で達成したら、私は元春さんと……)
「? どうしたんだ、セレナさん?」
「い、いえ。何でもありません、少し考え事です」
「そうか」
元春は気にしていなかった。
(きっと、この先何かあると思う。私があなたのことが、好き、だから……。いつかどこかで、告白しよう。今は、言えませんけどね)
この恋は言うのはまだ先になりそう。この先、何があるのか。
それはまた、別のお話。