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本当の野球を見せることに彼はバッターに立ちました

 御子柴はバットを持って、バッターに行った。

「ん? アイツなんか睨んでないか?」

「本当だ、さっきの仲間を見て怒ったんだろうな」

「そりゃあ、相手も睨みつけるな」

 相手チームである「鉄鋼工業」は、元春を見て嘲笑う。ベンチにて様子を見たセレナたちは……。

「大丈夫なのか、御子柴の奴?」

「元春さん、確かあの時『遊びじゃない』って言ってましたが、それはどういう?」

 セレナは心配そうに言うと、村上が言った。

「分かんないが、アイツは真剣な目をしていやがる。運動神経はできるが、少し不安だな……」

 元春を見守るしかない。そう思ったその時だった。

「!」

 元春はバットを場外の方を指した。

「な……! こ、こいつ……!」

 小倉は気付いたのだ。

「オイオイ、アイツまさかホームランを打つつもりか?」

「あのポーズは何ですか?」

 エリーゼは質問した。

「予告ホームラン、必ずホームランを打つんだよ! もし、場外に入ったらマジだよ!」

「元春さん、本気なのですか?」

 

 その一方、バッターの方では……。

「おい、デメェ! 冗談にするのも大概にしやがれ!」

「冗談? 違うな、俺は本気なんだ。社会人をなめるな」

 これに岡田はムカついていた。

「こいつ……!」

「…………」

 山崎は、フッと笑う。

「だったら、教えてやるよ。フォークを投げてやる」

 どうやら、山崎は元春を挑発しているようだ。だが、元春は……。

「いいよ。フォークでも来いよ」

 自信がありそうな顔をした。

(この野郎、ふざけてんのかよ! せっかく忠告してやってるのに……! よーし、望みどおりにフォークを投げてやってくれ山崎)

 岡田は、山崎に投げのサインを出した。これに彼は頷いた。

(後悔しろよ!)

 山崎はボールを投げた。

「! おい、あいつフォークを!」

 これに元春は、バットを振ろうとした。

(馬鹿が、無駄なんだよ!)

 その時だった。バットにかすり傷のように当たった。そして、ボールは―。

 ドス!

「!?」

 岡田の股間に当たった。

「あ……、ああああ……」

「大丈夫ですか?」

「こ、股間がァァァァ……」


 これにベンチでは―。

「な、何だ? あいつ、なんか震えてないか?」

「さっき、ボールがあの男の下に当たったような……」

「もしかして、元春は相手が投げたフォークをかすりのように振ったの?」

 円は少し気付いた。

「円さん、それってどういうことですか?」

「バットの構え方。フォークを破るには構えが色々あるのよ」

「構え方か……。そういえば、あいつは頭もいいからな。野球についても既にマスターしているはず」

 村上は元春の事で何かに気付いた。


(こ、こいつ……、ふざけやがって! そんな事で、ホームランを打つわけないだろ! もう一回だ、山崎!)

 これに山崎も―。

(なめやがって、野球経験ないくせに生意気だぜ!)

 そう思って、再びフォークでボールを投げた。―が。

 ドス!

「うっ!」

 元春のバットのかすりで再び岡田の股間にボールが当たった。

「ぬおおおお……」

 岡田は倒れこむ。

「こ、この野郎、ふざけやがってぇ……」

 涙目の岡田。これ以上やったら股間がヤバい。そう思った岡田は、変更して山崎に変更サインをしたのだった。

(や、山崎……。変更だ、ストレートでいくぞ)

 山崎は頷いた。ストレートで投げることにした。

 だが、その時だった。

(! こいつ、構えが変わった……?)

 元春のバットの構えが変わった。しかし、山崎がストレートにボールを投げたことに、そして―。

(しまった……!)

 カキン!

 元春はバットでボールを打った。そのボールは、場外までいった。まさしく、彼が打ったのはホームランである。

「! 元春さん!」

「やりやがった!」

 元春の活躍で、デットボールになった美作を含めて「OTARUNZU」は二点取ったのだった。

 これに、山崎と岡田は―。

「あ、有り得ねぇ……。本当に野球経験ないのかよ、あの男」

 山崎は唖然とする。

「あの御子柴とかいう奴、おそらく只者じゃねぇ……。フォークで投げたつもりが、今度はストレートで投げた。しかし、ストレートで構えが変わって打ちやがった。あいつ、本気だ……」

「きっと、元々野球部だったんじゃねぇのか?」

「そいつは、許さねぇな」


 一方、元春達は―。

「スゲーよ、御子柴! あんな球を打つなんて!」

「でも、フォークの時は一体どうやってキャッチャーをひるんだの?」

 美作の質問に、元春は言った。

「バッターには構え方が色々あるんだ。最初のフォークは『オープンスタンス』でバットを構えた。確かにあの投げは打てる確率は低い。だがら、相手を挑発的に誘い込んだ。そして、三回目の投げはストレートで来るはず。その読み通り、『スクエアスタンス』でボールを打つことができた」

「すごいよ、お兄ちゃん!」

「元春さんなら、当然ですよね」

 元春は「鉄鋼工業」を見た。

「でも、ここからが本番だな。アイツら、激怒している」

「そうみたいだな」

「油断はできない、このまま勝つぞ!」

「おお!」

 元春達の灯心が燃えてきていた。ここからが本番、本気で行くことにしたのだった。




                             つづく



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