イラつく相手に彼は試合に出ることを決めました
―前回のあらすじ。小樽市の町内会イベントスポーツ・草野球が行う事になった。しかし、チームの数は人数不足だったため、元春の友人である村上が彼をチームに入れてほしいという。
しかし、元春は未だに考え中だった。そこへある工場社員の二人が脚立を持ちながら走ってきた。そう、彼らが草野球チームの相手『鉄鋼工業』という工場会社だった。山崎と岡田、彼らの暴言に元春はイラッとして、草野球チームに入ることを決意したのだった。
「テメェ、マジで言ってんのか?」
「あぁ。そこまで悪口を言うなら黙っていられないな」
元春は二人に睨み返す。
「草野球、俺も参加する」
これに山崎は豪快に笑う。
「プッ! アハハッ! こいつマジか!」
「もし、俺らが勝ったら二度と俺らの事を暴言言うな」
「ハッ、いいだろ! 俺らが負けたら土下座してやるよ! ただし、俺らが勝ったら、そうだなぁ……」
山崎は考えた。それは、セレナとエリーゼを指を指した。
「この女二人を頂くというのはどうだ?」
「な……!」
「ガハハハッ、泣いても後悔すんなよ!」
そういうと、二人は脚立を持って行った。
「あいつら、ムカつきますね!」
エリーゼは腹立っていた。
「…………」
翌日。元春達は仕事帰りに、村上がいる魚屋へ寄った。
「ホントか! ありがたいな、助かるぜ!」
「これが草野球用の服か」
「カッコいいですね」
野球服には白黒の服で英語で「OTARUNZU」という字が書いてあった。
「だろ、それを俺らが着るんだ」
「分かった。あいつらには負けてられないからな」
元春は本気だった。彼の顔に村上は気付いた。
「ヤケに本気だな。何かあったのか?」
「実はな……」
元春は、村上に事情を話した。
「そいつはとんでもないな」
「ですよね! 何なのですか、あいつらは!」
「ま、無理はないな。鉄鋼工業はガラ悪い工場会社だからな」
「それはどういうことだ?」
村上は鉄鋼工業についての噂を言う。
「奴らは仕事では真面目だが、因縁をつけられたらヤバい奴らだ。特に、あの二人だ」
「あの二人?」
「山崎金次と岡田三郎。あの二人はこの町では元々不良だったらしくてな。まぁ、卒業後にはそこで働いているがな」
「要するに、あの二人が一番ヤバいという事か」
「まあな」
元春は腕を組んで納得するしかないと思った。
「しかし、そんな奴に私達を取るなんて……。元春さん、本当に勝ってくださいよ」
「わかってるよ」
こうして、元春達は明日に備えて用意するのだった。
そして、試合当日。場所は借りたグランドで草野球を行う事になった。
「元春!」
そこには、友人の車坂達がいた。
「この草野球に参加するんだね」
「相手が鉄鋼工業と聞いたからな」
「元春一人か?」
「いや、セレナさん達もいる」
そこにベンチに、セレナたちがいた。円や咲夜、さらに小倉康夫の妻・美里もいた。
「何としても勝たないとな」
元春達は頷いた。
その一方、ベンチでは―。
「お兄ちゃん、まさかあの嫌な奴らと勝負するんだ」
「そんなにひどい噂なんですか?」
咲夜は言った。
「あいつら、ボールに目に当たって潰ればいいのに」
「…………」
セレナは思った。
「でも、あの人なら大丈夫なはずです」
「団長……」
その頃、元春達はポジションを決めていた。するとそこへ―。
「やっぱり来たか」
「! お前たちは……」
鉄鋼工業の山崎と岡田が来た。
「マジで来るとは思わなかったな」
「減らず口を言うなら、こっちだって本気だ」
「お~、怖え。ま、勝つのは俺らだけどな」
「こいつら、ムカつくぜ」
康夫はイラっとした。
「よせ、小倉。挑発に乗ったら相手のツボだ。怒りはスポーツで攻撃したほうがいい」
「…………」
元春の言う通りだった。ここは我慢だ。康夫はそう思った。
「ハッ、やっぱりそうなるか! 後悔しても知らないからな!」
元春は言った。
「その台詞、草野球で返してやるよ」
元春達は行くと、山崎と岡田の前に上司が来た。
「お前ら、何しているんだ」
「中尾さん」
中尾はニヤッと笑う。
「あいつらか。にしても若い奴らだな。まぁいい、うちらの会社の本気見せてやれ」
「へい」
こうして、「OTARUNZU」と「鉄鋼工業」との草野球試合が始まるのだった。
つづく