町内会のイベントのスポーツがやって来ました
ある日の事、回覧板が元春の元からやってきた。
「お兄ちゃん、回覧板」
「ああ」
その回覧板の中から、お知らせがあった。
「お知らせ?」
これにセレナ達も見た。
「どうかしましたか?」
「回覧板にお知らせが来ている。なになに……?」
元春はお知らせを読んだ。
『町内会草野球大会、チーム募集!
力がある人、募集中です! やりたい方は町内会長にお電話を!』
どうやら、草野球のチーム募集のようだ。
「草野球、ってなに?」
キャロルは気になっていた。そもそも、異世界には野球なんて当然ない。セレナたちが知らないのも、無理はない。
「草野球というのは、ここでの世界のスポーツの一つである野球さ。ボールを投げて、バットで打つ。相手を打たせないようにするスポーツさ」
「ボール?」
「う~ん、どういえばいいのか……?」
するとだった。
『ピンポーン♪』
インター音の音がした。元春が玄関に行くと……。
「はーい……って」
そこにいたのは、元春の同級生・村上だった。
「よう、御子柴」
「村上」
村上は中に入ると、ある話を言った。
「回覧板にお知らせがあっただろ?」
「草野球の件?」
「あぁ、今回はどうしても人手不足なんだ。こんなことだけど、チームに入ってくれないか?」
村上は元春にお願いをしている。
「今年は人数少ないのか?」
「噂ではそうみたいなんだ。それで、小倉も車坂も美作も仕方なく協力してくれたんだ。あとは俺の知ってる限りじゃあ、お前しかいなくてさぁ」
「う~ん……」
「頼むよ~、同級生の顔を見立ててさぁ」
これにセレナたちは……。
「あの~、村上さん。そんなに困っているのですか?」
「不足しているなら、手伝いますよ」
セレナ達も手伝うことに本気だった。しかし……。
「気持ちは嬉しいけど、実は草野球は男しか試合が出来ないんだ」
「えっ? そうなんですか?」
「助っ人は嬉しいが、女性は応援だけが限界なんだ。ごめんな」
これにセレナたちは仕方なくだった。
「わかりました」
村上は元春に向いた。
「で、どうなんだ?」
「えーっと、その日って、いつ?」
村上は言った。
「明後日だよ」
「明後日かぁ……、考えさせてくれないか?」
「そうかぁ……、じゃあ電話してくれよ?」
そういうと、村上は元春のアパートから出ようとした。
「そういえば、村上さん。草野球の相手って一体誰ですか?」
咲夜は質問して、村上は答えた。
「確か……、『鉄鋼工業』という会社の人たちだよ」
「鉄鋼工業?」
「よくわからないが、工場の人らしい」
村上は言って帰った。
「…………」
夕方。元春は、セレナ達と一緒に買い物をした。そして、その帰り……。
「草野球かぁ……」
元春はやるかやらないかと悩んでいた。
「どうしようかなぁ……」
「やればいいじゃないですか、人手不足だそうですし」
「…………」
その時だった。
「えっほ、えっほ、えっほ!」
「? 何の声でしょうか?」
後ろから、何かの声がした。
「……? 何だろう?」
後ろを向くと、そこには―。
「オラオラオラァ! 邪魔だ、さっさとどけぇ!」
大きな脚立を持った二人が元春達の所に入ってきた。
「きゃっ!」
セレナはこれにビックリしてこけた。
「団長、大丈夫ですか!」
「おい、君たち! ちょっと待て!」
これに男二人は止まってー。
「あぁ?」
元春らに睨みつける。
「なんだテメェは? 俺らは忙しいんだよ!」
「ぶつかっておいて、謝りもなしか?」
「何だとゴラァ! 俺らは鉄鋼工業の社員だ! 文句あるんか!?」
「大ありだよ。……ん? 鉄鋼工業?」
元春はその会社名を聞いた事があった。
「どっかで聞いた事ある名前だな……?」
これにエリーゼは思い出した。
「! 元春さん、もしかしてこの人たちが、例の草野球の相手チームなのでは?」
「あ! 村上が言っていた草野球チームの相手か!」
これに男二人は気付いた。
「草野球? 明後日の件の事、何で知ってんだよ?」
「もしかして、明後日の草野球の相手チームの仲間か」
「…………」
男は言った。
「へぇ~、なんか弱い奴だなぁ」
「なんだと?」
「まぁ、相手は中年の四十代から五十代のオッサンだし」
「だよな~」
「…………」
元春は少しイラっとする。
「まぁ、どうせ弱輩な奴らだろ」
「オイオイ、それ言いすぎだろ!」
と、二人はふざけて笑う。
「あなた達……、それは流石に言いすぎです!」
エリーゼもこれに怒る。
「あぁ? ガキは黙ってな」
「な……! こ、こいつら……!」
すると元春は……。
「お前たち、鉄鋼工業だったな? 名前は?」
「なんだ? 名前を言ってどうしろと……?」
「名前を言え」
元春の目は怒りの目をした。
「……や、山崎だ」
「岡田だ」
「分かった、いいだろう。その草野球、俺も入れてやる」
「! 元春さん!」
「何だとぉ?」
元春は二人のふざけを見て怒りを出して、村上率いる草野球チームに入ることを決心したのだった。
つづく