従業員を労うために飲み会へ行くことにしました
―それは、従業員にとっての日頃の労いである。例えるなら会社では、課長や部長に就任したのちには部下との親交することも大切である。その為には、ボーナスがもらえる? いや、それでは贔屓になってしまうだろう。
ならば、全員が進行できるのは何だろう? 答えは一つしかない、それは『飲み会』だ。時には語ることも大切である、従業員は仲間としての親交を高める時もある。
そんなハトバにも、遂にその時が来たのだった―。
「今回の売り上げはかなりの新記録となった。俺たちの店がトップ十位に入っているが、No.1には未だ遠い。その為に、もっと上を目指す。だが、焦っては後悔してしまう。その為皆には日頃の労いとして、飲み会をやろうと思う!」
元春の言葉に、全員は驚いていた。
「飲み会、ですか?」
「あぁ、今回は長脇茂チーフにも許可が出ている。勿論、飲み会の場所も決まっている」
「飲み会ですか……。私達の世界なら、祝福の宴という所ですかね」
「まぁ、異世界ならそんな感じに似ているな」
これにみんなは思う。
「い、いいのですか? 私まで……?」
「いいのよ、アリアちゃん」
「まぁ、ここまで来たんだしな。たまにはそういうのも、悪くはないか」
「飲み会かぁ……、というか元春、飲み会場所って一体どこなの?」
円の質問に、元春は飲み会の場所を言った。
「ある居酒屋さ、そこに俺の友人が営んでいるらしい」
「元春さんの知り合いですか?」
「あぁ、村上らも知っている人物、というより昔の同級生かな」
「その居酒屋の名前は?」
元春は居酒屋の名前を言った。
「『おぐら』という店さ」
「おぐら?」
この時、円は思った。
「おぐらって、誰かいたような気がする……」
「会えば分かりますよ、マネージャー」
桜子は言う。
「そ、そうだね」
こうして、今夜ハトバのメンバー全員向かうのだった。
午後六時半、元春達は居酒屋『おぐら』へと入った。
「いらっしゃい!」
「よう、久しいな小倉!」
「おっ! 御子柴に高町じゃねぇか! 久しぶりだな、学生以来か!」
「この店、小倉君の実家なんだ」
円はやっと思い出したらしい。
「ハハハ! 親父の店を跡継ぎしたからな!」
さらには……。
「いらっしゃい」
女性が来た。
「俺の女房だ」
「お前、結婚していたのか」
「去年結婚したからな!」
元春は小倉という知り合いと語った。これにセレナたちは気になった。
「あの~、元春さん。この人が、元春さんの?」
「あぁ、そうだ」
小倉という男はセレナたちを見た。
「元春がハトバの店長しているのは知っているが、こんな賑やかな奴らが集まっているなんてな! 自己紹介まだだったな、俺の名は小倉康夫、こっちは妻の三里だ」
「妻の三里と言います」
これに元春は、名刺を出す。
「今日ここで飲み会を行うハトバ一行です。私は、ハトバの店長を務めている、御子柴元春と言います。小倉とは同級生なので」
「そうだったのですね、うちの主人の知り合いなんですね」
「今日は久しぶりにサービスな食べ物するぜ」
「楽しみだな、小倉の料理凄く美味しいらしいな」
「ハハハ、お世辞はよせよ! 照れるじゃねぇか!」
元春はテーブルに座った。
これに従業員皆は、興奮して楽しみにしていた。
「すごい~、色々あるねぇ~」
「これが、現世の居酒屋なのですか……、騒騒しいところですが、いいところですね」
元春は思った。
「昔、高校時代にみんなでここで忘年会とかやっていたんだ」
「確かにそれは覚えているよ」
円も思い出したそうだ。
「しかし、メニューも豊富なんですね」
エリーゼはメニューを見た。
「唐揚げ、ミニラーメン、春巻き、焼きそば、キュウリのワカメあえ、卵焼きなど……」
「小倉は料理が得意からさ、家庭科の授業なんて得意分野だったからさ」
「それは凄いです」
これに元春は言った。
「今日は飲み会、酒類を飲んでもいいし、自由にやってくれ」
「ゴチになりますわ!」
こうして、皆で飲み会が始まったのだった。
だがこの時、元春はまだ知らなかった。この後に、酔う人がいっぱい出ることを。
つづく