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捨てた人形を拾ってネクロマンサーがある方法を使いました

  ―それは、彼女がかつて幼き頃のことだった。

「あなたは、誰なのですか?」

 そこにいたのは、目の前には誰もいなかった。いや、霊感がある人には見えなかった。

 それは、亡くなった人間が現れたのだ。少女は生まれた時から幽霊が見えたのだ。だが、彼女が幽霊が見えた時には、親からは「厄を起こす少女」と怖れていたのだった。

 親に捨てられ、そして霊術師になることを決意した。

 それが現世ではイタコ師、異世界では―ネクロマンサーという。


 そして、現在。ネクロマンサーである少女、アリア・ソウルートは異世界から現世へやって来た後、ハトバに迷惑をかけたのち、倉木雪子の所に住みながら魂が入っている人形と共に働いていたのだった。

「ええっと、それはこっちに……。その洗剤はそっちに入れてください」

 アリアは人形を指揮しながら商品を入れた。

 これに見た、セレナたちは思った。

「人形のおかげで、商品が次々と片付けていきますね」

「それはええんですけど、人形のおかげでこのハトバに噂が出ていますよ。働くお人形さんとか」

「う~ん、でもお客さんの人からは可愛いと高評していますからねぇ」

「…………」

 その時だった。

「皆、ちょっと来てくれないか?」

 元春からの呼び出しだった。

「元春さん、どうかしましたか?」

「あぁ、ちょっとな。特にアリアを連れてくれないか?」

「アリアさんをですか?」

 それは、急なことだった。


 休憩室に入ったセレナ達。すると、デーブルに意外なものが置いてあった。

「これは、お人形さんですか?」

「あぁ。掃除して、ゴミ捨てに行ったら、このお人形さんが落ちていたんだ。誰かの落とし物なのか分からないから、とりあえず持ってきた」

「ですが、これボロボロですよ」

 龍一の言う通り、元春が拾った人形はボロボロだった。

「どう見ても、捨てられた感じですよ」

 ソルトも龍一と同じ発言だった。

「確かにそうだが、一回警察の落とし物に届けたほうがいいかもしれないな」

 元春はそう思っていると、アリアは人形を見て気づいた。

「この人形、泣いてます」

「え?」

「泣いてるって? アリアちゃん、このお人形さんのこと分かるの?」

 アリアは言った。

「この人形は、かつて持ち主が可愛がっていた人形でした。ですが、愛想が消えかかって捨てられた。元の持ち主の所に帰りたい、そう言ってるそうです」

「すごいわね、アリアちゃんはそういうことできるのね」

 雪子はビックリして褒めていた。

「ネクロマンサーはだてじゃないか」

 義子は感心していた。

「なら、どうするんだ? 何か方法はあるのか?」

「あることはあります。自分が言うのもなんですが、ネクロマンサーの魔法の力があるんです」

「霊術ですね?」

 エリーゼは言うと、アリアは頷いた。

「なら、早速やってくれ」

「分かりました」

 アリアは呪文を唱えた。

「ソウルサウカナリア………」

 紫のような魔法の圧が出てきて、人形に術をかけた。

「これで大丈夫かと思います」

「一体何をかけたんだ?」

 アリアは人形に語った。

「あの……、あなたの本当の持ち主のところに連れて行きます」

 するとだった。人形が―笑顔で笑った。

「! 笑った!」

「微笑んだで! なんや、この霊術の技は?」

 アリアは説明した。

「『感情霊術』といいます。喜怒哀楽の感情が出る術です」

「なるほど、それは凄いな」

「しかし、どうやって持ち主の所に?」

 アリアは言った。

「この人形を見て、持ち主の所に送り届けます」

「だったら、早速行動しようか、と、言いたいが。店を何とかしないといけないな」

「なら私と団長、アリアさんの三人で、この人形の持ち主のところに行ってまいります」

「それなら安心だ。二人共、アリアを頼む」

「はい」

 こうして、アリア、エリーゼ、セレナの三人は人形の持ち主の所へ向かった。

「…………」

 すると元春は、人形を見て思った。

「愛想が尽きた、か」

「店長?」

「人は気に入ったものでも、時が過ぎてすぐ忘れるからな。………、何とかなればいいが……」

 元春は心配そうにしていたのだった。




                              つづく




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