おっとりした少女は獣人のハーフの少女を拾い保護しました
ある日のこと、押し入れからある物をセレナが見つけた。
「あ、これは……」
「セレナさん、どうしたんだい?」
そこへ、元春とエリーゼ、咲夜が駆け寄ってきた。
「押し入れから、これが出てきました」
「それは……」
そこにあったのは、袋の中身に鎧があった。
これに見た元春は思い出した。
「これは、初めてセレナさんと会った時、最初の出会いは鎧のままだったな」
「そういえば、たしか私がこの世界に来て、後にこの鎧は押し入れに入れたんですよね」
「団長、この鎧はある人が作ったものですよ。なのにここに入れなくても……」
エリーゼは否定するが、セレナは仕方なかった。
「そうなんですけど、ここの世界にはルールがありますからね」
これに元春は、気になったことがあった。
「セレナさん、聞きたいことがあるのですが……。この鎧を作った人って、一体誰ですか?」
セレナは言った。
「ソルト・シールスという、ソルフィルスの世界にいた道具屋です」
「そういうのいたのね」
咲夜は感心すると、さらに言う。
「といっても、ソルトさんは獣人のハーフなんですけどね」
「獣人って、虎とか狼などの動物が人間みたいな体をした?」
元春達の世界では、獣人というのは珍しいこと。漫画やアニメではそういうのは見たことあるが、生は全くない。そもそも、現世界では架空なのだ。
「そうなんですけど、今頃ソルトさんはどうしているのでしょうか?」
セレナはそう思っているが、この時、彼女がこの世界からやってくることはまだ知らない。
その頃、バイトが終わった久本桜子は帰ろうとしていたが、最悪の雨だった。
「今日は雨かぁ、ついてないよぉ」
傘をさして、家に帰ろうとした。そんな時だった。
「あれ?」
そこに、白いフードを被った人が倒れていた。
「! 大丈夫ですか!?」
「うぅ……」
「どうしよう……、とりあえず救急車を呼ばないと―」
スマホを出そうとした桜子は、救急車を呼ぼうとしたところに、言葉が止まった。
彼女の耳が、髪のところにあった。
「この子って、人間?」
桜子は、救急車を呼んでも、さらに大変なことが起こるとそう思った。そのことに桜子がとった行動は、彼女を背負った。
「私の家で、看病するからね」
「…………」
桜子は家に向かった。
そして……。
「う、う~ん……」
少女は目を覚ました。
「気が付いた?」
「ここはどこ? どうして私ここに?」
少女は見回した。
「道端にて倒れていたんだよ?」
「そうなんだ。……、って、ここはどこなの? たしか私、ソルフィルスの街にいたはずじゃあ……」
「ソルフィルス?」
桜子は言った。
「ここは日本で、小樽市というところだよ」
「に、にほん?」
「う~ん、ややこしいような……。この子、頭に耳が生えているから、わかんないけど……」
これに彼女は、慌てていた。
「よくみると、まるで別の街だ……! 私、ということは別の世界からやってきたってことなの!?」
「落ち着いて、私は味方だよ」
「味方でも、油断はできない!」
少女は警戒していた。
「う~ん、とりあえずおなかすいている?」
「私はまだすいていな―」
否定する少女だが、その時彼女の腹から、ぐぅ~っと鳴る。
「はぅ……」
「ちょうど、肉じゃができたの」
「肉じゃが?」
桜子は、ご飯を用意した。
テーブルに、夕食が置いてあり、食べることにした。
「これは、あなた達の世界のごはん?」
「うん、そうだよぉ」
「……」
「大丈夫だよ、美味しいよ」
少女はご飯を食べた。
「美味しい、これが……」
すごく喜んでいた。
「そういえば、あなたの名前はなんていうの? 私は久本桜子」
少女は言った。
「私は、ソルト。ソルト・シールス」
「ソルトちゃんっていうんだね。でも、頭に耳が生えているけど?」
ソルトは言った。
「私は獣人と人間のハーフ、そして道具屋の商人」
「獣人?」
「ここでは珍しいの?」
「凄く珍しいよ、漫画とかアニメとかは至って普通だけど、生だったら珍しいよ」
これにソルトは呆然とする。
「この世界、ソルフィルスとは全く違うのね」
しょんぼりするソルトだが、これに桜子は気づいた。
「もしかしてだけど、ソルフィルスって、セレナさんらがいた世界?」
桜子は、セレナの名前を言った途端、ソルトは驚いた。
「! どうしてセレナさんのこと知ってるの?」
「働いているところにセレナさんとエリーゼさんがいるからだよ?」
「まさかそんな……」
信じられない顔をするソルト。
そして……。
「お願い! あの人たちに会わせて!」
「ええっ? 大丈夫なの? ソルトちゃんって獣人だよね?」
「それでも、あの人の安否が気になるの!」
これに桜子は……。
「うん、わかったよ」
承諾した。
こうしてソルトは、翌日にセレナと会うことにした。
つづく