十年振りにかつての幼馴染が日本へ帰ってきました
「大丈夫だよ。君ならできるんだから」
一人の少年はある女の子と別れることになる。それは、親が海外への仕事で転勤になったというのだ。
「いつか、大人になっても会うから!」
「うん、約束だよ」
「約束」
そして、彼女は海外へ行った。いつかまた、会えることを祈っていた。
現在になり、仕事の休憩中兼ねて昼食を食べている元春。そこに、スマホが鳴った。
「? こんな時間になんだ?」
それは、友人である村上永斗からの電話だった。
「村上? 一体どうしたんだ?」
とりあえず、電話をかけた。
「もしもし、村上か?」
『御子柴か、ちょうどよかった! 実は大事な話があるんだよ』
「大事な話? 一体何の?」
『美作から聞いたんだけどよ、どうやら昔学生時代にいたあいつが日本に帰って来たんだよ』
「あいつって、誰?」
『お前の幼馴染だよ!』
村上の一言に、元春は驚いていた。そこへ―。
「? 元春さん、どうかしましたか?」
「今、電話中ですか?」
セレナとエリーゼが休憩室に入ってきた。
「本当にアイツが帰って来たのか?」
『だからそう言ってんじゃないか! お前のところ、咲夜ちゃん以外は別の世界の居候だろ? あいつ何も知らなくて』
「…………」
元春はマジでかという顔をしていた。
「元春さん?」
「一体何があったのよ?」
そして、元春は口を開いて言った。
「分かった。二人には言っておく、話してくれたら納得するかもしれない」
そう言うと、元春はスマホを切った。
「どうかしましたか?」
「…………、二人共。話があるんだが、いいか?」
何やら深刻そうな顔をしていた元春。
その頃、空港ではキャリーバックを持った女性がいた。
「日本に帰ってきた。懐かしいね、この感じ」
空を見て見上げる女性は呟く。
「小樽市に帰ってくるのは、何年ぶりだろう? 元春、元気にしているかな?」
彼女はそう言うと、タクシーに乗る。
「小樽市まで」
「ヘイ」
タクシー運転手は小樽市まで運転した。
その頃、元春達は―。
「元春さんの幼馴染?」
「昔からの幼馴染なんだけどね。十年前に親の都合で海外に引っ越したんだ。その後、会ってないけどね」
「どうして、会わなかったんですか?」
元春は理由を言った。
「空気を読んだからさ。なにしろ、海外での仕事は忙しいからさ」
「この世界にも、そういうのあるんですね」
「まぁ、海外には海外のルールがあるんだ。日本というのはイメージ的には、『真面目』『几帳面』というところがあるからさ」
「なるほど。ところで、幼馴染の本名は何というのですか?」
「それは―」
そこへだった。
「店長、ある商品を探しているお客様がいるんですが」
龍一が出てきて、これに元春は立った。
「分かった。すぐ行くよ」
元春は休憩室から出て行った。
「…………」
一方、海外から日本に戻ってきた彼女は、小樽市に着いた。
「ありがとう」
「毎度」
タクシー運転手は彼女からお金を受け取り、行った。
「…………変わらないなぁ、この町」
するとそこに―ある人物と出会った。
「あ、あの~、すみません」
「? 何でしょうか?」
先に退勤したセレナとエリーゼだった。
「このあたりに、小樽アパートはどこですか?」
「あの……、私らもそこに住んでいるのですが?」
「あの~、あなたは?」
彼女は名前を言った。
「円。高町円と言います」
後に彼女の出会いが、元春にとってのトラブルになることとなる。
つづく