店長の妹がやってきたんですけど実はシスコンで病んでいる人でした
ある日のこと、黄色髪のツインテールの女の子がハトバに来客してきた。
「すみません」
「いらしゃいませ」
セレナが接客であいさつをすると、彼女は言った。
「ここに、御子柴元春という人物いませんか?」
「元春さんのことですか?」
そこへ、元春がやってきた。
「ん?」
すると、彼女は元春を見た。
「お兄ちゃん、こんなところに!」
「お前、こんなところまで来たのか?」
セレナをはじめ、皆が来た。
「店長、その子知り合いですかいな?」
「ええっと、……妹だ」
「えっ!?」
元春の妹は、自己紹介した。
「いつも兄がお世話になっています、妹の御子柴咲夜です」
「妹さんいたのですね」
「おったまげたなぁ~、ホンマ」
桜子と龍一は、驚いていた。
「まぁ、そうなんだけどさ……」
「元春さん?」
元春は気まずい顔をした。
「苦手なのでしょうか? よくわかりませんが」
セレナはそう思っていると考えていた。元春の妹はいえ、エリーゼは挨拶をした。
「初めまして、あなたが元春さんですね。私は……」
エリーゼは、自分の名前を言おうとした。
すると、咲夜はエリーゼが言いかけたところに言った。
「エリーゼさんですよね、お兄ちゃんのこと知っています」
「知っているのですか。それならよか――」
「お兄ちゃんに何かしたのですか?」
咲夜はエリーゼを睨みつける。
(な、何この子は? 私を見たのちに人が変わっている? 私何かしたのですか?)
エリーゼは咲夜の瞳孔を見て、怖がっていた。
「エリーゼさん、大丈夫ですか?」
「は、はい……」
しかし、咲夜はエリーゼだけじゃなく、セレナのことまで睨みついていた。
「ふぇ!?」
これにセレナもびっくりしていた。
「あ、あの~、咲夜さん? 私たち何かしましたか?」
「いえ、うちのお兄ちゃんに何かしましたか? もししていないなら、いいですけど」
(もの凄く、怖いのですけど……)
これに元春は割り込んできた。
「咲夜、二人には何もしていないから」
「そうなの? よかった~」
と、咲夜はガラリっと怒りから笑顔になった。
「い、一体何ですか?」
「分かりません……」
怖がる二人に、元春は言った。
「二人共、ちょっといい? うちの妹、ああいう感じなんだ。セレナさんとエリーゼさんのことについては知ってるけど、昔から咲夜は俺に甘えていたんだ。けど、今はああいう感じなんだ」
「恨みの顔をしていましたが?」
「…………」
元春は弁解できなかった。
「あ、そうそう! 今日お兄ちゃんの家、寄っていい?」
「はぁ!?」
まさかの元春の家に寄る咲夜。これに、元春は言った。
「いやいや、実家はどうするんだ?」
「大丈夫、ずーっとお兄ちゃんのところにいたいから」
咲夜の背中に、何かの悪魔がいた。
「…………」
何も言えず、仕方なく退勤まで一緒に帰ることにした。
アパートに着いて、咲夜は中に入った。
「だ、大丈夫でしょうか?」
「私、あのような人は初めてです……」
セレナとエリーゼも、さすがに咲夜の威圧には無理があった。
「私、荷物おろしてくるね!」
咲夜は荷物を下ろしに行った。
「…………」
「元春さん、苦労しているのですね」
これに元春は、二人に言った。
「いや、咲夜は妹なんだけど、ほんとは妹じゃないから」
「どういうことですか? まさか血がつながっていないのですか?」
エリーゼの質問に、元春は言った。
「どっちかというと、義妹っていえばいいかな?」
「義理の妹さんということですか?」
「そうなるね。咲夜は昔から俺にかまっていたから、よく人に睨んでくるんだ。なんか、こめんね」
謝る元春に、二人はこれに思った。
「いいですよ、その理由なら仕方ありません」
「私もこれには認めるしかないですね」
「まぁでも、甘えたせいかそろそろだけどね」
「どういうことですか?」
そこへ、咲夜が来た。
「お兄ちゃん、お父さんが許してくれたよ! 元春と一緒に住んでいいって!」
「へ?」
二人は唖然する。
「さらに、お兄ちゃんが働いているところに働いていいって許可したよ!」
セレナとエリーゼはズッコケた。
「こんな流れなんだ」
「元春さんの実家は溺愛家ですか!?」
エリーゼはツッコんだ。
「大丈夫! 足引っ張らないから! ……お兄ちゃんは、絶対に渡さないから」
咲夜の威圧にセレナとエリーゼは、何も言えなかった。
そして、翌日。咲夜はハトバのバイトとして雇った。
「いらっしゃいませ~」
これにみんなは思った。
「一人増えたはいいけどよ、大丈夫なのか?」
「高校生よね? バイトならいいけど」
義子と雪子は心配していた。
「大丈夫ですよ、……元春さんに何もしなければデスケドネ……」
セレナは言う。
「なんで最後はカタコトなんだ?」
「いえ、別に……」
厄介な人が増えて、少しは気を付けようとそう思ったセレナとエリーゼであった。