風呂に入った後は飲み物が一番でした
―前回のあらすじ。一日の水道工事により、お湯が使えなくなった御子柴元春。仕方なく、みんなで風呂屋へ向かうのだが、そこに同じ目的で来た山城龍一と魔王幹部のライア・エミルと参謀ロレナがいた。
かつての敵とはいえ、ここは風呂屋。マナーを守らないといけないのだが、エリーゼとライアが互いに勝負し、一触即発状態になってしまった。
その頃、元春と龍一はお湯につかっていた。
「は~、いい湯やわぁ~」
「そうだなぁ~」
ゆったりしていると、元春は口を開いた。
「気になってたけど、やっぱりあの魔王幹部の者、山城君のとこに居候していたんだね」
「すんまへん、店長。こっちも訳アリやったんで」
「もしかして、セレナさんと同じ異世界から来た者なのかい?」
龍一は頷いた。
「とりあえずは、俺と住むことになりましたんや。といっても、セレナさんところと敵対していたとは思ってなかったのですかね」
「確かに」
「と言っても、今頃向こうは勝負しているんとちゃいますか?」
「エリーゼさんなら、ありうるかもね」
二人は苦笑していた。
その頃、セレナたちは……。
「あなたのような騎士団長が、この世界に馴染むとは思っていませんでしたよ」
隣に語ってきたのは、魔王参謀のロレナだった。
「ここは私たちの世界とは全く違うので、仕方なく……」
「まぁ、いいです。あの付き人には苦労しますから」
付き人、多分ライアだろう。
「あなたの後輩、かなり本気でしたね。ライア様に迷惑をかけてすみませんでした」
「大丈夫ですよ、私は気にしていませんので」
すると、隣でシャンプーで髪を洗っていたエルザが言ってきた。
「ところでセレナさん、エリーゼさんは?」
「確か……、水風呂に入りましたよ」
一方、エリーゼとライアはというと……。
「…………」
水風呂に入ってすでに数分経っていた。
「さ、さささ、さすがにやりますね……」
「お、お主、こ、ここここ、こそ……」
かなりの冷たさにて、その隣に風呂に入っていたキャロルと咲夜は二人を見て呆れていた。
「何しているの、あの二人は?」
「我慢対決みたい」
「呆れて見てられないよ……」
とりあえず、そっとしていた。
そして……。
「…………っ!」
耐えられず、二人は水風呂に上がった。
「今のところは、あいこですね!」
「次は、サウナという場所で決着つけるぞ!」
「望むところです!」
エリーゼとライアはサウナに入って行った。これに見た咲夜とキャロルはため息したのだった。
その頃、男湯では……。
「は~、スッキリした」
「いい湯でしたわ、ホンマに」
元春と龍一は、先に温泉から出た。すると、二人の前に自動販売機飲料を見つけた。
「コーヒー牛乳やイチゴ牛乳、売ってるそうですね」
「一本、百円か。セレナさんらはまだだし、買って本コーナーにあるとこでゆっくり待とうか?」
「いいですねぇ、賛成です」
「俺は、コーヒー牛乳に」
「じゃあ、俺はイチゴ」
元春はコーヒー牛乳、龍一はイチゴ牛乳を買った。
椅子に座り、一口飲む二人。
「美味し~、風呂上がりには丁度いいわ」
「同感」
さらにそこへ……。
「お待たせしました」
セレナたちが来た。
「やっと来たか。……あれ?」
よく見ると、エリーゼとライアがいなかった。
「セレナさん、二人共は?」
「それが……、サウナで我慢勝負していまして」
「もう、数分経ちましたよ」
二人は思った。いやな予感がする、と。
すると……。
「大変だ~! サウナに入った女性二人が気絶したぞー!」
「…………」
やっぱりと思った二人。とりあえず、エリーゼとライアを助けに行くことにした。
そして……。
「う、う~ん……。……ここは?」
目を覚ましたライア。
「休憩室ですよ、風呂屋の」
そこに、エリーゼがいた。
「どうやら、お互い倒れたそうです。ここは引き分けにしましょう」
「…………やむを得ないか。だが、次は別のトコにて勝負してやろうではないか!」
するとそこに、元春達が来た。
「まぁまぁ、二人共。とりあえずはゆっくりしないと」
「しかし、元春さん……」
「販売機にジュースや牛乳売ってるそうやで」
これに二人は、互いの痛み分けということで―。
「我はコーヒー牛乳にしよう」
「私はオレンジジュースにします」
とりあえずは風呂に出たらしく、飲み物を買うことにしてしばらくゆっくりしたのだった。