かつて敵対した奴らと風呂屋にて会いました
―ある日のことだった。町内会のお知らせに御子柴元春の所にやって来た。それは水道工事のお知らせであった。
「今日一日はお湯は使えないのか、ということはお風呂のお湯も使えないか」
「どうするのですか? 今日は暑いので汗が出て風呂に入りたいですよ」
「仕方ない、今日はあそこへ行くか」
元春は準備した。
「元春さん、一体どうするのですか?」
「近くの近所の風呂屋へ行くんだよ」
そして、元春達は風呂屋へ向かった。
「なるほど、まさかこの世界にもお風呂に入る店があるなんて」
エルザでもさすがにビックリしていた。
「どんなところなんですか、この世界の風呂屋は?」
セレナは元春に尋ねた。
「至って普通の風呂屋だよ。といっても、サウナとか水風呂とかもあるからな。健康な風呂屋だし、しかも一人大人だと二百円なんだよなぁ」
「そうなんですね」
するとだった。
「あ」
キャロルは、いきなり見て驚いた。
「キャロルさん、どうしたの?」
咲夜はキャロルを尋ねる。
「あそこにいるのって……」
「ん?」
そこにいたのは、意外な知り合いだった。
「ん? 店長?」
それは、山城龍一だった。さらには……。
「ああああああああ! 貴様は騎士の者!」
魔王の幹部・ライアとロレナの二人もいた。
「ライア・エミル! なぜここに?」
「それはこっちのセリフ! なぜおまえたちがここにいるんだ!」
ライアとエリーゼはもみ合いを始めた。
「お風呂屋へ来たんですよ!」
「ほぅ、お前たちもここに来るとはな」
「くっ……」
これに龍一は思った。
「店長、もしかしてですけど、アレのお知らせ、店長にも届いたんですか?」
「龍一も?」
「そうですけど、水道工事が今日やるらしくて、仕方なく風呂屋に行くことにしたんです」
「お前のも、アパートだったな」
するとエリーゼは言った。
「魔王幹部であるあなたが、まさかの風呂屋とは片腹痛いですよ」
「否! 例え幹部でも、清潔にしないといけないのだ」
「とかいいつつも、アヒルのおもちゃ持ってますね」
エリーゼはライアが持っているアヒルのおもちゃを見て、笑った。
「こ、これは……! そう、これがないと落ち着かないのだ!」
「へぇ~、本当ですか?」
「くぬぬぬぬ……」
ライアはエリーゼの嫌味にムカついていた。
「エリーゼさん、彼女を怒らしたらいけないよ。例えかつて敵対したものでも、休戦も大切だし、それにここは風呂屋だから体を休めないと」
「それもそうですね」
これにライアはイライラした。
「ムカつくぞ、あの女!」
「まぁまぁ、そうカッカしたらアカンで。ここは風呂屋だからな」
「…………」
渋々と言うライア。とりあえず、風呂屋に入った。
そこに、おばあさんがレジの前にいた。
「大人二百円、子供百円」
「我は大人だぁぁぁぁ!」
ライアはブチ切れ、魔法攻撃をかけようとしたところ龍一が止める。
「待てェェェェェェェ、落ち着くんや! その婆ちゃんはボケてるだけなんやから!」
「…………」
元春は思った。彼も苦労しているんだなぁ、と思っていた。
そして、女性脱衣所にて……。
「…………」
ライアはエリーゼのアレをじーっと見た。
「なんですか?」
「貴方って、ぺったんこなんだな」
ライアとエリーゼの胸の大きさに遥かにエリーゼがぺったんだった。
これにエリーゼはブチ切れた。
「気にしていることを言うなんてぇぇぇ……!」
「さっきの嫌味返しだ」
これにセレナは止めに入った。
「お二人共、落ち着いてください」
だが、止める様子もなくそして……。
「ここは風呂屋、だったら勝負しましょうか!」
「なぬ?」
「元春さんに言うには、水風呂やサウナもあるそうです。そこで我慢勝負というところで!」
「ほう、いいだろう」
これにセレナたちは……。
「あわわ……、二人共~」
「セレナさん、ここは放っておきましょう」
「放置したほうが得」
その頃、男性脱衣所では……。
(大きい声で、聞こえやすいなぁ……)
とりあえず、そっとしておくことにしたのだった。
つづく