表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/160

従業員が風邪を引いたのでヘルプを呼ぶことにしました

―事態が起こった。ハトバにとっての大ピンチがやってくる。それは、店長である御子柴元春にとっての危機がやって来たのだった。

「まずいなぁ……」

 それは―ほとんどの店員が風邪を引いたのである。

 今、店に居るのは元春、義子、セレナ、エリーゼ、アリアの五人だった。

「あぁ、マジでまずいな」

 義子も言う。

「いや、本当にまずいなぁ」

「いや、本当にマジでまずいな」

 さすがに困っているだろう。この状況はヤバい。

「あの、他の人は……?」

 アリアは元春に尋ねた。

「残念だけど、風邪じゃない人もいるけど、用事がある人ばかりで無理だったんだ」

「そ、そうなんですね……。確かに、雪子さんは家の用事で出られませんね」

 雪子の実家は刃物屋。だが、店を営んでいた母が腰を打ってしまったことに、しばらくハトバに行けない。

「困りましたね、桜子さんも山城さんも風邪をひいてしまってますし……」

 セレナも困った顔をしていた。

「ハトバの初のピンチか……」

 するとだった。義子は、ため息をして何やら仕方ないという顔をした。

「仕方ないか、こうなったら私の助っ人を呼ぶしかないな」

 義子はそう言うと、スマホを出して義子の助っ人を呼ぶ。

「え? でも、店の店員には認識しないと……」

「この際言っても仕方ないだろう。ハトバのルールは一時無視するしかない」

「…………」

 確かに店にはルールがある。といっても、店には四人しかいない。助っ人を呼ぶ方が少しマシだろう。

「でも、義子さん。助っ人って誰を呼ぶんですか?」

 エリーゼは義子を尋ね、彼女は答えた。

「ウチの舎弟だ」

「…………はい?」

 元春達は目を丸くした。

「元々、私に後輩がいてな。後輩というより舎弟というところだな」

「舎弟って、義子さんってもしかして……、元不良?」

 義子は何も言わなかった。

(もの凄く意外だった……! まぁ、確かにそういう人もいるけど、ひょっとして昔はレディースとか? だったらありうるな……。とんでもない人を化粧品担当したなぁ)

 元春は初めて知って、どんな舎弟の人物か恐ろしかった。

 その時だった。

 ドカンッ!

「! 今の音は何ですか?」

 壊す音がした。行ってみると、裏のドアが外れていた。

「ウチのハトバの裏ドアが!」

「あ、すいません!」

 そこには一人の男がいた。

「今、ドアを何とかします!」

「いやいや、無理だろ! 壊れてるよ、業者呼ぶしかないよ!」

「義子さん、何ですかこの人は!」

 ビックリしている元春とエリーゼ。義子は冷静に言う。

「舎弟の荒川達郎(あらかわ たつろう)だ。」

「どうも、荒川達郎といいます! よろしくです!」

「ど、どうも……、店長の御子柴元春といいます」

「セレナ・ガーネットです」

「エリーゼ・ルドベキアです」

「アリア・ソウルートといいます」

 これに達郎は言った。

「本当に異世界の人いるんスね! すごいです!」

 元春は義子を見た。

「もしかして、喋りました?」

「……、仕方なかったんだ。こいつらはよくウチに来るからな。娘の面倒もよく見ている」

 すると、エリーゼは手を挙げた。

「ちょっと待ってください、もしかしてシャルアも?」

「もちろん知っている」

 これに元春は言った。

「ちょっと待ってくださいよ、いくら知り合いでも限度というものがありますよ。助っ人を呼んだのは仕方ないとして、別世界から来た人のことを教えてどうするんですか!」

「安心しろ、教えたのはこいつ()だけだ」

「こいつら? もしかして、もう一人来るんですか?」

「あぁ、そうだ」

 その時だった。

 ガシャーン!

「! 今度は何!」

 行ってみると、別の裏ドアから誰かいた。

「…………」

「す、すみません、姐さん」

 元春は頭を抱える。

「業者、呼びますか?」

 おそらく義子の舎弟だろう、だが厄介な一日になりそうだった。



                                つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ