怒りの心でクズ野郎を一発殴ろうとしました
―世の中は狂っているところもある。自分がえらいと思っていること、いじめられたのにいじめる人こそがえらいと思っている。そんな人間は、人を見下してクズ野郎ばかりである。
だが、諦めない心があるやつこそ、運命を変えることだってある。人それぞれだった。
彼は誰も褒めてくれない、自分が凄いと思ってやりすぎたからだろう。ならばどうするか? 答えは一つである。それは―普通のままでいい、平凡な人間でいい事である。
そうすれば、いいこともあるし悪いこともある。そう思っていた。―だが、その普通は一時止まることもある。
「私のやり方が、殺戮だと?」
元春は言った。
「貴方は自分が思っていることは、正しいと思っているはずだろう。自分がやろうとして、責任を継ごうとそう考えていたんだろう? だが、エリーゼさんの親を殺してまで、更に追放をすることは、人として最低なことであるよ」
「元春さん……」
「この世界のお前が、何を言うんだ? 関係ない奴は引っ込むがいい」
「確かに関係はない。でもあなたは人殺しをしている、貴方は正義というより―クズ野郎ですね」
「何だと?」
オルグスは眉をひそめる。
「そんな人は、俺は許さない。お前のような奴は、一発で殴ってやる」
元春は拳を握って言う。
「…………」
これにオルグスは手を顔に当てた。
「クククク……、フハハハハハハハハハ! 私を殴るか? 平民風情が何を言うか! だが、何だろうな……、お前を見るとむかつく。凄く腹が立つ。こんな一般な奴に言われても、なぜかむかつくなぁ」
そして、オルグスは言った。
「死ねよ、お前」
怒りが来て、元春に向かった。
「元春さん!」
オルグスの右手から炎が出て、元春を攻撃した。
「あのバカ、本気なのですか!」
「…………」
「私を怒らせたのを後悔しろ、貴様ァァァァ!」
そして―。
ドカァァァァァァ!
「元春さん!」
元春は両手で止めた。しかし、火傷になってしまうとはいえ燃えていく。
「まさかこの炎の魔法を止めるとはな」
その時だった。
「……こんなもんか?」
「な……!」
オルグスは気付いた。
元春は―瞳孔を開きながらキレていた。
「捕まえたよ、オルグス」
「こ、こいつ……!」
オルグスはもしやと思った。
(まさか、私の攻撃で素手で止めたことに、このためにこの私を泳がせたというのか……! だが、所詮は平民な人間、どうせ燃えるだろう!)
「異界の方、あなたのような最低な人には許すわけにはいきません。ですから、殴られて痛みを知ってお帰りいただきます」
「なん……っ!」
元春は火傷した右手で、怒りの拳を一閃した。
「がは……っ!」
オルグスはぶっ飛ばされた。
「元春さん……」
「次はない、もしお前が殺人を起こすなら、この手が火傷しても、お前を止める。そのため俺は、大事な人を護る、それだけだ」
元春はオルグスに宣告して言う。
「これは冗談じゃない、本気だ」
これがのち、御子柴元春の誓いだった。
つづく