元ヤンの母親が娘さんを連れてきて凄く天使でした
ある日のこと、セレナとエリーゼが休憩に入ったのち、飲み物を買いに行くときのことだった。
「こ、こんなにいろんな飲み物があるのですか?」
自動販売機を見たセレナは驚愕していた。
「ええっと、この世界では何種類の飲み物があるらしくて、現代ではこんな感じです」
「百円からこの値段ですか? 現世は恐ろしい……」
「私はこの世界に来てビックリしましたけど、慣れたらつい買ってしまって……。ちなみに私は、オレンジジュースにはまっています」
これにセレナはオレンジジュースをきいてビックリする。
「オレンジって、みかんのことですよね? そんなものまで……」
「エリーゼさんはこういうの分からないので、何かおごりますよ」
セレナは財布から、一三〇円を取り出した。
「いえ、団長におごられるなんて滅相もありません」
「初めてですから、こういうことしないといけませんし」
「で、では……、お茶を」
セレナはお茶のミニサイズのペットボトルを押した。
すると、二人はある人物を見かける。
「? あれは、義子さん?」
そこにいたのは、化粧品担当の桐島義子だった。
すると、彼女は二人のところに近づいてきた。
「お前らか、こんなところで何しているんだ?」
「休憩に飲み物を買いに。義子さんは?」
義子は言った。
「あたしも休憩で、たばこで一服」
「そうなのですね」
すると、義子はあることを二人に言った。
「あ、そうだ。二人に伝えなきゃいけないことがあるんだが、実は明日、うちの娘を仕事場に連れて来なきゃいけなくなった」
これに、エリーゼは「えっ?」と驚いた。
「義子さん、娘さんいたのですか!?」
「言ってないっけ?」
「初耳ですよ! というか、すでに結婚していたのですか!?」
「エリーゼには、言ってないか。あたしはこう見えて、シングルマザーなんでな」
エリーゼは信じられない顔をした。
「あたしが結婚したのは、十九歳のころだったな。で、今は二人の子供を授かっている」
「義子さん、明日連れてくる娘さんって、どっちですか?」
セレナは義子に質問した。
「二番目の娘だ。まだ一歳だがな」
するとエリーゼは、ある疑問があった。
「娘がいるのは分かりましたが、仕事に連れてくるのはまずいんじゃ?」
「一番上の娘がいつも世話しているが、明日はいないからな。そのために元春にはすでに通している、そのためにお前ら二人に頼んでいるんだよ」
「は、はぁ……」
「とにかく、頼んだ。うちの娘を一日だけでも面倒見てくれ」
「分かりました」
こうして、二人は義子の娘、次女の面倒を見ることになった。
そして、翌日。
「あばー」
義子の次女の、桐島安子がやってきた。
(か、可愛い……)
セレナとエリーゼは、安子を見て胸きゅんした。
「義子さんも大変だなぁ、でも仕方ないでしょ」
元春は義子に言う。
「まあな。だからこそ、この二人にお願いした」
「でも、義子さんも知ってるだろ?二人は別の世界から来たから、一歳の女の子をどうするかだけど」
これに二人は言った。
「大丈夫ですよ、元春さん」
「子供は慣れていますので」
「それならいいけど……」
しかし元春は、やはり心配だった。
「安子さん、何して遊びますか~?」
セレナは、安子を遊ばせることにした。
だが安子は、すでに寝ていた。
「寝たぞ」
「いつのまに!?」
しかし、二人は思った。
「でも、やっぱりかわいいです……」
「天使ですね」
「……」
義子と元春は、ジーッと見た。
「二人とも、義子さんの娘さんに萌えているね」
「ふぇあ!? あ、いや、そんなことないですよ! まぁ、可愛いですし……」
元春は、エリーゼとセレナを見て、微笑ましい顔をした。
「またいつか、連れてきてほしいですね~とか……」
「私も……」
義子は思った。
「分かりやすいな、この二人」
「アハハ……」
元春は苦笑した。
その後も、安子を連れてくるのは週に一回、ハトバに連れてくることになるが、それはまた別のお話。