クレーム対応は魔女がお任せしました
今日のハトバは、何やら従業員がソワソワしていた。
「…………」
何故、彼らがソワソワしているのか?それは―。
「だがら、こうするんだよ」
「こうって、どうやって品を前に出すのよ!」
異世界からやって来たソルフィルスの魔女―エルザ・リークレットである。
彼女は、ハトバの仕事に加わったのだが、義子の指導に反抗していた。だが―。
「あの、エルザさん。商品は古い方から前を出して、新しいのは後ろに入れるんですよ」
「はい、セレナ様!」
セレナだけは、素直でいた。
「…………」
これに見た元春とエリーゼは思った。
「元春、なんで採用したのよ?」
「仕方ないだろ? セレナさんが仕事行こうとしたら彼女も行きたいっていうし、いっそここに働いたほうがいいかと思ったんだけど……」
「セレナ以外は反抗するのね」
「自分が言うのもなんだけど、なんでこういう人を雇ったんだろう……?」
「それね」
エリーゼは納得した。
「彼女が言うこと聞けるのは、セレナさんとキャロルさんだけか。何というか、どうしろというか……」
すると、そこにいた龍一が言った。
「店長、ここはいっそセレナさんを、指導役したほうがええちゃいますか?」
「つまり?」
「あのエルザという人物、セレナさんだけ言うこと聞いている様子。だがらいっそ、ここは彼女にやったほうがいいかと思いますが?」
「…………」
たしかに、この状況ならばセレナにエルザを教育したほうがいいかもしれない。そう思った元春は―。
「仕方ないか」
と、とりあえず変更した。
「全く、あの魔女はセレナ以外は反抗するな」
義子は煙草を吸ってイライラした。
「ごめん、義子さん。やっぱり、人選間違えてしまったよ」
「ま、仕方ないな。でも、ここからだと思うぞ」
「え?」
元春はどういう意味の顔をした。
「あいつがどう対応するのかだがな」
「…………」
その時だった。
「御子柴店長、お客が来てクレーマーが!」
「なに?」
どうやら、トラブルが来たそうだ。
レジに行くと、そこには桜子が立ち悪い客と揉めていた。
「おい、このシャンプー違うじゃねぇが! リンスになってんぞ! どうしてくれるんだ!」
「す、すみません! すぐに店長を呼びますので」
「いーや、店長なしでもさっさといつもの男性用シャンプーだせよ!」
「そういわれましても……」
これに見た元春達は何とかしないといけないと思った。
「まずいな、何とかお客様に品を渡さないといけないな」
すると、立ち悪い客は大声で言う。
「おーい、この店どうなってんだ? 不良品ばかりかよ! 買っている客はかわいそうになぁ!」
「ちょっ、やめてください!」
これに元春は、まずいと思った。
「いけない、このままだと迷惑が……!」
すると、この状況を見たエルザは思った。
「ねぇ、もしかしてアイツってクレーマーかしら?」
「そうだけど?」
「なるほどねぇ……、だったら……!」
エルザは何やら魔法をかけた。
すると―。
「おい、さっさと出せや! この商品は間違えてるって―」
その時客は、急にしゃべるのを止まった。よく見ると、リンスがシャンプーの商品になっている。
「…………」
これに客は、恥ずくなった。
「あ、いや、その……。あははは、す、すみません……」
そういうと、ブツブツ言いながら行った。
「? 何が起こったのぉ?」
その一方、元春達は。
「エルザさん、何をしたの?」
「商品を瞬間移動したの、このくらいはチョチョイのチョイよ」
エルザは自信そうに言う。
「さすが魔女……」
「ああいう奴がいたら、あたしを頼っていいのよ?」
エルザはそう言うと行った。
「プライドが高い奴だな」
「あははは……」
元春はそう思って、苦笑した。