知り合いの魔女がやってきました
―その日が沈むころに、ビルの上に一人に女性がいた。
「この町は、私達が住んでいる場所じゃないわね。別の世界に来てしまって、どうやらこの町に迷ってしまったわ。でも、もしかしたらあいつがここにいることは、あるかもしれない。―キャロル・ケットシー」
少女はそうつぶやくと、箒に乗って空へ飛んだ。
その頃、元春はキャロルと一緒に家に帰っていた。それは、スーパーのセールだったため、キャロルと一緒に居たのだった。
「ありがとな、キャロルさん。手が離さなくて困っていたんだ」
「たまにはこういうのもしないといけない。今、家でセレナたちが忙しそうにしていたから」
「なにしろ、雨続きだったからね」
二人は話している時だった。
「……!」
「ん?」
キャロルの耳がビクッとした。
「どうしたんだ、キャロルさん?」
「今、気配を感じた。この感じ、懐かしい感じ」
「懐かしい、感じ?」
すると、二人の目の前に誰か来た。
「やっと見つけたわ、ここにいたのね」
「やっぱり、この世界にも迷い込んだということになるね。エルザ」
そこにいたのは、魔女の恰好した少女だった。
「久しいわね、私がいなくて困ったでしょ?」
「その台詞、もしかして私が不在の間に寂しかったでしょ?」
「う……、そ、それは、そのぉ……」
図星そうに指をちょんちょんするエルザという少女。
「キャロルさん、知り合い?」
「友達」
「は?」
「職業は魔女」
「いやそこは、最初は本名を言わないと……」
元春はツッコミを入れた。
「エルザ・リークレット。魔女で同期」
「同期?」
「ソルフィルスの学校時代の友達」
「ということは、魔法科出身か?」
以前、幽霊騒動の事件の時、キャロルが学校について語ってくれた。つまり、同級生だろう。
「あなたは?」
エルザは、元春に尋ねる。
「俺は御子柴元春」
「ここはどこなの? まるで騒がしい世界ね」
元春は小樽市について語る。
「ここは小樽市と言って、異世界とは別世界」
「ということは、私は別の世界から来たということ?」
「そうなるかな?」
「…………」
これにエルザは頷いた。
「納得したわ」
「えらく速い納得だね」
「この世界を見て、私は別の世界からやって来たというのは分かった。この町を見廻ってね」
「それならいい」
キャロルは納得して頷いた。
「ところでエルザはこれからどうするの?」
「え?」
「この世界に来たんだから、これからどうするのって言ってる」
「…………」
エルザは考えた。―が、今気づいた。
「そういえば、考えてなかった……」
これに元春はため息した。
「一応、ウチに来ませんか? もしかしたら、エルザさんの知り合いいるのかもしれないし」
「…………」
とりあえず、小樽アパートへ向かうのだった。
「な、な、ななななななな!」
エルザは、アパートにやってくると、そこにいたのは―。
「貴方は確か……、エルザさん?」
「せ、せ、セレナ様ぁぁァァァァ!」
エルザはビックリしていた。
「ど、どうしてここに! 一体これはどういうことですか!」
「落ち着いて、エルザ」
「落ち着けますか! 憧れのあの方が、今ここにいるんですよ! 分かっていますか!」
「はいはい」
エルザはセレナを見て感激していた。
「ええっと、これって……?」
キャロルは言った。
「エルザは、セレナに憧れて学校に入った。とりあえずは、尊敬する人と」
「な、なるほど……」
元春は少しビックリしていた。
「やはり、行方不明と聞きましたが、ようやくここに……!」
エルザは泣いていた。
「マジ泣きしてる……」
「元春と言ったかしら? この方は今ここで、何をしているの?」
「え? ええっと……」
とりあえず、元春はセレナのことについて言う。
そして、翌日。まさかの出来事だった。
「…………」
全員は唖然していた。何故ならー。
「今日から、ここに働くエルザ・リークレットよ」
「…………」
元春は頭を抱えた。
「結局こうなるんだ……」
こうして、ハトバに一人増えたのだった。