母親にも苦労があったそうです
「―じゃあ、娘を頼む」
「はい、行ってらしゃいませ」
ある日のこと、義子の家に居候するメカ娘・シャルアは、義子の娘である安子と松子の二人を面倒を見ることになった。
彼女は異世界から来たとはいえ、義子に拾われた恩義によって、彼女は義子の娘を子育てするのだった。
家事は昔から得意だったシャルアは、安子のオムツを変えたり、皆の洗濯物を干したり、更には朝ご飯を用意していた。
そして、朝食を食べる安子と松子。ハムエッグ、キャベツ、トースト、牛乳を作ったり用意したのもシャルアだった。
「いかかですか?」
「美味しい」
「ありがとうございます」
義子の長女・松子はシャルアが作った朝食に喜んでいた。
「ところで、今まで私が不在の間は、義子さんが作っていたのでありますか?」
「うん。けど、ママ忙しすぎて大変だった」
この時、シャルアは思った。
(この二人は、今まで義子さんに育てられたのですね……。彼女の夫は、どうしたのでありましょうか?)
その頃、義子は商品を入れていた。その隣には、セレナがいた。
「義子さん、聞きたいことがありますが」
「なんだ?」
セレナは言った。
「シャルアさん、今どうですか?」
「あいつは、報いるために私の代わりに娘の面倒を見ている。私にとっては楽だけどな」
義子はそう言うと、セレナはさらに質問した。
「義子さんって、娘さん二人で三人で暮らしているんですよね? その、夫さんは?」
「…………」
義子は急に動きが止まった。
「あ、すみません! 言いにくい質問でしたよね?」
「…………、ああ。言いにくい質問だ、むしろ、ノーコメントだ」
そう言うと、義子は移動した。
「義子さん、どうしたのでしょうか?」
そこへ、雪子が来た。
「どうしたの、セレナちゃん?」
「雪子さん。義子さんって、家庭的にはどのような?」
雪子は言った。
「そうねぇ、言えないぐらいだけど、言うなれば―過酷といえばいいのかしら?」
「過酷、ですか?」
義子には、家庭的な事情があった。
その頃、シャルアは松子と安子と一緒にスーパーにてお買い物。食材を買いに行って、帰ろうとしていた。
「これで、食材は完了です。義子さんに頼まれた食材は、コンプリートであります」
「…………」
すると、松子は何やら黙っていた。
「? どうかしたのでありますか?」
「ママは忙しいのに、パパはどこへ行ったのかな?」
「…………」
松子が思っていること、それは彼女の父親、すなわち義子の夫である。義子の夫は、シャルアでもまだ知らない。
その夜、松子と安子は就眠していた。シャルアは、義子にある話を質問した。
「義子さん、貴方の夫はどうしたのでありますか?」
「……、お前も気になっているのか?」
「気になっています」
「…………」
義子は言った。
「逃げた」
「え?」
「……私達から、姿を消した」
「……!」
シャルアは驚いていた。
「何故、居なくなったのか私にもわからない。ただ、書き宛にはこう書いてあった。『ごめん』ってな」
「…………」
「お前と出会う前、苦労した。私にとってには、過酷だろうな」
義子はそう言うと、シャルアは言った。
「…………義子さんの夫さん、見つかればいいですね」
「……ああ」
そして、シャルアは松子と安子の寝顔を見た。
護りたい、なんとか義子さんに安心させたい、そう思っていた。
この時シャルアには、義子達を守ろうと誓うのは、また別のお話―。