騎士団でも女性には絶対言いたくない事があります
今日の天気は快晴日和、雲一つない青空だった。
そんな御子柴元春は、洗濯をしていた。今日は仕事もない、まさにオフの日である。
「今日はいい天気だなぁ。日がまぶしいし、これなら服が乾きやすいな」
「そうですね」
元春は、セレナと洗濯物を干していた。そして、全て片付けたが―。
「あとは、エリーゼさんのだな」
「エリーゼさんは、自分でやるそうですよ」
「そうなんだ、彼女も感心だなぁ」
元春はそう思っていたところ、二人の話にこっそりのぞいていたエリーゼがいた。
「…………」
ドアを静かに閉めると、エリーゼは思った。
(団長でも、あの男でも、さすがにこれだけは見せたくはない! 私が履いている”アレ”を!)
それは、エリーゼの下着、簡潔に言えばパンツである。
確かに女性的には見せたくないのだが、実はこのパンツには―。
(どうしよう、ソルフィルスのトコでも、このパンツは流石に……!」
シマシマの下着に、更には―ネコのトレードマークがあった。
(私でも一人でこっそり洗濯をしているけど、実はいつもこういうパンツを履いているなんて、死ぬほど見せたくはない! いやむしろ、大穴が入るほど嫌だ! とりあえず、こっそりと干しておこう)
エリーゼはパンツを干そうとした、その時だった。
コンコンッ!
ノックの音がした。
「! は、はい! なんですか?」
ノックしたのは元春だった。
「エリーゼさん、俺ら回覧板に行ってくるから、留守番お願いします!」
「わ、分かりました!」
元春達は、回覧板に出かけた。エリーゼはホッとしていた。
「あ、危ないです……。とりあえず、早く干して……」
その時だった。風が吹いて、エリーゼのパンツが飛んでいく。
「! ちょっ……! 私の下着がァァァァ!」
エリーゼは大急ぎでパンツを取りに行く。
その頃だった。
「ニャ―、ニャーニャー」
猫獣人の呪術師・キャロルが野良猫と話していた。
すると上から、何か落ちてきた。
「何これ?」
そこへ―。
「あああああああ! ちょっ、キャロルさん! それ返してください、今返してください!」
「? エリーゼ? どうしたの、そんなに慌てて?」
「その布をこっちに返してほしいのですが……」
「コレ?」
キャロルはエリーゼのパンツを出した。
「ソレです、マジで返してください!」
「よくわかんないけど、はい」
返そうとしたその時だった。
「? 何しているんだ、キャロルさんにエリーゼさん?」
「あ、二人共」
エリーゼはギクッとした。
「エリーゼの大事なものを渡すとこ」
「大事の物、ですか?」
「うん、エリーゼのパンツ。しかも、猫」
「え?」
キャロルの余計な一言にて、エリーゼは固まった。
「エリーゼさん? どうしましたか?」
「…………」
「? エリーゼさん?」
その時。
「ば、ば、ば、ば」
「ば?」
「キャロルの馬鹿ァァァァァァァァ!」
エリーゼは、キャロルじゃなく元春を殴った。
「なんで俺が殴られるのぉぉォォォ!」
エリーゼは、パンツを持ってアパートに戻りながら、大泣きした。
「…………俺、何も言ってないのに?」
キョトンとしながらエリーゼを見た元春達。
その夜、エリーゼは部屋にこもっていた。
「エリーゼさ~ん、私達気にしていませんから、出てきてください」
「大丈夫だから、責めたりしないから」
一方、エリーゼは……。
(うぅ……、やっぱり穴があったら入りたい)
その後、翌日までずっと引きこもったという。