中国人が倒れていたので保護したのですがまさかの偶然な展開になっていました
―今日の小樽市は快晴日和だった。店の外の掃除をやろうとしていた倉木雪子は、箒と塵取りをもって外へ出た。
「いい天気ねぇ、スズメも鳴いているし、風もさわやかだし、それに人も倒れているわねぇ」
そう思っていると、雪子は気付いた。
「―って、倒れている人!」
そこにぶっ倒れていたお団子ヘアーの女性がいた。
「う、う~ん……」
「だ、大丈夫? しっかりして!」
雪子は女性を起こそうとした。すると、彼女は言った。
「お、お腹すいたアル……」
「え?」
とりあえず雪子は、彼女を休憩室に運んだ。そして、パンを用意して彼女に食べさせた。
「ふぅ、お腹いっぱいネ」
「大丈夫ですか? うちの従業員があなたが倒れたのを見つけてここに運びましたが……」
休憩室には、元春たち全員いた。
「ごめんなさい、私この日本に来ていまだ慣れてないネ。住んでいるところはあるけど、ある働き口場所が見つからなくて、道に迷ってぶっ倒れたアル」
「そうだったんですね」
「申し遅れたアル。私、中国から来たユン・リーシャン。十八歳ネ」
ユンは自己紹介をした。
「ユン・リーシャンさんか。私はここの店長をしている御子柴元春といいます」
元春も自己紹介をした。
「しかし、まさかの中国人とは……」
これにセレナ達は思った。
「あの~、中国って何ですか?」
「日本の海外に中国があるんだ、かなり広い国らしい」
「そういうのもあるのですね」
ユンは言った。
「私、日本に憧れて日本に留学しにここへやって来ました。けど、日本に住んで慣れていなくて、凄く困っていましたネ。とりあえず、私は大学に通いながらバイトを探して、あるバイトで働くのですが見つからなくて、おまけに道に迷ってしまったのです」
「慣れてないのは仕方ないですね」
「で、そのバイト先って?」
元春はユンに質問した。
「ハトバ、だったアル」
ハトバ、この時元春はまさかと思った。
「もしかして、あなたうちに電話しました?」
「小樽市はハトバはここしかないからって聞いたアル」
セレナたちは、この時彼女が新しい従業員の人と、気付いた。
「元春さん、この人がもしかして……」
「新しいバイトの人、だね」
「偶然とは恐ろしい」
まさかの展開だった。彼女が捜しているバイト先がハトバとは思わなかった。
その後、外人とはいえ、元春はユンを採用することになった。
そして数日後、ハトバにお客が少し増えていた。
「いらっしゃいませアル~」
ユンの従業員で、皆が来てくれたそうだ。
そのおかげて、ハトバの売り上げが上がったという。