休憩中にある意外な人と会って牛乳を買いについて行きました
ある日のこと、昼食を取るため休憩に入ったエリーゼ。そんな彼女は近所のコンビニでお昼ご飯を買いに行く。そして、昼食を買ったのち、ハトバへと戻ろうとした。
「この世界のごはんは悪くないですね。おにぎりに具が入るというのは不思議です」
そう思った矢先に、目の前に誰かいた。
「? 女性が迷っていますね、何かあったのでしょうか?」
そこにいたのは―紛れもなく長脇迷子だった。
だが、彼女はエリーゼとは初対面である。すると、迷子はエリーゼを見て、向こうから近付いてきた。
「あの、すみません。牛乳はどこで買えばいいのでしょうか?」
「ぎゅ、牛乳ですか?」
「私、牛乳を買いに行ってスーパーへ行こうかと思っていたら、道に迷ってしまって」
「は、はぁ……」
エリーゼはこの時思った。
(もう現世には少し慣れましたが、牛乳を買いに道に迷う人いますかね? もしかして、この街に慣れていないでしょうか?)
私と同じならば、仕方ない。そう思ったエリーゼは、迷子にスーパーへと案内することに決断した。
「なら、私がこの近くのスーパーへ案内しましょうか?」
「ありがとうございます!}
こうして、二人はスーパーへ向かった。
その頃、ハトバでは……。
「はぁ……」
ため息していたのはハトバのチーフである長脇茂だった。
「一体、どこに行ったのか……」
「まだ、奥さん見つからないのですか?」
茂の隣には、元春がいた。
「そうなんだよ、牛乳を買いに行ってそれっきりだよ」
「そういえば、チーフの奥さんはかなりの極度な方向音痴でしたね。やっぱり警察に行って、捜索届けを出したほうがいいかと思いますよ」
「でも、あの人は大丈夫って言ってるからねぇ」
「心配ですね……」
二人の話で、耳にした人物がいた。
「…………」
セレナだった。彼女は以前、茂の奥さんっぽい方と会ったことある。
(や、やっぱり。あの時の出会った人、長脇さんの奥さんだったのかもしれない……。どうしよう、長脇さんの奥さんはこの前会ったなんて言いにくいですし……、かなり心配していますからね……。どうしてあの時気付かなかったのでしょうか?)
セレナは出会った人が茂の妻・迷子ということに後悔していた。
(言ったほうがいいでしょうか? う~ん……)
悩むセレナ。この時、彼女はまだ知らなかった。何故ならその頃迷子は、エリーゼと会っていたのだった。
エリーゼは、迷子と一緒にスーパーへ。そして、ようやく牛乳を買った。
「ありがとうございます、やっと牛乳を買いました」
「そんな大袈裟な……」
「いえ、いままでずっとスーパーが見つからなくて、山奥まで行ったことあるので」
(どこまで行ったのですか、この人! というよりスーパーへたどり着かない人なんでいるのですか?)
エリーゼは心の中でツッコミを入れた。
「どうしましょう、夫のところに行ったほうがいいかしら?」
「大丈夫ですよ。その人ってどこにいるのですか?」
迷子は言った。
「たしか、ハトバにいるような」
「ハトバですね。…………え?」
エリーゼはキョトンとした。
「今、何て?」
「ハトバに夫がいるんです」
「……そ、そうなんですね~。分かりました、案内しますので」
「ありがとうございます!」
こうして、ハトバへと向かうエリーゼと迷子。
(ハトバにこの人の夫なんていましたっけ? いや、まさか……)
この時、彼女は茂の妻ということは、まだ知らなかった。
つづく