騎士団の二人は初めて百均を見て動揺していました
「こ、これ全部百円なのですか……?」
スマホを買ったセレナとエリーゼの二人は、元春と一緒に百均ショップへ向かっていた。その品は全てが百円だとびっくりしていた。
「あ、ありえませんよ! この茶器もこの髪飾りも、全部百円だというのですか?」
さすがに動揺して、信じられない顔をした二人。
「そうだよ、茶器も木材も小道具も、せぇんぶ百円」
「……さすがに言葉も出ないです」
「現世という町は便利が多すぎる」
セレナとエリーゼは動揺したせいか、あまりにも混乱していた。
「といっても、今回は俺たちが来たのはスマホのカバーを買いに来たんだよ」
「す、すみません。あまりの混乱で、つい……」
二人の態度に、元春は思った。
「この二人、ひょっとしてこういうのは初めてかな? いやむしろ、異世界の人は百均ショップなんてあるわけないよな。そりゃあ、動揺しているな」
するとそこへ、百均ショップの店員が元春達に近づいてきた。
「お客様、何かお探しですか?」
「スマホのカバーを買いに来たのですが、どこにあるのですか?」
「ご案内いたします」
元春達は、店員の案内でついて行く。
そして、飾りコーナーにはスマホのカバーがあった。
「こちらがスマホのカバーになります」
「これがですか?」
「水色やピンクのカバーもありますし、さらにはマスコットキャラもありますよ」
スマホのカバーを見たセレナは、萌えて(特に動物系)いた。
「か、可愛い……」
「もしかして、そちらのスマホのカバーが気になっていますか? そちらのスマホのカバーの動物バージョンは、女性からも大人気なんですよ。特に、猫やウサギが多いですね」
店員の説明に、セレナは興奮していた。
「私は、猫のカバーにします」
セレナは即決まったようだ。一方、エリーゼの方は……。
「…………」
まだ、考えていた。
「エリーゼさん、決まった?」
「私は普通でいいですよ」
だがすると、ジロジロと動物系のスマホのカバーを見た。
「…………」
元春は言った。
「欲しいなら、言っていいんだよ」
「そ、そんなことないですよ! 私には普通で十分です! 決してウサギが欲しいとかじゃなくて……」
「顔に書いてるよ、欲しいなら素直に言えばいいのに」
「うぅ……」
エリーゼは赤面した。
こうして、スマホのカバーを買った。
そして、帰路のところにて、セレナは喜んでいた。
「こんな可愛いのがあるなんて、本当にありがとうございます、元春さん!」
「すごく喜んでるね」
「現世にも、こういうのがあるなんて思っていなかったもので」
「……そうだね」
元春は何かを思った。
「? 元春さん?」
「どうしたのですか?」
「! いや、なんでもないよ」
この時、元春には切ない思い出をした。
―十年前。
彼には兄がいた。元春は兄とは違って、何もできなかった。兄はどれも百点、文武両道な人物だった。だがしかし、一方の元春は成績がいいもの、親には一度も褒められたことなかった。まさに放置された感じだった。
でも、味方だったのは義妹・咲夜だけだった。彼には咲夜以外、誰一人も味方してくれない。彼にとっては酷な日々だった。
そして、現在にはセレナたちがいた。
「元春さん、付き合ってくれてありがとうございます。私、こういうのは嬉しいです」
「今回は、まぁ礼は言っておきますからね」
そのお礼は、優しさな笑顔だった。
「―ああ」
元春は凄く嬉しそうだった。