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異世界から来た騎士はスマホが必要なので買いました

ある日のこと、元春はスマホをいじっていた。それは、メールをしていたのだった。

「…………」

 スマホをいじっている元春に、セレナとエリーゼはじーっと見ていた。

「元春さん、それは何ですか?」

 セレナは、スマホを指した。

「スマホって言って、まあいわゆる携帯電話だ」

「前から思っていたのですが、この現世にはそういう機械はあるのですか?」

「異世界ではないのか?」

 セレナは言った。

「電話はありますが、移動な電話の仕方はありません」

「そうなのか」

「意外に便利なのですか?」

 エリーゼはなにやらスマホに興味津々のようだ。

「あぁ、意外に便利だからな。なにしろ、友人とか知人とか電話するのだからな」

「そうなのですね」

「さらには目覚まし時計にもなるし、ゲームも出来る」

「…………」

 二人は興味がわいてくる。

「もしかして、スマホ欲しいの?」

 元春はそう言うと、エリーゼは動揺した。

「! そ、そんなわけありませんよ! 私は至って騎士の誇りがあるのですから!」

「いやでも、現世に来た時点で必要になるぞ」

「そ、それはそうですが……」

「それにこれ、地図にもなるし」

 すると、セレナはこれに思った。

「スマホ、確かに必要ですね」

 どうやら興味がわいてきて、スマホが欲しくなっていた。

「団長ォォォォ!」

 エリーゼは叫んで驚く。

「確かに、この世界にやって来た事にやるしかありません。ならばいっそ、そのスマホを買ったほうがいいかと思います」

「セレナがそういうなら、決まりだな。―で?」

「え?」

 元春はエリーゼを見た。

「エリーゼはどうする?」

「い、いや、私はそのぉ……」

 エリーゼはかなり考えた。そして十秒もたたないうちに―決まった。

「分かりました。団長が買うなら―私も」

「エリーゼさん!」

 セレナは凄く喜んだ。

 こうして二人は、スマホを買うのだった。


 そして数日後……。

「携帯電話を買ったの?」

 キャロルと咲夜に、スマホを見せるセレナとエリーゼ。

「はい。元春さんの紹介で、買いました! スマホという現世の携帯電話だそうです」

「ふーん、現世ってすごいなぁ」

 キャロルもさすがに驚く。

「お兄ちゃん、二人にスマホ買ったの?」

「いやだって、興味ありそうだし、一応は買ったほうがいいから」

「……まぁ、いいけど。でも、スマホは壊れやすいからカバーとか買ったほうがいいよ」

「カバー、ですか?」

 確かにスマホは壊れやすいところもある。地面にぶつけたら、一巻の終わりになってしまう。

「それもそうだな」

 元春は考えた。

「セレナさんらは、ソルフィルスの騎士でも現世のことは未だに分からないことがあるからな。ここは百均ショップに行って、スマホのカバーを買おうか」

「そういうのあるのですか?」

 エリーゼは疑問に思った。

「あぁ、例えるなら人気話題のアニメのカバーとか、あとアニマルなカバーとかあるな」

「すごいですね、そういうのあるのですか」

「そもそも、百均ってなんですか?」

 エリーゼは百均のこと知らない。もちろん、セレナとキャロルも知らない。

「簡単に言えば、百円で品物が売っているところかな」

「そんなところにあるのですか? 見てみたいです!」

「…………」

 この時、元春は思った。

(一応はそういう店にも行ったほうがいいかもしれないな)

 そして、元春は決めた。

「分かった、行こうか」

「はい!」

 セレナは喜んだ。

「……ま、まぁ、行ってもいいですが」

 エリーゼも同行することになる。


 この状況を見た、咲夜とキャロルは……。

「むーっ」

 咲夜は何やら嫉妬しているようだった。

「今回は譲ったほうがいいよ、咲夜」

「分かってるよ。だけど、あんな頼もしいお兄ちゃん初めてかもしれない」

「? どういうこと?」

「なんでもない」

 咲夜は何か思った。

(今は言えないよね、お兄ちゃんには兄がいるけど親には誰も相手してくれないことを……)

 それは、元春本人にとっての過去だった。


   


                                つづく




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