勘違いするほど何かがずれていることがいまだ気付いてない様子です
——恋。それは、ドキドキやため息しやすいものだった。そんなある日のこと、学校にてため息していた少年がいた。
「はぁ~……」
彼の名前は中丸弘。前回、ハトバにて彼は職場体験をしていたことがあり、そんな彼に恋をしてしまう。
「…………」
弘が恋してしまった人物——セレナ・ガーネットである。
彼はあの時、女神のような彼女に恋したのだった。そんなため息していた様子を見た彼の友人は見た。
「なぁ、あいつ最近、ため息していないか?」
「確かにそうだよな、何かあったのか?」
「そういえばよ、噂で聞いたんだけど、職場体験の件で何やら思いつめた顔をしていたぜ」
「確かあいつが職場体験したのは、ハトバだっけ?」
「あそこには、女神のような店員さんがいるってよ。それで、惚れたらしい」
「マジで? そりゃ惚れるわな」
そうヒソヒソ話していると、一人の女の子がやって来た。
「ねぇ、その話本当なの?」
「ん? 峰岸」
峰岸麗子は、弘の噂の話に何やら眉をひそめる。
「その話、中丸くんに何かあったの?」
「それが、ハトバにてな……」
「ハトバ……、あの薬局店の?」
「そこに女神がいるっていう噂だよ」
この時、麗子は思った。
(女神? 何よ、女神がいるなんてなんか納得いかない! 弘はきっと、そいつにやられたんだわ! 絶対に許せないわ……!)
麗子は怒りに燃える。
「み、峰岸?」
「そいつに会ってやるわ……」
何かの復讐に燃えている様子だった。
そして放課後、麗子はハトバへと向かった。
「そいつ、一体誰なのかしら? 弘をたぶらかした女狐は?」
するとよく見ると、ごみを捨てているポニーテールの女性がいた。この時、麗子は思った。
「何あの女? 優しい人……、——って、何思っているの! 確か噂の女神の人は、きっとあの人よ! 絶対許さないわ、弘は私の物よ!」
麗子はそう思っていると、そこに……。
「——そこでなにやっているのですか?」
エリーゼが麗子を見た。
「! 誰!」
「その台詞、そのまま返します。あなたこそ、この店に来て、何やっているのですか?」
「いや、それはその……」
「怪しいですね、不審者ですか?」
「違いますよ、ここに女神がいると聞いて……」
「女神?」
この時、エリーゼはまさかと思った。
(まさかこの女、団長を狙って? 確かに団長はソルフィルスでは人気の存在、この世界でもかなり人気になったという噂がありましたが、こいつも……!)
※この二人はお互い勘違いしています。
「団長は渡しませんよ! 団長は私が守りますから!」
「な……! こっちも渡すわけにはいきませんから!」
「く……!」
※勘違いしています。
「あの人は、確かに女神のような方ですが、そのような奴には絶対渡しません! 尊敬するあの方には絶対です!」
「騙されないわよ、そんなことで! 今回はここで退くわよ、でも絶対に(弘のこと)渡さないからね!」
「こっちこそ!」
麗子はそう言って行った。
※しつこいと思いますが、勘違いしています。
翌日。
「う~ん……」
弘は考えていると、麗子は見た。
(絶対に渡さないからね、あの女には!)
さらに一方では……。
「団長は私が守りますので!」
「エリーゼさん? 気持ちは嬉しいのですが、どうしたのですか?」
セレナは首を傾げる。
後に互いに誤解が解けるのは、また別のお話になるのだった。