牛乳を買いに帰ろうとしたらある女性が声をかけてきました
「あれ? まいったなぁ、牛乳がない」
元春は、冷蔵庫を確認していると、牛乳がないことに気付いた。
「どうしようか……? 今日は町内会があるから参加しないといけないし」
元春は困っていると、そこへセレナがやって来た。
「元春さん、どうしましたか?」
「セレナさん。牛乳がなくて困ってるんだ」
「牛乳ですか?」
元春はお願いを言う。
「俺、用事があって困っているんだ。セレナさん、いつものスーパーで牛乳を買ってほしいんだけど、いいかな?」
「大丈夫ですよ」
セレナは了承した。
だが、この時彼女は、ある人物と会うことになることはまだ知らなかった。
——スーパーで牛乳を三個を買ったセレナ。今日は安売りの日なので、ラッキーだった。
「これでいいですね」
小樽アパートへ戻ろうとするセレナ。
その時だった。
「あの~、そこの人。すみません~」
女性の声がして、セレナはそれに気づく。
辺りを見回していると、電柱の陰に誰かいた。
「? なんでしょうか?」
セレナは女性に声を掛ける。
「ここはどのあたりでしょうか?」
「えっ?」
「ここって、町内のどのあたりでしょうか?」
これにセレナは答えた。
「ええっと、小樽市ですが……?」
「小樽市? そうですか……」
「何か探しているのですか?」
女性は言った。
「私、スーパーに行きたいのだけど、どこなのか分からなくて。牛乳を買いに行ったら道に迷ってて」
「は、はぁ……」
セレナは大丈夫なのかと心配していた。とりあえず、スーパーの場所を教えた。
「スーパーなら、真っ直ぐに行くとありますよ」
「本当? ありがとう!」
女性は喜んだ。
「うちの主人が牛乳が好きなの、身体にいいから」
「そうなんですね」
「じゃあ、私はこれで」
女性はお礼して、行った。
「不思議な人ですね……、この世界にもそういう方もいるのですね」
セレナは少し納得していた。
翌日。今日はチーフである長脇茂がやって来た。
「奥さん、見つかりましたか?」
元春は、茂に奥さんの行方を尋ねた。
「残念ながら、まだなんだ」
「一体どこへ行ったのでしょうか?」
元春と茂はため息した。
「あの~、奥さんは見つかっていないのですか?」
セレナは茂に尋ねる。
「あぁ、そうなんだ」
「いつから、いなくなったのですか?」
セレナの横から、エリーゼが言った。
「それがいつなのか分からないんだ。うちの妻はかなりの方向音痴でねぇ、あちこち行ってて見つからないんだよ」
「方向音痴、ですか?」
この時、セレナは思った。
(方向音痴? ……まさかですけど)
「それに、いなくなったのはスーパーに出かけたんだよ。牛乳を買いに行ってね」
「それでいなくなったのですか?」
牛乳を買いに行くためスーパーに向かった、セレナはどっかで聞いた事があった。
「どんだけ方向音痴なのですか、チーフの奥さんは!」
「ははは……、私もそう思っているよ」
苦笑いする茂に、セレナはまさかと思っていた。昨日で会った女性が、茂の奥さんなのかと。だが、名前は言っておらず、もしかしたら別人かもしれないと。
「…………」
「? セレナ団長?」
「! あ、いえ! なんでもないです!」
セレナは笑ってごまかした。
やっぱり気のせいだろうかと思った。
(もしかして、昨日の人は茂さんの奥さん? まさかですけど……)
昨日会った女性が茂の奥さんということは、また別のお話になる。