化粧品担当の娘を連れてきて呪術師が面倒を見ることにしました
「どうしてこうなったの……?」
キャロルはため息していた。なぜなら、彼女の目の前には、ある人物の子供がいたのだ。
「あー、うー」
桐島義子の娘・安子である。
なぜ彼女が、安子の面倒を見ているのか、数分前にさかのぼるのだった。
——朝の朝礼時の時だった。
「…………」
元春達は唖然していた。それは、義子が娘を連れて来たのだ。
「バブー」
「なんだ? その目は?」
これに元春達は言った。
「いや、その……。なんで娘さんを連れてきたのですか?」
「仕方ないだろ、松子は幼稚園で他に誰が見るんだよ」
「…………」
義子は二児の母親、だが次女である安子を連れてきたらまずいのではと思った。
「しばらく娘の面倒を見てほしいんだよ、チーフにも許可してくれたからな」
「長脇さん、許可してくれたんだ」
チーフである長脇茂が、許可出したなら仕方ないとして、問題はここからだった。
「といっても、どうするんですかいな?」
手を挙げたのは、山城龍一だった。
「桐島さんの娘さんの面倒は誰が見るんです?」
「う~ん、確かにそうだね」
すると、義子は言った。
「そのことなら大丈夫だ」
「えっ?」
義子が出したのは、クジ箱だった。
「この中にみんなの名前がある、その中から出たやつが、うちの娘を面倒見ること」
元春は言った。
「いやいやいや、いつの間にそれ作ってきたの!? というよりクジ引きで決めるの!?」
「仕方ないだろ? じゃあ、あたしが引くから」
「…………」
義子はクジを引くことにした。
——そして、安子の面倒を見るクジを引いたのが―—キャロルであった。
「義子のために仕方ない」
「アブー」
安子は何かしたいようだ。
「? どうしたの?」
その時だった。
グイッ。
「ミギャ!?」
安子はキャロルの尻尾を引っ張ったのだ。
「し、尻尾を引っ張らないでほしい」
「? アブー」
さらに握ると、キャロルは……。
「ちょっ、やめ、……あ、ああ」
脱力な声で床に付いた。
「あ、……うぅ」
するとそこへ……。
「! キャロルちゃん……」
「さ、桜子……!」
まさかの桜子に聞かされたのだ。
「え、ええっと……、安子ちゃんと遊んでいるのかな?」
「ち、ちがっ……、ミギャ!」
今度は耳を触った。
「あ、ああ……」
すると、義子が休憩室に入ってきた。
「キャロル、うちの娘と遊んでるのはいいが……、声聞こえてるぞ」
「…………こういう声だから」
実はキャロル本人も、自覚はある。
その頃では……。
「…………」
「キャロルさんって、あんな声するんだな」
「私も初めて聞きました」
「き、聞かなかったことにしましょう!」
とりあえず、スルーしたふりをした元春達であった。